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デジコン編集部 2025.4.24

太陽工業とYKK。自走式ファスナーで大型テント組立を簡素化。5m高のファスナーも40秒で閉鎖に成功【動画あり】

CONTENTS
  1. 人力では不可能な高所・大型テント連結をボタン一つで実現、災害時シェルターの大型化に道筋
太陽工業は2025年4月24日、YKKが開発中の自走式ファスナーの実験に協力し、長さ5メートルの膜の連結や大型エアーテントの接続に成功したと発表した。

人力では不可能な高所・大型テント連結をボタン一つで実現、災害時シェルターの大型化に道筋


自走式ファスナーとは、モーター駆動により自動で開閉するファスナーで、人力では操作が困難な高所や大型のテント構造物の連結を可能にする技術である。



2025年2月に実施された実験では、太陽工業が一般的に使用している膜材にYKKの自走式ファスナーを接合し、実用性を検証した。


まず高さ5メートルの膜では、通常人力では閉じることが不可能なファスナーを、自走式スライダーのボタンを押すだけで40〜50秒程度で閉じることに成功した。

また奥行き4メートルのエアーテント「マク・クイックシェルター」2張りを自走式ファスナーで連結し、奥行き8メートルの大型テントをコントローラーのスイッチ操作だけで完成させる実験も成功した。


このエアーテント「マク・クイックシェルター」は東日本大震災や令和6年能登半島地震などの災害時に医療用途を含めて2700張り以上の活用実績がある製品である。

エアーテントは、空気注入で構造を保つため従来型のテントと比較して軽量かつ設営が容易という特徴があるが、大型化すると接続部分の処理が課題となっていた。

太陽工業は現在、大阪・関西万博で20カ所以上のパビリオン設営に協力し、大型膜面構造物を施工している実績を持つ。

今回の実証実験の成功を受け、今後は「マク・クイックシェルター」の大型化などのニーズを分析して、自走式ファスナーの本格的な活用を提案していく計画である。

さらに、同社が展開している大型エアシェルター「BIG MQ」への応用や、将来的には宇宙空間での活用なども視野に入れて開発協力を続ける予定としている。


自走式ファスナー技術の進展により、大型テント構造物の設営時間短縮、少人数での作業実現、高所作業リスクの軽減などが期待される。



WRITTEN by

デジコン編集部

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