行政・政策
角田 憲 2020.10.1

【10月1日施行】25年ぶりの大改正「建設業法」の要点をカンタン解説!

CONTENTS
  1. 待ったなしの担い手不足問題。その背景にある現状の労働環境
  2. 業界の働き方改革の促進。タイトな工期の是正は長時間労働の改善に
  3. 建設現場の生産性向上。ICT活用による生産性向上の兆し。
  4. 持続可能な事業環境の確保。地域の守り手としての役割。
  5. I-Constructionと新・担い手3法
  6. 建設業法の改正ポイントまとめ
25年ぶりの大改正といわれる「建設業法、及び公共工事の入札及び契約適正化の促進に関する法律」(建設業法・入契法)の改正が、2020年(令和2年)10月1日からいよいよ施行される。建設業界の課題である、担い手確保、生産性の向上、そしてi-Constructionの推進はどう変わっていくのだろうか。

待ったなしの担い手不足問題。その背景にある現状の労働環境


国土交通省がまとめたデータによると、建設産業では、技能労働者の25%以上を60歳以上の高齢者が占めており、10年後には技能労働者の大量離職が予想されている。だが反面、若手入職者の数は圧倒的に少ない。

その背景には少子高齢化に加え、全産業の平均と比較して300時間以上長い労働時間や、週休二日制の未実施、労働時間に見合わない水準の給与などの労働環境がある。このままでは新たな担い手の確保は難しく、技能の承継も途絶えてしまう。

そんな現状を打破するために、建設業法と入契法は「建設業の働き方改革の促進」「建設現場の生産性向上」「持続可能な事業環境の確保」の3つの観点から改正された。

業界の働き方改革の促進。タイトな工期の是正は長時間労働の改善に


今回の改正では、働き方改革を促進するという観点から、「通常必要と認められる期間に比して、著しく短い工期による請負契約を締結することを注文者に禁止する」また「閑散期と繁忙期の工事量の差を小さくするために、公共事業における工期の確保や、施行時期の平準化を努力義務とすること」が謳われている。

つまり、現場に長時間労働を強いることを前提とするような工期の設定を見直していこう、ということだ。これに違反した発注者などには勧告などの措置もあり、実効性の確保も考慮されている。


一方で請負業者側には「工程の細目を明らかにし、工種ごとの作業及び、その準備に必要な日数の見積り」を行うよう求められており、ここではICT技術の活用が期待されているのであろう。他にも処遇改善を図るため、社会保険に加入していない建設業者は建設業の許可、更新を認めない仕組みを構築としており、処遇改善への本気度がうかがえる。

建設現場の生産性向上。ICT活用による生産性向上の兆し。


管理技術者補佐を専任で現場に置くことで、一人の管理技術者による複数現場の兼任が可能となる。これはICT技術の発展や、建設現場での活用により、情報の伝達や工程管理の精度が向上した状況を踏まえた改正だ。

また工場で生産された建築資材に起因した問題が生じた際、これまでは国土交通省から建築資材製造業者に対して指導監督などはできなかったが、改正法の施工後は、改善勧告等が可能になる。


工場製品の積極的な活用が可能であれば、工事作業の効率化も期待できる。ICT技術を使った工程の管理や測量、設計の精度が、ここでも非常に重要な要素になる。人材不足が加速していく中で、限りある人材を有効活用し、また若い担い手の早期活躍、入職促進のためにもICT技術を活用した生産性の向上は、必要不可欠であり急務だ。

持続可能な事業環境の確保。地域の守り手としての役割。


地方を中心に事業者が減少している一因として後継者不足がある。そこで建築業の許可要件のうち「建築業に関し5年以上の経営業務の経験者が役員にいること」を廃止することで、後継者の選出が多少なりとも容易になることが期待される。


また事業の吸収や合併の際に生じる「認可の空白期間」がなくなるように、事前認可手続きをすることで円滑な事業承継が可能になった。災害が起きた際などに最前線で地域の安全、安心を確保する建設業は「地域の守り手」として期待されており、今後もその大きな役割を果たしていくためにも、持続可能な事業環境を整えていくことが必要だ。

I-Constructionと新・担い手3法


建設法・入契法の改正は、2019年(令和1)年6月14日に施行された「公共工事の品質確保を促進に関する法律」(品確法)の改正と合わせ「新・担い手3法」と呼ばれており、建設業界の喫緊の課題である「担い手の確保、育成」に焦点を当てている。

そして、これまで見てきたように、精度の高い工期の見積りや、技術者不足を補うための作業の効率化など、25年前には実現することができなかったであろう、ICTの活用が前提となっている改正が多数ある。

つまりi-Constructionと新・担い手3法はある部分では二人三脚の様相を呈しているのだ。過酷な状況に置かれ、大改革を余儀なくされた建設産業は、魅力ある現場へと変わっていけるのだろうか。

建設業法の改正ポイントまとめ


長時間労働の是正
■工期に関する基準が作成。違反者に対しては勧告等の措置を実施
■公共工事の発注者に必要な工期の確保と、施工時期の平準化の努力義務化

現場の処遇改善
■下請代金のうち、労務費相当分は、現金払いとするよう配慮
■社会保険加入が建設業許可の要件化

現場の生産性向上
■元請業者が配置する監理技術者を補佐する者として技士補制度を創設
※「技士補」を専任で配置することで複数現場の兼任を容認
※当面は二現場
■下請の主任技術者に関し一定未満の工事金額等の要件を満たせば設置不要
※対象は、鉄筋工事と型枠工事
■資材に起因した不具合が生じた際、建設資材製造業者に対して改善勧告

持続可能な事業環境の確保
■建設業許可の「経営業務管理責任者」に関する規制が合理化
■建設業の譲渡や法人合併、相続等に際し円滑に事業承継できる仕組み



WRITTEN by

角田 憲

有限会社さくらぐみにライターとして所属。宅地建物取引士。祖父が宮大工だったことから建築、不動産に興味を持ち、戸建て、マンション等の販売・管理・メンテナンス業務に従事。食、音楽、格闘技・スポーツ全般、健康、トラベルまで幅広く執筆。読書量は年間約300冊。

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