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デジコン編集部 2025.3.7

建設業従事者の6割が「2025年の崖」を認識せず。「2024年問題」対策も3割が未実施。【タカミヤ調査】

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  1. 経営層と現場のDX認識に大きな乖離、時間外労働規制や老朽ITシステムへの対応遅れが深刻な課題に
タカミヤは、建設・仮設業界に従事する20代~60代の500人を対象に実施した「2024年問題」と「2025年の崖」に関する実態調査の結果を発表した。

経営層と現場のDX認識に大きな乖離、時間外労働規制や老朽ITシステムへの対応遅れが深刻な課題に


調査結果によると、今年4月から建設業にも適用される「2024年問題」(時間外労働の上限規制)について、従事者の半数以上(51.3%)が「あまり認識していない」または「全く認識していない」と回答している。


多忙な現場での問題認識浸透が進んでおらず、3割以上(32.4%)が具体的な対策を講じていないことも判明した。



対策を講じている企業でも、最も多かったのは「人手不足の解消(採用活動の強化や外国人労働者の受け入れ)」(36.3%)で、次いで「時間外労働の上限規制の遵守」(27.4%)、「業務の効率化」(22.7%)となっている。

さらに懸念されるのは、経営者層と実務者の間で対策への認識に大きな乖離が見られる点である。


経営者層は「安全管理の徹底」(31.8%)や「賃金や待遇の改善」(31.8%)などの対策を進めていると回答しているが、実務者でこれらの施策が実感できていると答えた割合は、いずれも経営者層の半数以下にとどまっている。




一方、ITシステムの老朽化や人材不足、デジタル化の遅れが企業のDX推進を妨げ、年間最大12兆円の経済損失をもたらす可能性があるとされる「2025年の崖」については、建設業界従事者の6割以上(61.7%)が「あまり認識していない」または「全く認識していない」と回答した。

具体的な対策についても、約半数(48.2%)が「対策していない」または「対策を講じる予定がない」と答えており、デジタル化の遅れに対する対応が大きく後れを取っている実態が浮き彫りになった。

対策を講じている企業の中では「デジタル技術の活用(DX推進)」(14.4%)、「労働環境改善を目指した働き方改革」(12.2%)、「現場管理の完全ペーパーレス化」(11.8%)といった取り組みが報告されているが、いずれも低水準にとどまっている。

建設業界は現在、老朽化したインフラの修繕工事や都市部の再開発など大きな活気を見せる一方で、人手不足や技能者の高齢化、低い労働生産性といった社会的課題を抱えている。

国土交通省の発表によれば、2022年の建設業就業者数は479万人で、1997年のピーク時から30%減少しており、背景には機械化が難しい作業の多さや業界特有の重層下請構造などの要因がある。

この調査結果は、建設業界が直面する深刻な課題に対する認識不足と対応の遅れを示しており、業界全体での早急なデジタル化推進と労働環境改革の必要性を浮き彫りにしている。

WRITTEN by

デジコン編集部

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