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デジコン編集部 2025.4.11

大成建設。国内最高レベルの遠心力載荷実験装置を横浜技術センターに導入

CONTENTS
  1. 最大加速度60Gの水平・鉛直同時加振が可能、試験体搭載スペースは従来の8倍に拡大
大成建設は、横浜市戸塚区の技術センターに設置していた「遠心力載荷実験装置」を国内最高レベルの性能を持つ装置に更新し、運用を開始した。

新装置は巨大地震や長周期地震発生時の地盤変形を高精度に再現でき、原子力施設など高い構造安全性が求められる建造物の設計法検証に活用される。

最大加速度60Gの水平・鉛直同時加振が可能、試験体搭載スペースは従来の8倍に拡大


遠心力載荷実験装置は、振動台を備えたアームの高速回転によって試験体となる模型に遠心力を作用させ、深い地中と同じような大きな圧力がかかった状態を作り出す実験設備である。

さらに振動台を用いて模型を加振し、地震時の挙動を再現することで、地盤内における杭などの構造物基礎の支持力や軟弱地盤における液状化対策効果を検証することができる。

大成建設は1990年から遠心力載荷実験装置の運用を開始し、堤防・橋梁などの土木構造物や超高層ビルなどの建築物を支える「基礎」と「地盤」に関わる技術の研究開発に活用してきた。


今回導入された新装置の最大の特徴は、水平・鉛直方向ともにレベル2相当(想定される最大規模の地震動)を超える最大加速度60Gまでの加振が可能な点である。

従来装置の振動台で再現できる地震動はレベル1相当(構造物の供用期間中に一度以上発生する確率が高い中地震動)の20Gまでだったため、より巨大な地震発生時の地盤内挙動を模型実験で高精度に再現できるようになった。

新装置の振動台の最大振幅は20mmとなり、長周期地震動に相当する変位量にも対応できる。

南海トラフ巨大地震発生への懸念から、免震建物や超高層建物の構造設計において、周期の長いゆっくりとした大きな揺れ「長周期地震動」の影響検討が義務化されているため、この機能は重要な意味を持つ。

従来装置で使用していた振動台は水平方向の加振機能のみだったが、新装置は鉛直方向の加振機能も搭載し、水平・鉛直両方向の同時加振が可能になった。

これにより、原子力施設などを対象とした、水平方向と鉛直方向の揺れが同時に作用した場合の挙動を考慮した設計法の検証が行えるようになった。

実験模型などの試験体の搭載スペースも大幅に拡大し、長さ2m×幅2m×高さ2mとなった(従来装置は1m×1m×1m)。

搭載スペースが8倍になったことで、模型寸法を大きくして杭などの構造物基礎や地盤改良体などの形状をより細かく設定した実験や、広い敷地に複数の構造物が隣接するような複雑な状況を再現した実験が可能になっている。




WRITTEN by

デジコン編集部

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