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デジコン編集部 2025.5.29

名古屋鉄道など4社の「AI画像解析」を活用した踏切監視システムが導入50カ所を突破。2023年11月運用開始から異常検知数は従来装置の約3倍を記録

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  1. 現在、名古屋本線・常滑線等11路線51踏切に導入されており、緊急輸送道路との交差踏切には8割の導入が完了している。
名古屋鉄道、名鉄EIエンジニア、トヨタシステムズ、東邦電機工業の4社で2023年11月10日より本格運用を開始したAI画像解析装置を導入した踏切監視システムの導入が50カ所を超えた。

現在、名古屋本線・常滑線等11路線51踏切に導入されており、緊急輸送道路との交差踏切には8割の導入が完了している。


従来の物体検知に加え踏切周囲のカメラ映像で人や車両の動きを解析。事故の予兆を検知し列車乗務員への迅速な情報伝達を実現

AI画像解析を活用した踏切監視システムは、踏切道を通行する人や車をAI画像解析で判別し、列車が接近中に人や自動車の滞留等、危険な状況を検知するシステムである。

従来の「踏切内に物体が存在しているか」を検知する装置に対し、本システムでは踏切内だけでなく踏切の周囲も含めてカメラの映像に映る人や自動車等がどのように動いているかを検出・解析するAI画像解析技術を用いることで、異常検知の性能を高めている。

これにより事故の予兆を検知し、列車乗務員への迅速な情報伝達を通して踏切事故の防止に努めている取り組みとなっている。

導入の背景として、踏切は線路と道路が交差する場所であり、人や自動車が列車と接触する恐れがあることから「鉄道における弱点箇所」と言われている現状がある。

全国では年間200件程度の踏切事故が発生し、死傷者数も100人を超えているほか、その都度列車の運休や遅延を伴うため、その社会的な影響は大きいものとなっている。

このような状況に対して、交通に関わる事業者が互いに協力し、AI画像解析を活用して事故を未然に防ぐことで、踏切の安全性を向上するため本システムの導入を推進してきた経緯がある。

2023年11月の導入以来、今回の踏切監視システムは、これまで大きな不具合もなく稼働している状況である。

(AI 画像解析装置により人を検知している様子 (マル枠内の点線) )

従来の障害物検知装置と併設している導入箇所での検知数は従来の装置以上であり、異常の検知数は約3倍となっている実績がある。

対象踏切における2025年3月の検知実績では、AI画像解析装置が160件の検知を記録し、そのうち人の検知数は128件となった一方、従来の装置は44件の検知にとどまっており、AI画像解析装置の検知性能の高さが実証されている。


名古屋鉄道では名古屋本線・常滑線等11路線51踏切に導入されており、緊急輸送道路との交差踏切には8割の導入が完了している状況である。




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デジコン編集部

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