コラム・特集
デジコン編集部 2024.12.6

生成AIと従来型AIの違いを解説! 〜 建設業界での活用シーンも紹介 〜

CONTENTS
  1. 従来型AIと生成AIの基本的な違い
  2. 建設現場での具体的な活用シーン
  3. 従来型AIと生成AIの組み合わせがもたらす可能性
  4. 技術導入における留意点
  5. AIの今後の展望
  6.  
建設業界でもデジタル化が進み、AIや生成AIという言葉を耳にする機会が増えている。

しかし、この2つの技術の違いを正確に理解している人は多くないだろう。

本記事では、建設現場での具体例を交えながら、AIと生成AIの違いをわかりやすく解説する。

従来型AIと生成AIの基本的な違い

従来型AIは、機械学習やディープラーニングを用いて、与えられたデータから特定のパターンを学習し、定められたタスクを実行する。

この技術は入力に対して予測や分類を行うことに長けている。

例えば 、画像認識の場合、大量の教師データを用いて学習を重ね、新しい画像に対して「これは安全帽を着用していない作業員の画像である」といった判定を行う。

また、数値予測の場合は、過去の工期や気象条件、作業進捗などのデータから、「この工程は何日かかるか」を予測することができる。

一方、生成AIは、トランスフォーマーと呼ばれる深層学習モデルを基盤とし、大規模な言語モデルを使用して文脈を理解し、新しい内容を生成する。

(画像:canva)

GPT(Generative Pre-trained Transformer)に代表されるこの技術は、人間の指示(プロンプト)に応じて柔軟な出力を生成できる。

この技術の特徴は、文脈理解と生成能力の高さにある。

建設現場の状況説明から適切な対応策を提案したり、過去の施工計画書を参考に新しい計画書を作成したりすることができる。

生成AIの中核となる大規模言語モデルは、数千億のパラメータを持ち、インターネット上の大量のテキストデータで事前学習を行っている。

これにより、建設業界の専門用語や技術的な文脈を理解し、人間の意図に沿った出力を生成することが可能となる。

建設現場での具体的な活用シーン


従来型AIは、現場での即時判断や定量的な分析に力を発揮する。

監視カメラの映像から作業員の危険行動を検知した際、即座にアラートを発することができる。

また、ドローンで撮影した写真から地形の3Dモデルを自動生成する際も、画像処理技術とAIの組み合わせにより高精度な成果が得られる。

現場のコンクリート打設作業においては、熟練技術者の目に相当する品質検査をAIが支援する。

ひび割れの検出や表面性状の分析を自動で行い、定量的な品質評価を可能にしている。

一方、生成AIは建設プロジェクトの計画立案や文書作成の場面で活用が進んでいる。

例えば施工計画書の作成では、過去の類似案件のデータを参考に、現場固有の条件を考慮した具体的な計画案を提示することができる。

従来型AIと生成AIの組み合わせがもたらす可能性


建設現場における両技術の連携は、新たな価値を生み出している。

(画像:Cancva)

従来型AIで検出した現場の異常を、生成AIが分析して対策を提案するといった複合的な活用が可能である。

例えば、重機の稼働データをAIが分析して異常を検知し、その状況を生成AIが解釈して、具体的なメンテナンス手順を提案するといった使い方ができる。

さらに、BIM/CIMといった3次元モデルのデータと連携することで、設計変更の提案や施工手順の最適化にも活用できる。

技術導入における留意点


建設業界でのAI活用には、データの質と量の確保が不可欠である。

特に従来型AIの場合、学習に使用するデータの品質が精度を大きく左右する。

一方、生成AIは既存の大規模モデルを活用できるものの、建設業特有の専門知識や規制への対応には、適切なファインチューニングが必要となる。

また、どちらの技術も、出力結果の検証と人間による最終判断が重要である。

特に構造物の安全性や品質に関わる判断には、技術者の専門知識に基づく確認が不可欠である。

AIの今後の展望


建設業界におけるAI活用は、まだ発展途上の段階にある。

今後は、5GやIoTとの連携により、現場のリアルタイムデータ活用がさらに進むと考えられる。

従来型AIによる異常検知と生成AIによる対策立案を組み合わせた統合システムの開発や、現場作業員の経験やノウハウのデジタル化など、さまざまな可能性が広がっている。

建設DXにおいて、AIは重要な役割を果たすツールとなる。

ただし、これらの技術は人間の判断を支援するものであり、最終的な意思決定は現場の技術者が担う必要がある。


 

WRITTEN by

デジコン編集部

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