コラム・特集
猛暑の救世主!建設現場で圧倒的な《時短》を実現するICTツール6選!【2025年 熱中症対策義務化】

記録的な猛暑が続く日本の夏。2023年には東京で日最高気温が30℃以上の日数が90日と、観測史上最多を記録し、建設現場での熱中症対策はもはや待ったなしの状況である。
2025年6月からは、企業における熱中症対策が「罰則付き」で義務化され、さらに国土交通省は熱中症を防ぐために作業を止める日として猛暑日を「天候不良などによる作業不能日」に加える指針改定を実施した。
このような厳しい環境下で、建設現場における作業効率化と安全確保の両立は重要な課題となっている。
本記事では、猛暑の建設現場での「時短」を実現する最新ICTツール6選を紹介する。これらのツールは、現場の負担軽減だけでなく、国土交通省も推進している「ICT施工」の実現にも大きく貢献するものである。
「OPTiM Geo Scan」は、株式会社オプティムが開発・販売するiPhone(LiDARセンサー搭載機種)とGNSSレシーバーがあれば高精度な測量を可能にする測量アプリである。

最大の特徴は、わずか数十分レクチャーを受ければ、測量未経験者でも「測量の即戦力」になれる習得容易性にある。
2025年7月からは、スマホ測量アプリとしては世界初となるミリ単位精度での測量を実現する「Geo Scan Supreme」の提供も開始されている。

本機能は国土交通省の舗装工における「3次元計測技術を用いた出来形管理要領」に準拠しており、従来、数千万円規模の投資が必要だった地上型レーザースキャナーを不要とする画期的なソリューションとなっている。
光波測量(トータルステーションによる測量)と比較すると、測量作業時間を最大90%削減という驚異的な効率化を実現。

現場での実証事例では、「現場を知らない大学生が来て数分で丁張を任意の位置にかけてしまった」「高校生がスマホで丁張作業を完成させた」など、従来の測量常識を覆す成果が報告されている。
「OPTiM Geo Point」機能では、CAD図面や3次元設計データをスマホに読み込み、測量したい任意の位置をワンタップするだけで誘導が可能だ。
トータルステーション(TS)も自動追尾型トータルステーションさえも不要となり、測量業務の負担を劇的に軽減する。
「データViewer」機能では、ARのように現場に図面等のデータを映し出し、スマホを見るだけで施工位置が手に取るようにわかる。
これにより、複雑な図面から施工物を現場で正しくイメージする従来の困難な作業が不要となり、炎天下での長時間の図面確認作業を大幅に短縮できる。
また、体積計算、生コン数量計算、距離計算機能などもGeo Scanアプリを導入していれば、無料で使用可能だ。

