ケルヒャージャパンとスカイコード。「空飛ぶ高圧洗浄機」の開発で業務提携。高所や足場設置困難な場所の清掃を可能に

清掃機器の世界最大手メーカー、ケルヒャーの日本法人ケルヒャージャパンと、ドローン技術のスタートアップ企業スカイコードは、ドローンと高圧洗浄機を組み合わせた「高圧洗浄ドローン」の社会実装に向けた業務提携を開始した。

専用アダプターの共同開発で主力ドローンに洗浄ノズルを搭載。太陽光パネル洗浄や雪下ろし、文化財保全など新たな清掃現場に応用可能

高所や傾斜面の清掃作業は従来、人手による危険な高所作業や足場の設置を伴い、大きな労力とコストがかかっていた。

例えばビル外壁の洗浄はクレーンやゴンドラを用いて行われるケースが多く、作業員にとって墜落などの事故リスクを伴う非常に危険な作業と指摘されていた。

また、高速道路脇の法面や橋梁上部、屋根上の清掃など、足場を組めない・組みにくい現場では清掃自体が困難であった。

今回の業務提携の主な内容は3つの柱で構成されている。

第一に、スカイコードがケルヒャーの高圧洗浄機に最適化したアダプターを設計・製造する。

あらゆる主力ドローンに、ケルヒャー高圧洗浄機の噴射ノズルを搭載することを実現し、空中からの高圧洗浄を可能にした。

第二に、ケルヒャーの洗浄ノウハウとスカイコードのドローン操縦技術を融合させる。

洗浄対象物や現場環境に応じて、最適な洗浄方法やノズル選定・水圧・飛行ルートを設計し、作業時間を短縮しながら、ムラのない美しい仕上がりを実現する技術を確立する。

両社のノウハウは、洗浄にとどまらず、除雪、除草、遮熱剤の塗布など、空中からの作業全般の可能性をサポートする。

第三に、導入から運用までを支える実践的な研修体制を整備する。

現場での安全かつ効率的な運用を実現するための「オペレーションガイド」を整備し、スカイコードのプロパイロットによる実践的な操縦・運用研修プログラムを提供する。

講習は、スカイコードの保有する専用ドローンスペース「コードベースキミツ」（千葉県君津市）にて、十分な実地訓練を行う。

両社が開発した「空飛ぶ高圧洗浄機」により、清掃作業を省力化し、作業時間の短縮・コスト削減に大きく貢献できると期待されている。

さらに、これまで対応が難しかった太陽光パネルの洗浄、雪下ろし補助、雑草除去、文化財保全といった清掃現場へのアプローチが可能になる。

ケルヒャーは、1980年から始まった「クリーニングプロジェクト」を通じて、世界的に有名な歴史的建物や文化遺産の洗浄・保存活動を行っており、この知見がドローン技術と融合することで、より多様な清掃ソリューションの創出につながると見られている。