コラム・特集
デジコン編集部 2025.3.3

【無人航空機(ドローン / ラジコン機等)】の《飛行ルール完全ガイド》〜屋外飛行のために必要な手続きとは?〜

CONTENTS
  1. 1. 航空法における「無人航空機」とは
  2. 2. 無人航空機の飛行カテゴリー区分
    1. カテゴリーI(リスクが低い飛行)
    2. カテゴリーII(リスクが中程度の飛行)
    3. カテゴリーIII(リスクが高い飛行)
  3. 3. カテゴリー別の必要手続き
    1. 3.1 カテゴリーI の手続き
    2. 3.2 カテゴリーII の手続き
    3. 3.3 カテゴリーIII の手続き
  4. 4. 機体登録について
    1. 4.1 機体登録の流れ
    2. 4.2 リモートIDについて
  5. 5. 機体認証と技能証明について
    1. 5.1 機体認証
    2. 5.2 技能証明
  6.  
  7. 6. 飛行許可・承認申請について
    1. 6.1 許可・承認が必要な飛行
    2. 6.2 申請から承認までの流れ
  8. 7. 飛行計画の通報と飛行日誌の記載
    1. 7.1 飛行計画の通報
    2. 7.2 飛行日誌の記載
  9. 8. 事故等の報告
  10. まとめ
近年、ドローンやラジコン機などの無人航空機は、趣味や空撮、測量、点検、農薬散布など様々な用途で活用されるようになってきた。

その一方で、無人航空機の増加に伴い、航空機への衝突リスクや墜落による人的・物的被害のリスクも高まっている。

そのため、国土交通省は航空法において無人航空機の飛行に関するルールを定め、安全な飛行環境の確保に努めている。

本記事では、無人航空機を屋外で飛行させるために必要な手続きについて、カテゴリー別に詳しく解説する。

これからドローンやラジコン機の飛行を始めようと考えている方は、ぜひ参考にしていただきたい。

1. 航空法における「無人航空機」とは


まず、航空法上の「無人航空機」の定義を確認しておこう。航空法では、無人航空機を以下のように定義している。

「航空の用に供することができる飛行機、回転翼航空機、滑空機、飛行船であって構造上人が乗ることができないもののうち、遠隔操作又は自動操縦により飛行させることができるもの(100g未満の重量のものを除く)」

具体的には、以下のようなものが該当する。

  • ドローン(マルチローター)
  • ラジコン機(飛行機)
  • 農薬散布用ヘリコプター
  • その他、100g以上の遠隔操作または自動操縦可能な航空機

なお、100g未満の機体は航空法上の無人航空機には該当しないが、別途地方自治体の条例やその他の法令で規制される場合があるため注意が必要である。

2. 無人航空機の飛行カテゴリー区分


国土交通省は、飛行によるリスクの程度に応じて安全を確保した飛行を実現するため、飛行形態に応じたカテゴリー区分を設定している。カテゴリーは大きくI、II、IIIの3つに分かれており、それぞれ必要な手続きが異なる。

カテゴリーI(リスクが低い飛行)


カテゴリーIは、リスクが最も低い飛行形態を指す。具体的には以下の条件をすべて満たす飛行が該当する。

  • 空港周辺の空域、150m以上の空域、催し場の上空、危険物の輸送、物件投下、総重量25kg以上での飛行を行わない
  • 人口集中地区、夜間飛行、目視外飛行、人または物件との距離30m未満の飛行を行わない

カテゴリーII(リスクが中程度の飛行)


カテゴリーIIは、カテゴリーIよりも高いリスクを伴う飛行を指す。さらに以下の2種類に分けられる。

【 飛行許可・承認申請必要な飛行
  • 人口集中地区、夜間飛行、目視外飛行、人または物件との距離30m未満での飛行を行う場合

【 飛行許可・承認申請不要な飛行
  • 第二種機体認証以上と二等操縦技能証明以上を取得している場合で、特定の条件下での飛行


カテゴリーIII(リスクが高い飛行)


カテゴリーIIIは、最もリスクが高い飛行形態を指す。以下のような飛行が該当する。

  • 空港周辺の空域、150m以上の空域、催し場の上空、危険物の輸送、物件投下、総重量25kg以上での飛行を行う場合
  • 第三者上空を飛行する場合

3. カテゴリー別の必要手続き


3.1 カテゴリーI の手続き


カテゴリーIで飛行させる場合は、以下の手続きが必要となる。

  • 機体の購入
  • 機体登録の申請
  • 登録記号の発行(国交省等が実施)
  • 機体への登録記号の表示及びリモートIDの搭載
  • 飛行計画の通報(推奨)
  • 飛行の実施
  • 飛行日誌の記載(推奨)
  • 事故等の報告(事故発生時)

※ カテゴリーIでは機体認証・技能証明の取得や飛行許可・承認申請は不要である。


3.2 カテゴリーII の手続き


【 飛行許可・承認申請が必要な飛行の場合 】

  • 機体の購入
  • 機体登録の申請
  • 登録記号の発行(国交省等が実施)
  • 機体への登録記号の表示及びリモートIDの搭載
  • 飛行許可・承認申請
  • 飛行許可・承認の発行(国交省等が実施)
  • 飛行計画の通報
  • 飛行の実施
  • 飛行日誌の記載
  • 事故等の報告(事故発生時)

