高速道路工事を革新する「スライドジョイント式の壁高欄」を開発。施工性と耐久性を大幅に向上。熊谷組とベルテクス

株式会社熊谷組とベルテクス株式会社は、高速道路の更新工事に適用可能な新型のプレキャスト壁高欄「スライドジョイント壁高欄」を共同開発したと発表した。

この革新的な製品は、従来の工法と比較して現場作業を大幅に削減し、省人化、省力化、さらなる急速施工を可能にするという。

画期的な設計で施工性と耐久性を向上

スライドジョイント壁高欄の最大の特徴は、その独自の設計にある。床版とプレキャスト壁高欄の接合にループ状鉄筋を、壁高欄同士の連結に鋼管を使用することで、従来よりも簡単かつ迅速な施工を実現している。


特に注目すべきは、壁高欄同士の結合に採用された鋼管継手だ。この技術により、壁高欄端面をフラットな形状にしながらも、十分なせん断強度を確保することが可能となった。これにより、外部からの水の浸入を防ぎ、耐久性と美観の向上にも貢献している。

さらに、自立するL型構造を採用したことで、保管や設置作業が格段に容易になった。従来必要だった壁高欄の反転や起こす作業が不要となり、作業効率の大幅な向上が見込まれる。

熊谷組の上田真社長は、「この新技術により、高速道路の更新工事における作業時間の短縮と安全性の向上が実現します。また、維持管理の面でも大きなメリットがあると考えています」とコメントしている。

高速道路インフラの未来を見据えた開発

本製品の開発背景には、高速道路インフラの老朽化対策がある。高度経済成長期に建設された多くの高速道路が更新時期を迎える中、効率的かつ高品質な工事手法の確立が急務となっている。

スライドジョイント壁高欄は、このような社会的要請に応える形で開発された。特に、施工性と経済性の大幅な向上は、工期短縮とコスト削減に直結する重要な特徴だ。


アンカー筋定着部、壁高欄・床版連結部、壁高欄同士の目地部に無収縮モルタルを注入するだけのシンプルな構造により、従来工法と比べて大幅な作業効率の向上が期待できる。

また、NEXCO試験法による性能確認試験をすべてクリアしており、安全性も十分に担保されている。

ベルテクスの土屋明秀社長は、「この技術が、日本の高速道路インフラの長寿命化と安全性向上に貢献できると確信しています。今後も、社会インフラの発展に寄与する製品開発に注力していきます」と述べている。

スライドジョイント壁高欄の実用化により、高速道路の更新工事における作業効率の向上と工期短縮が実現すれば、道路利用者への影響を最小限に抑えながら、インフラ整備を進めることが可能になる。