コラム・特集
國廣 愛佳 2024.11.28

秋田の土木・建設会社トップ15社を紹介! 〜 未来に残るふるさとをつくる基幹産業 〜

CONTENTS
  1. 1. 朝日建設
  2. 2. 伊藤建設工業
  3. 3. 丸茂組
  4. 4. 宮原組
  5. 5. 興栄建設
  6. 6. 三共
  7. 7. 山科建設
  8. 8. 中田建設
  9. 9. 山岡工業
  10. 10. 沢木組
  11. 11. 大森建設
  12. 12. 秋田土建
  13. 13. 白川建設
  14. 14. 佐藤建設
  15. 15. 大館桂工業
県全域が積雪寒冷地域、豪雪地帯に指定されている日本有数の多雪地帯である秋田県。

積雪を前提としたインフラ整備や除雪・災害対応には高い技術が求められます。

建設業は県内雇用の約1割を支える基幹産業のひとつでありながら、一方では、他県と同じく従事者の高齢化と新規入職者の減少が続いており、担い手不足が深刻化している。

そうした状況を受けて、2023年10月には、秋⽥県建設部建設政策課に「秋⽥県建設産業活性化センター」が設けられ、“新4K(給与が良い、休暇が取れる、希望が持てる、かっこいい)”の実現を掲げて人材確保・育成とイメージアップへの取り組みが積極的に行われている。

例えば、同センターが冊子とウェブサイトで公開している「秋田県建設企業ガイドブック」には、県内167社の企業データ、学生へのメッセージなどをまとめて見ることができる。

また、一般社団法人秋田県建設業協会が運営するポータルサイト「アキケンch(チャンネル)」では、就職情報、県内の工事現場を訪れ仕事内容を紹介する動画シリーズ「毎日が誇りまみれ」、「未来へ伝えたい秋田のインフラ50選」などのコンテンツを発信している。

本記事では、秋田県の総合土木・建設業界をリードする15社を紹介する。

各社の歴史、特徴的な技術、代表的なプロジェクト、そして最新の取り組みなどを詳しく見ていこう。

1. 朝日建設


1971年創業の朝日建設は、2021年に「みちのくi-Construction奨励賞」、2023年に「みちのくインフラDX奨励賞」を受賞するなど、建設・土木の現場へのICT導入を精力的に進めてきた。

2020年春に導入したドローンのほか、電子小黒板も活用し、現場の業務効率化に役立てている。高校生向けの職場見学会を開催しており、工事現場でドローン操作を実演したり、実際に学生たちに操作を体験してもらうなど、人材確保にも取り組んんでいる。

企業理念として「環境派宣言!」を掲げ、自社でリサイクルセンターを設けるなど、県内の環境保全に配慮した工事を行っていることも特徴だ。




2. 伊藤建設工業


伊藤建設工業は、1946年の創業以来、総合建設業者として秋田県内のインフラ整備を支えてきた。

土木事業では、トンネル、ダム・砂防、護岸・築堤、農地整備と、海から山まで広く対応。橋梁、道路、災害復旧などの道づくりも行う。

(画像:伊藤建設工業WEBサイトより)

施工実績としては、秋田県からの発注を受けた城山トンネル、国土交通省からの発注を受けた成瀬ダム工事などがある

建築事業では、学校・保育園、公共施設、病院・福祉施設、さらには事務所・店舗や個人住宅も手がける。

よこて農業創生大学事業の地域価値創造拠点(狐塚エリア)整備工事、横手城などが代表的な施工実績の一例だ。

2024年3月には、東北みらいDX・i-Construction 連絡調整会議から「ICTサポーター」の認定を受け、ICT施工の普及促進・3次元データの利活用促進を目指した活動をスタートさせている。



3. 丸茂組


1953年に創業した丸茂組は、砂利・砕石採取販売業を行うミウラ産業などとともに丸茂グループを構成する企業だ。

道路・河川・ほ場整備・下水道の4部門を持つ土木部、公共施設、医療・福祉施設、工場やマンション、商業施設から注文住宅まで手がける建築部、コンクリート・アモルファス・シリコン太陽電池などの環境事業、そして地元の伝統行事となっている「川を渡る梵天」や子どもたちに向けた重機見学会などの地域貢献事業を行っている。

毎年春と夏にインターンシップの受け入れを行っており、県内高校卒業生などの採用にも力を入れている。



4. 宮原組


1960年に土建業として設立された宮原組は、1992年に株式会社化、2006年には大仙市の本社に加え秋田市に秋田営業所を新設するなど発展を続けてきた。

国土交通省東北地方整備局からの工事成績優秀企業認定をはじめ、近年では毎年続く受賞歴が実績を裏付けている。

土木工事では、3次元での設計図面、重機類にプログラムをインストールして操作を制御する技術や、クラウドサービスを活用した書類のやり取り、web会議による現場臨場の省力化など、ICTとIoTを取り入れている。

