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デジコン編集部 2025.9.19

大成建設。山岳トンネル底盤部の変形状況を自動計測する多点連続式変位計「T-Invert Monitor」を開発

CONTENTS
  1. 中央部に変位センサを内蔵した50cm計測ユニットを連結して変位分布を把握
大成建設は、山岳トンネル工事において地山の掘削などによるトンネル底盤部(インバート支保)の変形状況を自動で連続計測できる変位計「T-Invert Monitor」を開発した。

地山の隆起や沈下などによる変位分布を詳細に把握することが可能で、「盤膨れ」などによるインバート支保の損傷を防止し、トンネル構造物の安全性を大幅に向上させることができる。

中央部に変位センサを内蔵した50cm計測ユニットを連結して変位分布を把握


山岳トンネル工事では、膨張性の地山や脆弱で不安定な岩盤などの地質条件下での施工で、掘削に伴い底盤部の地盤が膨れ上がる「盤膨れ」現象が生じる可能性がある。

このような場合、底盤部周辺の地山変形を抑制しトンネルの安定性を確保するため、インバート支保を施工する必要がある。

トンネル工事中は、インバート支保の施工後も「盤膨れ」現象の有無を確認するために、地山の変位計測を継続して実施する必要がある。

しかし、資材搬送路として利用される底盤部は路盤として土砂などで埋め戻されるため、従来の測量法では目視できない路盤下の変形計測は困難であった。

T-Invert Monitorは、中央部に変位センサを内蔵した長さ50cmの計測ユニットを、ジョイントを介して必要な数だけ連結したケーブル状(直径25mm)の変位計である。

各ユニットがそれぞれ隆起や沈下の変位量を計測することが可能で、ユニットの数だけ多点(例えば延長10mの場合は20点)の変位量を同時に取得できる。


(T-Invert Monitorを用いたインバート支保変位分布計測の概念図)

単点計測では困難だった変位分布を把握することができ、トンネル横断面のインバート支保全体の変形状況を捉えることができる。

地山の変位に応じた効果的な対策工の実施が可能となっている。

本計測装置の適用に先立ち、トンネル底盤部に施工したインバート支保に沿ってトンネル横断方向に計測ガイド管(直径65mm)を逆アーチ型に設置した状態で路盤の埋め戻し作業を行う。

埋め戻し後、計測ガイド管内にケーブル状の本計測装置を挿入すれば、ただちに自動計測が可能である。

任意地点の計測終了後は、本計測装置を計測ガイド管から引き抜いて回収し、異なる計測地点の計測ガイド管に挿入して再利用することができる。

設定した時間ごとに連続して自動計測が可能なことから、インバート支保の変形を遠隔から常時監視することで、予期せぬインバート支保の損傷などを防止できる。

トンネル構造物の安全性向上と円滑な施工を実現することができる。

本計測装置は、室内試験および国道7号鼠ヶ関トンネル(山形県鶴岡市)での現場計測試験を通じて計測精度や作業性の検証を行い、実用性に優れることを確認している。





WRITTEN by

デジコン編集部

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