自動水圧制御システムで床版撤去時間を15％短縮。高速道路リニューアル工事の効率化技術が実証。西松建設とコンクリートコーリング

西松建設とコンクリートコーリングは合成桁床版の撤去作業を高速化する「自動水圧制御システム」を開発し、実大供試体での検証により床版撤去作業時間の約15％短縮を実現した。

「板ジャッキ」と水圧制御ユニットの連携で省人化と安全性を両立した高速道路床版取替技術

高速道路のリニューアル工事では、各地で橋梁床版の取替工事が進められている。

既設床版の撤去作業は工事全体の施工サイクルにおいて多くの時間を占めており、施工効率の向上が長年の課題となっていた。

西松建設はこれまでに合成桁形式の急速撤去工法として「板ジャッキ」を用いた切断撤去技術の開発を進めてきたが、今回新たに水圧制御ユニットを開発することで作業効率を大幅に向上させた。

水圧制御ユニットは、水圧ポンプと板ジャッキの間に配置され、4分岐×2の構成となっている。


分岐部には水圧の減圧を検知した場合に自動的にバルブを閉める電磁弁を配置することで、コンクリートにひび割れが発生した際に送水を自動停止する機能を実現している。

さらに、すべてのバルブが閉じたことを検知後、自動的に再送水するプログラムを構築したことで、床版と主桁を均等にリフトアップ・破断することが可能となった。

操作はタッチ式操作盤を用いて行うことができ、最大30m離れた位置からの遠隔操作が可能となっており、作業員の安全性向上にも寄与している。

開発した技術の性能検証のため、主桁を含めた模擬合成桁床版を製作し、実大切断実験を実施した。

模擬床版は2桁間の合成I桁床版（床版厚：170mm、橋軸方向：4.9m、主桁間隔3.2m）とし、床版と主桁の接合には馬蹄形ジベル筋を350mm間隔で配置した実践的な条件で検証が行われた。

検証実験では8枚の板ジャッキを同時に使用し、水圧制御ユニットによって破断状況を適切に制御することに成功した。

主桁や板ジャッキに不具合を与えることなく、安全かつ効率的に床版を破断できることが確認された。

自動水圧制御システムの導入により、作業人数は従来の5名から2名へと大幅に削減され、桁下の監視作業も不要となった。

また、切断後の主桁部に残るコンクリートも従来工法に比べて約40％削減することに成功し、主桁上のはつり作業も大幅に低減された。