創業以来行っている法面工事(切土・盛土によってつくられた人工的な斜面の工事)の実績を数多く持っており、熟練した作業員の存在に加え、自社で法面工事を施工できる県内は数社である希少性も相まって、宮原組を象徴する工事のひとつとなっている。



5. 興栄建設


鉄骨製造を主体とした総合建設会社である興栄建設は、1975年に設立された興栄鐵工株式会社を前身とする企業だ。

鐵構部門では、ビルや工場など大型建造物向けの鉄骨製造を行っており、実績として、首都圏では、バスタ新宿、衆議院議員会館、三菱鉛筆本社、高輪ゲートウェイ駅など、東北地方でじゃ花火伝統文化継承資料館「はなび・アム」、大曲消防署などがある。

(画像:興栄建設WEBサイトより)

土木部門は、県内のほ場や下水道、道路などを広く手がけており、楢岡川の河川災害復旧工事、大曲墓園の整備などを実績として持つ。

建築部門は県内の工事を行っており、工場や事務所、店舗など数多くの実績があるほか、木工部では木造住宅の新築やリフォームも手がける。



6. 三共


「地元の『困った』を解決する会社」というメッセージを発信する三共は、土木、建築、設備、環境の4事業を柱にした総合建設業だ。

1972年、金子建設、安倍商事、鈴木工務所の3事業者の合併により設立された。

現在では、土木工事や重機運送などを行う三共サービス、金属加工・産業機械部品製造などを行う三共スチールなど、10つの企業からなるグループ会社となっている。

土木事業では、ドローンやGPSを活用した三次元測量と設計を行っており、ICT土木に力を注いでいる。

2024年11月現在、鳥海ダム周辺施設整備工事、洗釜地区道路改良工事など、秋田県内で複数の施工を進めている。




7. 山科建設


1930年に丸米組として創業、1967年に山科建設となって以降、矢島生コンや山科道路土木など7企業による山科グループとして、県内の土木、建設業の成長の一翼を担ってきた。

土木施工管理技士1級ほか、資格・免許の保有者が多数在籍にしていることに加え、各種講習の受講にも積極的に取り組んでおり、地山の掘削作業主任者などの技術講習修了者、職長・安全衛生責任者教育などの特別教育・安全衛生教育修了者の各人数をウェブサイトで公開している。

(画像:山科建設WEBサイトはこちら)

土木工事では、数多くの公共事業を請け負っており、東北地方整備局秋田河川国道事務所、由利地域振興局、由利本荘市、東北森林管理局、日本道路公団東北支店、NEXCO東日本、日本下水道事業団が主な取引先となっている。



8. 中田建設


1946年に創業した中田建設は、1986年生まれの8代目社長がリーダーシップを取る企業だ。

道路や橋、河川、海岸、上下水道の配管工事といった建造物の施工に加え、近年ではインフラの維持・修繕工事も数多く行う。

土木部の主な実績としては、大森ふ頭用地造成工事、秋田陸揚局新築工事などがある。

そのほか、積算・入札による物件を落札、予算管理計画・工程計画の策定、工事の安全管理・施工管理・実施工程管理・実施予算管理などを行う建築部、受注先を開拓する営業部、経理と働く環境づくりを行う総務部がある。



9. 山岡工業


山岡工業は、横手市を拠点として1951年に創業した。現在では、横手市に加え、北秋田市、由利本荘市、仙北市の4箇所に営業所を構える。

土木班と環境班からなる建設環境部、管工事部、管理班とプラント・工事班からなる水処理部の3部門で事業を展開している。

(画像: 山岡工業WEBサイトより)

建設環境部では、都市機能と自然環境との調和を前提として、上下水道工事、道路工事、河川工事、特殊車両による水道施設清掃などを行っている。

2022年からは、秋田県初の下水道管路包括的民間委託業務に参画し、通常の維持管理に加えて、住民対応や災害対応の業務も一括してサポートにあたっている。

下水道管の工事については、非開削で改築することで短期間で工事コストも削減できる更生工法を取り入れるほか、水処理施設の維持管理を多数受託するなど、水道工事と水処理に強みを持つ企業だ。



10. 沢木組


1951年創業の沢木組は、建築工事、一般土木工事、海洋土木工事、舗装工事、造園工事、管工事を行い、秋田県内の大規模プロジェクトに多数参画してきた総合建設企業だ。

秋田をリードする技術力を自負し、ICT対応の大型起重機作業船や最新の建設機械の採用、勤怠・労務管理の電子化など、最新技術の導入も積極的に行っている。

(画像:沢木組WEBサイトより)