現場でリアルタイムに自動処理されるため、従来は事務所に戻って行っていた計算作業が現場で即座に完了する。
これにより、暑い夏の現場滞在時間を最小限に抑制し、作業員の安全性向上と生産性向上を同時に実現している。
株式会社スカイマティクスが提供する「KUMIKI」は、導入シェアNo.1を誇るクラウド型ドローン測量サービスだ。
(画像元:KUMIKI WEBサイトより)
ドローン自動航行アプリで撮影した画像をアップロードするだけで、オルソ画像や3D点群データなどの地形データを自動生成し、直感的な操作で測量・解析が可能となる。
2023年11月には国土交通省の新技術情報提供システム(NETIS)に登録され、公共工事での活用も本格化している。
従業員数10名以下の企業から1,000名以上の企業まで、企業規模・業種を問わず幅広く利用されており、現場の「調査・測量」を圧倒的に効率化する革新的なサービスとして注目されている。
従来の工事現場における盛土量の計測では、測量テープや検尺スタッフなどで作業を行い、作業日数2〜3日×作業人員2〜3人を要していた。
しかし、ドローンとKUMIKIの導入により、1人/1時間の工数で対応可能な作業となり、時間と人員を大幅に削減することができる。
(画像元:KUMIKI WEBサイトより)
この驚異的な効率化は、暑い夏の建設現場における熱中症対策にも直結する。
従来は炎天下で複数日にわたる屋外測量作業が必要だったが、KUMIKIなら短時間のドローン飛行で完了し、作業員は涼しい事務所でクラウド上のデータを確認・解析できる。
KUMIKIの専用スマートフォンアプリでは、現場で撮影した画像や動画をタグやコメントをつけて即座にアップロード・共有でき、地図上に保存される。これにより、ドローンデータ、スマホデータ、オルソ画像などバラバラだったデータをプロジェクト単位で一括管理が可能となる。
(画像元:KUMIKI WEBサイトより)
現地の最新データと、クラウドに保存されている過去データを現場で比較・確認でき、現場からは見えにくい俯瞰をオルソ画像とDSMで確認できるため、現場滞在時間の大幅短縮と的確な判断が実現される。
現場管理の効率化により、屋外での滞在時間短縮を実現する施工管理アプリが注目されている。
中でも「SPIDERPLUS」は、建築業・空調衛生設備業・電気工事業・プラント業向けに特化した現場管理アプリとして高い評価を得ている。
(画像元:SPIDERPLUS WEBサイトより)
「SPIDERPLUS」の最大の特徴は、図面管理・閲覧機能の充実である。すべての図面を電子化して登録することで、かさばる紙図面の持ち運びが不要となり、想定外の図面確認にも素早く対応できる。
また、図面に写真を貼付したり、手書きメモやコメントを記入して現場内で共有できる図面メモ機能により、遠隔でも現場状況を明確に伝達可能である。
(画像元:SPIDERPLUS WEBサイトより)
工事写真機能では電子黒板にも対応し、現場への持ち物はタブレット一つに集約される。施工場所や工種ごとに分けたフォルダに写真を格納することで、写真の整理が撮影したその時点で完結し、現場事務所に戻って写真を整理する時間を削減できる。
従来の施工管理では、「必要な写真をその都度郵送する」「現場監督は常に図面を持ち歩く」「工程の変更は現場で紙に手書きで行う」「遠方でも施工状況を確認するために現場に足を運ぶ」というように、アナログな手法が一般的であった。
(画像元:SPIDERPLUS WEBサイトより)
SPIDERPLUSの導入により、図面や写真・施工状況を監督や協力会社と瞬時に共有でき、指示を伝えるための移動時間や、電話での認識ズレによる作業の手戻りが削減される。
また、撮影した写真をもとに、ほんの数クリックで報告書を作成することができ、事務所内でPCを使って報告書をまとめる手間を大幅に削減する。
これにより、現場での滞在時間を大幅に短縮でき、炎天下での長時間作業による熱中症リスクを軽減できる。
DataLabs株式会社が開発した「modely」は、iPad(LiDARセンサー搭載機種)を活用して点群データを取得し、その点群データを3Dモデルに変換することで、配筋検査における検査項目の実測値を自動で帳票化する革新的なシステムである。
(画像元:modely WEBサイトより)
国土交通省の「デジタルデータを活用した鉄筋出来形計測の実施要領(案)」に準拠しており、直轄工事はもちろん、都道府県発注工事でも利用実績がある。令和5年度インフラDX大賞でスタートアップ奨励賞を受賞するなど、その技術革新性と実用性が高く評価されている。
modelyを使用すると、従来手法での配筋検査業務と比較して、約3割のコスト削減と約7割の作業時間削減を実現することが可能だ。
具体的には、1時間かかる検査箇所について15分程度に短縮できた事例も報告されている。
(画像元:modely WEBサイトより)
従来の配筋検査では、自主検査、マーキング、写真撮影、立会検査等の作業を炎天下で長時間実施する必要があったが、modelyではLiDAR付きiPadでの短時間撮影後、涼しい事務所内で3Dモデル作成と自動計測が完了する。
建設現場の配筋検査は、従来手作業で実施されるため、炎天下での長時間作業が避けられない作業の一つであった。
作業員が鉄筋間隔や継手長を一つ一つ測定し、写真撮影とマーキング作業を行うため、熱中症リスクが非常に高い業務である。
