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デジコン編集部 2021.7.28

清水建設と東大、「ブロックチェーン」で出来形計測データ管理。実用化に向け開発に着手。

清水建設株式会社と東京大学大学院工学系研究科は、建設生産プロセスの合理化を目的に両者が共同開発した「ブロックチェーンを活用した出来形情報管理システム」の実用化に向けた研究開発に着手したことを発表した。

本システムは、保存情報に耐改ざん性を付与できるブロックチェーン上に、施工現場で収集した出来形計測データを格納することで、当該データの信憑性を担保するもの。

このシステムを発注者の出来形検査に展開することで、受注者が提出した検査帳票の根拠データの改ざんの検証をシステム上で実施できるようになり、検査プロセスの合理化を実現するという。

「ブロックチェーンを活用した出来形情報管理システム」システム概念図

共同研究の第一弾として、ICT活用が進む土工事の出来形検査を対象にしたシステムを構築し、2021年11月にも実現場での試行を開始する見込みだ。

施工現場でのICT活用が加速するなか、受注者が現場で収集する出来形計測データを発注者の監督・検査に活用するための技術基準類の整備が進められている。これらの計測データを出来形検査の根拠データとして直接利用できれば、実地検査の省略など検査プロセスの合理化を図れるが、その前提として、計測データの信憑性を確実に担保できる仕組みが不可欠となっている。

「ブロックチェーンを活用した出来形情報管理システム」は、こうした背景の下、書面確認のみで出来形検査の実効性を担保するためのプラットフォームとして開発したもの。なお、本システムの開発は、東京大学大学院工学系研究科が2018年10月に設立した「i-Constructionシステム学寄付講座」の研究活動の一環。

本システムの基盤となるのは、ブロックチェーンとデータストレージ、入力値のハッシュ値生成プログラム。出来形計測データをシステムに保存すると、入力データに紐づいたハッシュ値が生成され、ブロックチェーンに記録される。ブロックチェーン上の情報は改ざんができないため、検査時に検査対象データのハッシュ値を再取得し、ブロックチェーン上のハッシュ値と比較することで改ざんの有無を確認可能。

システムの実用化に向けた研究開発では、土工事の出来形確認に利用する点群情報の信憑性を担保するシステムの構築に取組む。また、点群情報と設計情報から施工誤差を判定するための解析・閲覧技術も新たに開発し、建設生産プロセスの生産性向上につなげていく狙いだ。



WRITTEN by

デジコン編集部

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