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デジコン編集部 2025.9.17

大林組、トンネル切羽前方探査システムを完全自動化

CONTENTS
  1. 150~200m先の地質を8時間で無人探査
大林組は、山岳トンネル工事における切羽前方地質探査システム「水圧ハンマーナビ」の全自動化を実現した。

従来5人で行っていた作業を3人で実施でき、40%の省人化を達成している。

150~200m先の地質を8時間で無人探査


山岳トンネル工事では、切羽前方の地質を早期把握することが施工の安全と工程確保で重要となる。

水圧ハンマーナビは、専用ボーリングマシンに先端駆動型の水圧ハンマーを搭載し、切羽前方150~200mの地質を約8時間で探査できるシステムである。

探査結果から独自算定する「エネルギー指標値」により、断層破砕帯など崩落や突発的湧水の危険がある区間を高精度で事前予測する。

従来の切羽前方探査技術では、ロッド1本の削孔ごとに次のロッドを2人以上でセットし、オペレーターとの合図により継ぎ手の接続と削孔を繰り返していた。

今回の全自動化では、削孔からロッドの継ぎ足し、削孔完了後のロッド引き抜き撤去まで一連の作業を人の手を介さずに完全自動化した。

システムは日本基礎技術との共同開発によるもので、同社のA-RPD技術を活用している。

自動化により、ロッドの継ぎ足し作業や撤去作業が無人化され、従来5人体制が3人体制となり40%の省人化を実現する。

全自動化においても先端駆動型水圧ハンマーにより、トンネル月間進行長を超える150~200mを約8時間で削孔できる。

(水圧ハンマーナビで算定したエネルギー指標値に基づくリアルタイム地山等級予測)

削孔時の地山性状や削孔状況に応じて、削孔速度調整や削孔停止、フラッシングを自動判断するため、熟練技術者でなくても安定した削孔が可能になった。

削孔作業の自動化により、回転部の巻き込まれ災害などを防止し、山岳トンネル工事における肌落ち災害防止ガイドラインに沿った安全な前方探査を実現する。

ボーリング結果から独自算定する「エネルギー指標値」で断層破砕帯・亀裂集中帯・風化変質帯の脆弱性を正確に把握できる。

削孔深度や削孔速度、送水圧、フィード圧、地山等級がリアルタイムで確認でき、自動削孔中でも不良地山の判断が可能である。

現在、国道429号道路新設改良工事の榎峠トンネルで実用化されている。





WRITTEN by

デジコン編集部

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