また、ダブル配筋や環状フープ筋のモデル化、かぶり厚の計測も、3Dデータで正確に実施でき、従来の複雑な手作業測定が不要となっている。
セーフィー株式会社が提供する「Safieクラウドカメラ」は、建設現場の遠隔管理を革新するクラウド録画型映像プラットフォームである。
(画像元:SafieクラウドカメラWEBサイトより)
携帯用ウェアラブルカメラ「Safie Pocket」シリーズと設置用固定カメラ「Safie GO」をラインアップし、現場管理業務を90時間削減する驚異的な効果を実現している。
2023年3月に国土交通省が示した「建設現場における遠隔臨場に関する実施要領(案)」に適合しており、竹中工務店、大林組、戸田建設など大手建設会社での導入実績も豊富である。1ヶ月からレンタル利用が可能で、LTE通信機能内蔵により設置工事不要で即座に運用開始できる。
(画像元:SafieクラウドカメラWEBサイトより)
Safie Pocketシリーズは、バッテリーと通信機能が内蔵されたウェアラブルカメラで、現場従事者が身につけて遠隔臨場や遠隔サポートを実現。
最大8時間のバッテリー駆動、IP67防水防塵性能で、過酷な建設現場環境に対応している。
Safie GOは設置用固定カメラで、電源に差し込むだけで使用開始でき、工事費0円で導入可能である。
(画像元:SafieクラウドカメラWEBサイトより)
夜間でもくっきり映るデイナイト機能、遠隔でのPTZ(パンチルトズーム)操作、GPS機能によるカメラ位置確認など、24時間体制の現場監視を実現する。
建設現場では、現場監督が炎天下で複数の現場を巡回し、進捗確認や安全点検を行う必要があったが、Safieクラウドカメラの導入により状況が劇的に改善される。
新日本空調株式会社では、遠隔臨場で月間約400時間の移動コストを削減した実績がある。大鎮キムラ建設株式会社では、現場監督の移動時間が大幅に減少し、業務効率化を実現している。
現場に行かなくても、複数の安全点検をリモートで実施でき、音声通話機能でその場での指示・確認も可能である。
(画像元:SafieクラウドカメラWEBサイトより)
過去30日分の録画映像確認、最大1,440倍速のタイムラプス動画、マルチビューアー機能により、エアコンの効いた事務所から効率的に現場状況を把握できる。
これにより、炎天下での現場巡回時間を大幅に短縮し、熱中症リスクを大幅に軽減しながら、より的確な現場管理が可能となる。
ARAV株式会社が開発した自動(無人)油圧ショベル RX「ヨイショ投入くん」は、既存のバックホウに制御システムを後付けすることで自動化を実現する革新的ソリューションである。
新たに建機を導入することなく、既存の建設機械をそのまま活用できるため、導入コストを大幅に抑制しながら現場の自動化を推進できる。
(画像元:ヨイショ投入くんWEBサイトより)
制御システム導入後も買い替え不要でアップデートが可能な設計となっており、2025年6月には自走式機械への投入の自動化、2025年9月にはダンプへの積込みの自動化、2026年6月には河床掘削の自動化と、段階的な機能拡張が予定されている。
建設現場における土砂の投入やダンプへの積込み作業は、オペレーターが炎天下で長時間集中を要する重労働の代表例である。
特に夏場は、エアコンの効きにくい建機キャビン内での作業により、熱中症リスクが極めて高い作業となっている。
「ヨイショ投入くん」の導入により、これらの単純作業が完全自動化され、オペレーターは炎天下での長時間操作から解放される。
自動化された建機が無人で作業を継続する間、作業員は涼しい管理棟や事務所で次の作業準備や他の業務に従事でき、労働環境の安全性が飛躍的に向上する。
建設現場の暑さ対策と作業効率化は、もはや選択肢ではなく必須の取り組みとなっている。本記事で紹介したツール「OPTiM Geo Scan」「KUMIKI」「SPIDERPLUS」「modely」「Safieクラウドカメラ」「ARAV RX『ヨイショ投入くん』」は、それぞれ異なるアプローチで建設現場の課題解決に貢献する。
これらのツールの活用により、作業員の安全確保と生産性向上を両立し、厳しい夏の建設現場でも効率的な作業が可能となる。
国交省が猛暑日を作業不能日に位置づけるなど、業界全体で暑さ対策が重視される中、ICTツールの積極的活用こそが現場の未来を切り開く鍵となるだろう。
今年の夏こそ、これらの革新的ツールを活用して、安全で効率的な建設現場の実現を目指していただきたい。
2025年6月からは、企業における熱中症対策が「罰則付き」で義務化され、さらに国土交通省は熱中症を防ぐために作業を止める日として猛暑日を「天候不良などによる作業不能日」に加える指針改定を実施した。
このような厳しい環境下で、建設現場における作業効率化と安全確保の両立は重要な課題となっている。
本記事では、猛暑の建設現場での「時短」を実現する最新ICTツール6選を紹介する。これらのツールは、現場の負担軽減だけでなく、国土交通省も推進している「ICT施工」の実現にも大きく貢献するものである。
1. OPTiM Geo Scan - 革新的ワンマンスマホ測量アプリ
「OPTiM Geo Scan」は、株式会社オプティムが開発・販売するiPhone(LiDARセンサー搭載機種)とGNSSレシーバーがあれば高精度な測量を可能にする測量アプリである。