※ カテゴリーIIの飛行許可・承認申請が必要な飛行では、機体認証・技能証明の取得は必須ではない。

【 飛行許可・承認申請が不要な飛行の場合 】 

  • 機体の購入
  • 機体登録の申請
  • 登録記号の発行(国交省等が実施)
  • 機体への登録記号の表示及びリモートIDの搭載
  • 第二種機体認証以上の取得
  • 二等操縦技能証明以上の取得
  • 飛行計画の通報
  • 飛行の実施
  • 飛行日誌の記載
  • 事故等の報告(事故発生時)


3.3 カテゴリーIII の手続き



  • 機体の購入
  • 機体登録の申請
  • 登録記号の発行(国交省等が実施)
  • 機体への登録記号の表示及びリモートIDの搭載
  • 第一種機体認証の取得
  • 一等操縦技能証明の取得
  • 飛行許可・承認申請
  • 飛行許可・承認の発行(国交省等が実施)
  • 飛行計画の通報
  • 飛行の実施
  • 飛行日誌の記載
  • 事故等の報告(事故発生時)

※カテゴリーIIIでは、第一種機体認証と一等操縦技能証明の両方が必須


4. 機体登録について


無人航空機を飛行させるためには、まず機体登録が必要である。これはすべてのカテゴリーで共通の手続きとなる。

4.1 機体登録の流れ


  1. ドローン情報基盤システム(DIPS 2.0)にアクセス
  2. 必要事項を入力して登録申請
  3. 登録記号の発行(例:JU0123456789)
  4. 機体への登録記号の表示及びリモートIDの搭載

4.2 リモートIDについて


リモートID:機体の位置情報や登録記号などを送信する機能のことである。2022年6月20日以降に製造された無人航空機には、リモートID機能の搭載が義務付けられている。

既存の機体については、リモートID機能を追加するためのアップデートや外付けデバイスの装着が必要となる場合がある。

5. 機体認証と技能証明について


5.1 機体認証


機体認証:無人航空機が安全性の基準に適合していることを証明するもの

  • 第一種機体認証:カテゴリーIIIの飛行に必要
  • 第二種機体認証以上:カテゴリーIIの一部の飛行に必要

5.2 技能証明


技能証明:無人航空機を安全に操縦する能力があることを証明するもの
 
  • 一等操縦技能証明:カテゴリーIIIの飛行に必要
  • 二等操縦技能証明以上:カテゴリーIIの一部の飛行に必要

 

6. 飛行許可・承認申請について


カテゴリーIIとIIIの一部の飛行では、飛行許可・承認申請が必要となる。申請は原則としてドローン情報基盤システム(DIPS 2.0)を通じて行う。

6.1 許可・承認が必要な飛行


  • 空港周辺の空域での飛行
  • 地表または水面から150m以上の高さの空域での飛行
  • 人口集中地区上空での飛行
  • 夜間飛行
  • 目視外飛行
  • 人または物件から30m未満の距離での飛行
  • 催し場所の上空での飛行
  • 危険物の輸送
  • 物件投下

6.2 申請から承認までの流れ


  1. DIPS 2.0を通じて申請書類を提出
  2. 国土交通省による審査
  3. 許可・承認の発行


7. 飛行計画の通報と飛行日誌の記載


7.1 飛行計画の通報


飛行計画の通報は、無人航空機の飛行予定を事前に関係機関に知らせるためのものである。カテゴリーII、IIIでは必須、カテゴリーIでは推奨とされている。通報はDIPS 2.0を通じて行うことができる。

7.2 飛行日誌の記載


飛行日誌は、無人航空機の飛行記録を残すためのものである。カテゴリーII、IIIでは必須、カテゴリーIでは推奨とされている。飛行日誌には以下のような情報を記録する:

  • 飛行日時
  • 飛行場所
  • 飛行目的
  • 飛行時間
  • 操縦者名
  • 天候
  • トラブルや不具合の有無
  • その他特記事項


8. 事故等の報告


無人航空機の飛行中に事故や重大なトラブルが発生した場合は、速やかに国土交通省への報告が必要である。報告が必要な事例としては、以下のようなものがある。

  • 人の死傷につながる事故
  • 第三者の物件を損傷させる事故
  • 飛行中の機体の紛失
  • 飛行の継続が困難となる重大な機体の損傷
  • 報告はDIPS 2.0を通じて行うことができる。


まとめ


無人航空機を安全かつ適法に飛行させるためには、航空法に基づく適切な手続きが不可欠である。本記事では、カテゴリーI、II、IIIそれぞれの飛行形態に応じた必要手続きについて解説した。

特に重要なのは、すべてのカテゴリーで共通して必要となる機体登録と登録記号の表示である。

また、飛行形態によっては機体認証や技能証明の取得、飛行許可・承認申請が必要となるため、自分の飛行がどのカテゴリーに該当するのかを正確に把握することが重要である。

無人航空機の技術は日々進化しており、それに伴い法規制も変更される可能性がある。最新の情報は国土交通省の航空局ホームページで確認するようにしよう。

安全で責任ある飛行を心がけ、無人航空機の可能性を最大限に活用していただきたい。







出典元:国土交通省「無人航空機の飛行ルール」/国土交通省航空局「無人航空機の飛行許可・承認手続」/ドローン情報基盤システム(DIPS 2.0)/航空法第132条(無人航空機の登録)/航空法第132条の2(無人航空機の飛行)
WRITTEN by

デジコン編集部

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