特徴のひとつである海洋土木部門では、ICT技術を導入した起重機船「第七大雄号」をはじめとする作業船を所有し、防波堤の建設や、消波ブロックの製作・据付等の港湾工事を請け負っている。

管工事部門では、秋田県内でも早期にBIM(ビルディング・インフォメーション・モデリング)対応のCADを導入し、機器類・配管・ダクトなどを3次元モデル化することで、品質・施工管理に活用している。



11. 大森建設


大森建設は、1946年に操業を開始した大森組に沿革の発端を持つ。

現在では介護福祉事業、レストラン事業、「米の秋田は酒の国」を掲げた日本酒事業などを展開する各グループ会社の中核となっている企業だ。

(画像:大森建設WEBサイトより)

「郷土を愛し地域に尽くす」という企業メッセージの通り、秋田県の地域力を事業のアイデンティティとしており、グループ内のネットワークを原動力に成長を続けている。

主な実績として、小入川橋、砂防ダム、能代港、鹿瀬内トンネル、風力発電所建設などがあり、優良工事表彰受賞など多数の受賞歴がある。

2024年には、優秀な外国人材の獲得、外国人材の育成・キャリア支援・地域に馴染みやすく定着できる環境整備の構築、DXによる外国人材・外国労働者の雇用のための事務作業の効率化に取り組む経済産業省の事業に採択され、外国人材の確保と地域プラットフォーム構築に向けた取り組みをスタートさせた。




12. 秋田土建


秋田土建は、1905年に創業し、明治、大正、昭和、平成、令和と5つの時代にわたって秋田県のまちづくりを支えてきた企業だ。

土木工事では、三次元レーザースキャナを導入しており、3次元データ作成から現況測量、3D解析、納品まで、一連の流れを自社内で実施できる体制を構築している。

さらに、施工管理や安全・環境分野でもDX化を進め、作業効率と生産性の向上に取り組んでいる。

「未来へ誇れる仕事を、手から手に。」「手から、つなぐ。」という企業コンセプトを打ち出しており、手を伝い受け継がれる技術力と創造力、最新技術を手にする次世代の土木建築、担い手の育成、そして地域と手を携えて歩むことを重要視している。




13. 白川建設


1923年に創業した白川建設は、長い歴史を誇る老舗企業だ。90年以上にわたって秋田県、大館市の格付A級事業者となっており、多数の公共工事を行ってきた。

また、兼業事業として砕石業も手がけており、鉄道用、生コンクリート用、道路用などの砕石を製造・販売を行っている。

2024年には、従業員が心身ともに健康に働ける事業所を目指した取り組みが評価され、「大館市健康づくりチャレンジ事業所」として認定されたほか、「大館市働くパパママ応援企業」にも認定されており、働きやすい環境づくりに力を注いでいる。



14. 佐藤建設


佐藤建設は、工事規模の大小を問わず、土木工事や舗装工事などを中心に施工を行う総合建設業者。1959年に設立され、現在は女性が社長を務めている企業だ。

土木工事にあたっては、ICTやドローンを導入し、生産性や正確性の向上に取り組んでいる。

代表的な実績としては、秋田県の県北地域で最も交通量の多い国道7号線(大館市矢立峠~北秋田市今泉)の維持補修を担当している。

穴埋め補修、劣化が見られた際の打ち換えなど日々行う作業と、1日置きに行うパトロールカーでの全線巡回、さらに、例えば春夏に行う除草、秋に行うスノーポールの設置、冬の除雪や凍結抑制剤散布、大雨による緊急巡回や災害時の緊急対応など業務は多岐にわたる。



15. 大館桂工業


1958年に設立された大館桂工業は、秋田県大館市の本社に加え、青森県、岩手県にも営業所を持つ。

土木一式、水道工事を担当する施設課、給排水や空調などの管工事を行う設備課、施設電気や受変電などを担当する電設課、公共施設や福祉施設の設備保守などを行うメンテナンス課があるほか、鉄道関連の課もあるのが特色だ。

(画像:大館桂工業WEBサイトより)

交通信号機や道路標識設置などを行う道路交通課、鉄道信号や鉄道通信工事を行う鉄道通信課に加え、鉄道器具箱配線(製造)を行う大館配線事業所もある。

福利厚生にも特徴があり、企業主導型保育施設の開園、社員専用トレーニングルームを設置などを通して、働きやすく、社員同士がコミュニケーションを取る機会の多い環境をつくっている。




WRITTEN by

國廣 愛佳

創業支援や地域活性を行う都内のまちづくり会社に勤務後、2019年よりフリーランス。紙面やwebサイトの編集、インタビューやコピーライティングなどの執筆を中心に、ジャンルを問わず活動。四国にある築100年の実家をどう生かすかが長年の悩み。

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