最大の特徴は、わずか数十分レクチャーを受ければ、測量未経験者でも「測量の即戦力」になれる習得容易性にある。
2025年7月からは、スマホ測量アプリとしては世界初となるミリ単位精度での測量を実現する「Geo Scan Supreme」の提供も開始されている。

本機能は国土交通省の舗装工における「3次元計測技術を用いた出来形管理要領」に準拠しており、従来、数千万円規模の投資が必要だった地上型レーザースキャナーを不要とする画期的なソリューションとなっている。
圧倒的な時短効果と現場革命
光波測量(トータルステーションによる測量)と比較すると、測量作業時間を最大90%削減という驚異的な効率化を実現。

現場での実証事例では、「現場を知らない大学生が来て数分で丁張を任意の位置にかけてしまった」「高校生がスマホで丁張作業を完成させた」など、従来の測量常識を覆す成果が報告されている。
「OPTiM Geo Point」機能では、CAD図面や3次元設計データをスマホに読み込み、測量したい任意の位置をワンタップするだけで誘導が可能だ。
トータルステーション(TS)も自動追尾型トータルステーションさえも不要となり、測量業務の負担を劇的に軽減する。
劇的な時短効果と暑さ対策への貢献
「データViewer」機能では、ARのように現場に図面等のデータを映し出し、スマホを見るだけで施工位置が手に取るようにわかる。
これにより、複雑な図面から施工物を現場で正しくイメージする従来の困難な作業が不要となり、炎天下での長時間の図面確認作業を大幅に短縮できる。
また、体積計算、生コン数量計算、距離計算機能などもGeo Scanアプリを導入していれば、無料で使用可能だ。

現場でリアルタイムに自動処理されるため、従来は事務所に戻って行っていた計算作業が現場で即座に完了する。
これにより、暑い夏の現場滞在時間を最小限に抑制し、作業員の安全性向上と生産性向上を同時に実現している。
2. KUMIKI - クラウド型ドローン測量サービスによる屋外作業時間の劇的短縮
株式会社スカイマティクスが提供する「KUMIKI」は、導入シェアNo.1を誇るクラウド型ドローン測量サービスだ。

ドローン自動航行アプリで撮影した画像をアップロードするだけで、オルソ画像や3D点群データなどの地形データを自動生成し、直感的な操作で測量・解析が可能となる。
2023年11月には国土交通省の新技術情報提供システム(NETIS)に登録され、公共工事での活用も本格化している。
従業員数10名以下の企業から1,000名以上の企業まで、企業規模・業種を問わず幅広く利用されており、現場の「調査・測量」を圧倒的に効率化する革新的なサービスとして注目されている。
劇的な時短効果と暑さ対策への貢献
従来の工事現場における盛土量の計測では、測量テープや検尺スタッフなどで作業を行い、作業日数2〜3日×作業人員2〜3人を要していた。
しかし、ドローンとKUMIKIの導入により、1人/1時間の工数で対応可能な作業となり、時間と人員を大幅に削減することができる。

