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デジコン編集部 2025.8.20

太陽工業。屋外雪貯蔵用多層膜シートで南魚沼市役所の排雪活用検証に協力

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  1. 450トンの雪山を9月まで保存し6月時点で55%が残存を確認
太陽工業は今春より南魚沼市役所(新潟県)の排雪を利用した冷房設備の実証実験に協力している。

5月12日からは屋外に保存した雪山を利用した雪冷熱設備が稼働しており、南魚沼市役所の電力消費削減に効果を発揮している。

450トンの雪山を9月まで保存し6月時点で55%が残存を確認


南魚沼市役所では4月25日に約450トン(上面8メートル×8メートル底面15×15メートル高さ7メートル)の雪山に屋外雪貯蔵用シートを被せた。

雪山を9月まで保存し、この雪を活用した市役所内の温度低減の実証実験を行っている。

シートには太陽工業が利雪の専門家であるSnowBizからの助言や技術指導をもとに新たに開発した断熱効果が高く、防水性も兼ね備えた「屋外雪貯蔵用多層膜シート」を使用した。

同社の断熱膜材における長年の知見や経験、膜加工技術を活かしたもので、アルミ箔シートなど複数の膜材を組み合わせ、加工方法も独自に工夫している。

(画像元:ドローン撮影で雪山保存状況確認(2025年6月25日南魚沼市役所にて撮影・提供))

この多層膜シートで覆われた屋外雪は、6月25日時点のドローン調査で55%が残存していることが確認されている。

太陽工業では地球温暖化の影響で夏の気温が上がり、猛暑日数も増えている状況の中、排雪を利用した雪冷熱設備への活用や物資の保存、雪を利用したイベントや施設利用など、雪山の保存ニーズが高まることを想定している。

今回の事例をもとに実用新案を出願するとともに、他地域での活用を呼び掛けていく計画である。

太陽工業のこれまでの雪保存の取り組みとして、2018年に新潟県魚沼市の農産物加工場へ「雪保存用断熱膜材(2層)」を提供している。

2019年8月にはさいたまスタジアム「東日本連携による雪を活用した熱中症予防対策実証事業」にて同社エアーテントを設置し、雪解け水活用の雪冷房クールスポット効果を検証した。

2022年には学術機関との共同実証「多層膜材を用いた屋外貯蔵実験」を実施し、2024年12月に南魚沼市にて「雪山保存用多層断熱膜材」活用が決定している。




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デジコン編集部

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