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デジコン編集部 2025.4.30

鹿島。直轄国道で初めて1車線規制下でUFC道路橋床版の取替え工事を実施。国道29号新中島橋で交通影響を大幅縮減

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  1. 薄肉・軽量・高耐久のUFC技術と特殊接合材の開発で道路通行止め期間を最小化、直轄国道の老朽化対策に新手法
鹿島は、国道29号新中島橋の補修工事において、車両の通行が可能な1車線規制下で「UFC道路橋床版」への取替えを実施した。

薄肉・軽量・高耐久のUFC技術と特殊接合材の開発で道路通行止め期間を最小化、直轄国道の老朽化対策に新手法


本工事は、国土交通省が推進する「新技術導入促進計画」において、技術テーマ「繊維補強コンクリート床版技術」が採択され、近畿地方整備局姫路河川国道事務所のもとで行われたものである。

直轄国道における床版の幅員方向分割取替えでUFC道路橋床版が導入されたのは、今回が初めての事例となる。

UFCとは「Ultra-high strength Fiber reinforced Concrete(超高強度繊維補強コンクリート)」の略称で、本工事では水結合材比15%程度、圧縮強度180N/mm2以上の高性能材料が使用された。

UFC道路橋床版は、鹿島が阪神高速道路と共同開発したもので「サクセム®」と呼ばれるUFCで製造したプレキャスト床版に、橋軸方向と直角方向の2方向にPC鋼材を配置し、高いレベルのプレストレスを与えている。


〈一次床版と二次床版の接合部へのVFC充填状況 (2025年2月)〉

この特殊な構造により、薄肉で軽量ながら高い耐久性を持つ床版が実現した。

従来の取替用PC床版と比較して、UFC道路橋床版は複数の優位点がある。

まず薄肉なため、床版取替えに伴う道路面の高さ調整が不要となる。

また軽量なため、揚重機を小型化でき狭隘な箇所での施工が可能となるほか、鋼桁の補強を最小限に抑制できる。

さらに橋脚にかかる負荷が軽減されることで、道路橋の耐震性が向上するという構造的メリットもある。

耐久性の面では、維持管理性の向上とライフサイクルコストの低減も期待できる。

今回の新中島橋工事では、主要幹線道路の交通機能を確保するために片側交互通行を実施しながら、一期施工で上り線の床版(一次床版)、二期施工で下り線の床版(二次床版)の取替えが行われた。

さらに技術的な工夫として、一次床版と二次床版の接合部の縦目地には、冬期の厳しい低温下でも早期に強度が得られるVFC(Very high strength Fiber reinforced Cementitious composites:高強度繊維補強セメント系複合材料)を新たに開発・導入した。

この特殊接合材と給熱養生を組み合わせることで所定の性能を確保し、通行止め期間を最小限に抑えることに成功した。




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デジコン編集部

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