この驚異的な効率化は、暑い夏の建設現場における熱中症対策にも直結する。
従来は炎天下で複数日にわたる屋外測量作業が必要だったが、KUMIKIなら短時間のドローン飛行で完了し、作業員は涼しい事務所でクラウド上のデータを確認・解析できる。
現場管理DXによる総合的効率化
KUMIKIの専用スマートフォンアプリでは、現場で撮影した画像や動画をタグやコメントをつけて即座にアップロード・共有でき、地図上に保存される。これにより、ドローンデータ、スマホデータ、オルソ画像などバラバラだったデータをプロジェクト単位で一括管理が可能となる。

現地の最新データと、クラウドに保存されている過去データを現場で比較・確認でき、現場からは見えにくい俯瞰をオルソ画像とDSMで確認できるため、現場滞在時間の大幅短縮と的確な判断が実現される。
3. SPIDERPLUS - 建設現場をデジタル管理!大幅効率化
現場管理の効率化により、屋外での滞在時間短縮を実現する施工管理アプリが注目されている。
中でも「SPIDERPLUS」は、建築業・空調衛生設備業・電気工事業・プラント業向けに特化した現場管理アプリとして高い評価を得ている。

「SPIDERPLUS」の最大の特徴は、図面管理・閲覧機能の充実である。すべての図面を電子化して登録することで、かさばる紙図面の持ち運びが不要となり、想定外の図面確認にも素早く対応できる。
また、図面に写真を貼付したり、手書きメモやコメントを記入して現場内で共有できる図面メモ機能により、遠隔でも現場状況を明確に伝達可能である。

工事写真機能では電子黒板にも対応し、現場への持ち物はタブレット一つに集約される。施工場所や工種ごとに分けたフォルダに写真を格納することで、写真の整理が撮影したその時点で完結し、現場事務所に戻って写真を整理する時間を削減できる。
劇的な時短効果と暑さ対策への貢献
従来の施工管理では、「必要な写真をその都度郵送する」「現場監督は常に図面を持ち歩く」「工程の変更は現場で紙に手書きで行う」「遠方でも施工状況を確認するために現場に足を運ぶ」というように、アナログな手法が一般的であった。

SPIDERPLUSの導入により、図面や写真・施工状況を監督や協力会社と瞬時に共有でき、指示を伝えるための移動時間や、電話での認識ズレによる作業の手戻りが削減される。
また、撮影した写真をもとに、ほんの数クリックで報告書を作成することができ、事務所内でPCを使って報告書をまとめる手間を大幅に削減する。
これにより、現場での滞在時間を大幅に短縮でき、炎天下での長時間作業による熱中症リスクを軽減できる。
4. modely - 3D配筋検査システムによる検査作業の革新的効率化
DataLabs株式会社が開発した「modely」は、iPad(LiDARセンサー搭載機種)を活用して点群データを取得し、その点群データを3Dモデルに変換することで、配筋検査における検査項目の実測値を自動で帳票化する革新的なシステムである。

国土交通省の「デジタルデータを活用した鉄筋出来形計測の実施要領(案)」に準拠しており、直轄工事はもちろん、都道府県発注工事でも利用実績がある。令和5年度インフラDX大賞でスタートアップ奨励賞を受賞するなど、その技術革新性と実用性が高く評価されている。
劇的な時短効果と暑さ対策への貢献
modelyを使用すると、従来手法での配筋検査業務と比較して、約3割のコスト削減と約7割の作業時間削減を実現することが可能だ。
具体的には、1時間かかる検査箇所について15分程度に短縮できた事例も報告されている。

従来の配筋検査では、自主検査、マーキング、写真撮影、立会検査等の作業を炎天下で長時間実施する必要があったが、modelyではLiDAR付きiPadでの短時間撮影後、涼しい事務所内で3Dモデル作成と自動計測が完了する。
建設現場の配筋検査は、従来手作業で実施されるため、炎天下での長時間作業が避けられない作業の一つであった。
作業員が鉄筋間隔や継手長を一つ一つ測定し、写真撮影とマーキング作業を行うため、熱中症リスクが非常に高い業務である。
また、ダブル配筋や環状フープ筋のモデル化、かぶり厚の計測も、3Dデータで正確に実施でき、従来の複雑な手作業測定が不要となっている。
5. Safieクラウドカメラ - 遠隔現場管理による移動時間の大幅削減
セーフィー株式会社が提供する「Safieクラウドカメラ」は、建設現場の遠隔管理を革新するクラウド録画型映像プラットフォームである。

携帯用ウェアラブルカメラ「Safie Pocket」シリーズと設置用固定カメラ「Safie GO」をラインアップし、現場管理業務を90時間削減する驚異的な効果を実現している。
2023年3月に国土交通省が示した「建設現場における遠隔臨場に関する実施要領(案)」に適合しており、竹中工務店、大林組、戸田建設など大手建設会社での導入実績も豊富である。1ヶ月からレンタル利用が可能で、LTE通信機能内蔵により設置工事不要で即座に運用開始できる。

Safie Pocketシリーズは、バッテリーと通信機能が内蔵されたウェアラブルカメラで、現場従事者が身につけて遠隔臨場や遠隔サポートを実現。
最大8時間のバッテリー駆動、IP67防水防塵性能で、過酷な建設現場環境に対応している。
Safie GOは設置用固定カメラで、電源に差し込むだけで使用開始でき、工事費0円で導入可能である。

夜間でもくっきり映るデイナイト機能、遠隔でのPTZ(パンチルトズーム)操作、GPS機能によるカメラ位置確認など、24時間体制の現場監視を実現する。
暑さ対策への貢献と時短効果
建設現場では、現場監督が炎天下で複数の現場を巡回し、進捗確認や安全点検を行う必要があったが、Safieクラウドカメラの導入により状況が劇的に改善される。
新日本空調株式会社では、遠隔臨場で月間約400時間の移動コストを削減した実績がある。大鎮キムラ建設株式会社では、現場監督の移動時間が大幅に減少し、業務効率化を実現している。
現場に行かなくても、複数の安全点検をリモートで実施でき、音声通話機能でその場での指示・確認も可能である。

過去30日分の録画映像確認、最大1,440倍速のタイムラプス動画、マルチビューアー機能により、エアコンの効いた事務所から効率的に現場状況を把握できる。
これにより、炎天下での現場巡回時間を大幅に短縮し、熱中症リスクを大幅に軽減しながら、より的確な現場管理が可能となる。
6. ARAV RX「ヨイショ投入くん」 - 自動化による重労働の無人化
ARAV株式会社が開発した自動(無人)油圧ショベル RX「ヨイショ投入くん」は、既存のバックホウに制御システムを後付けすることで自動化を実現する革新的ソリューションである。
新たに建機を導入することなく、既存の建設機械をそのまま活用できるため、導入コストを大幅に抑制しながら現場の自動化を推進できる。

制御システム導入後も買い替え不要でアップデートが可能な設計となっており、2025年6月には自走式機械への投入の自動化、2025年9月にはダンプへの積込みの自動化、2026年6月には河床掘削の自動化と、段階的な機能拡張が予定されている。
炎天下重労働の無人化による時短効果
建設現場における土砂の投入やダンプへの積込み作業は、オペレーターが炎天下で長時間集中を要する重労働の代表例である。
特に夏場は、エアコンの効きにくい建機キャビン内での作業により、熱中症リスクが極めて高い作業となっている。
「ヨイショ投入くん」の導入により、これらの単純作業が完全自動化され、オペレーターは炎天下での長時間操作から解放される。
自動化された建機が無人で作業を継続する間、作業員は涼しい管理棟や事務所で次の作業準備や他の業務に従事でき、労働環境の安全性が飛躍的に向上する。
まとめ
建設現場の暑さ対策と作業効率化は、もはや選択肢ではなく必須の取り組みとなっている。本記事で紹介したツール「OPTiM Geo Scan」「KUMIKI」「SPIDERPLUS」「modely」「Safieクラウドカメラ」「ARAV RX『ヨイショ投入くん』」は、それぞれ異なるアプローチで建設現場の課題解決に貢献する。
これらのツールの活用により、作業員の安全確保と生産性向上を両立し、厳しい夏の建設現場でも効率的な作業が可能となる。
国交省が猛暑日を作業不能日に位置づけるなど、業界全体で暑さ対策が重視される中、ICTツールの積極的活用こそが現場の未来を切り開く鍵となるだろう。
今年の夏こそ、これらの革新的ツールを活用して、安全で効率的な建設現場の実現を目指していただきたい。
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