コラム・特集
日本の「住宅設備・建材企業」大手15社を紹介!【2024】
住宅設備・建材業界は、日本の住環境の質を支える重要な産業である。近年、この業界は大きな変革期を迎えている。
少子高齢化による新築住宅需要の減少、環境配慮への要請の高まり、デジタル技術の急速な進展など、様々な要因が業界の構造を変えつつある。
このような状況下で、各企業は独自の戦略を展開している。製品の高付加価値化、海外市場への展開、IoT技術の活用、環境負荷低減への取り組みなど、その方向性は多岐にわたる。
特に注目されているのが、「スマートホーム」関連製品の開発だ。AIやIoTを活用し、より快適で効率的な住空間を実現する製品が次々と市場に投入されている。
また、2020年以降のパンデミックの影響で、「家」の重要性が再認識されたことも業界に大きな影響を与えている。
抗菌・抗ウイルス機能を持つ製品の需要が高まり、在宅勤務に対応した住空間の提案なども活発化している。
さらに、カーボンニュートラルへの世界的な動きを受け、省エネ性能の高い建材や、環境負荷の少ない素材を使用した製品の開発も加速している。
リサイクル可能な素材の使用や、製造過程でのCO2排出削減など、サプライチェーン全体での取り組みが求められている。
本記事では、こうした激動の時代にあって日本の住宅建材業界を牽引する15社を紹介する。売上高や株価、市場シェアなどを考慮して選定し、各社の特徴や強み、最新の取り組みを解説する。
住宅設備機器のトップメーカーとして知られるLIXILは、2011年にトステム、INAX、新日軽、サンウエーブ工業、東洋エクステリアの5社が統合して誕生した巨大企業である。
キッチン、バスルーム、トイレ、サッシなど、住宅のあらゆる場所に製品を提供している。近年は、IoT技術を活用したスマートホーム製品の開発にも注力。
水栓金具「ナビッシュ」や、AI搭載のトイレ「SATIS G」など、革新的な製品を次々と市場に投入している。また、環境負荷低減にも積極的で、再生可能エネルギーの活用や製品のリサイクル率向上にも取り組んでいる。
YKK APは、ファスナーで有名なYKKグループの建材部門として1957年に設立された。窓やドア、外壁材などの外装建材を主力製品とし、高い技術力と品質で業界をリードしている。
同社の特徴は、「窓」に特化した製品開発と技術革新だ。断熱性能に優れた「APW」シリーズは、省エネ住宅の普及に大きく貢献している。
また、ビル用サッシの分野でも高いシェアを誇り、超高層ビルの建設ラッシュを技術面からサポートしている。近年は、デジタル技術を活用した「窓診断」サービスなど、アフターサービスの充実にも力を入れている。
外壁材のトップメーカーであるニチハは、1956年の創業以来、革新的な建材開発で業界を牽引してきた。
同社の代名詞とも言える窯業系サイディング「Fu-ge(フュージェ)」シリーズは、耐久性と意匠性を両立し、多くの住宅で採用されている。ニチハの強みは、豊富な製品ラインナップと高度な製造技術にある。
近年は、環境配慮型製品の開発にも注力しており、再生木材を使用したエクステリア製品「エコプレーゼ」など、サステナビリティを意識した製品展開を進めている。また、デジタル技術を活用した外壁シミュレーションサービスの提供など、顧客サービスの向上にも積極的だ。
1917年に創業したTOTOは、日本を代表する衛生陶器メーカーである。同社の名を世界に知らしめたのは、温水洗浄便座「ウォシュレット」だ。この革新的な製品は、日本の住宅設備の水準を一気に引き上げ、今や日本の文化として世界中で認知されている。
TOTOの製品開発の特徴は、徹底した使用者目線にある。水回り製品の機能性と快適性を追求し続け、節水技術や自動洗浄機能など、時代のニーズに合わせた製品を次々と生み出している。
近年は、IoT技術を活用したスマートトイレの開発や、抗菌・抗ウイルス技術の研究にも力を入れており、衛生的で快適な住環境の創造に貢献している。
内装建材の専門メーカーとして知られるノダは、1902年の創業以来、木質建材を中心に事業を展開してきた。
同社の強みは、天然木の質感を活かした高品質な建材の製造技術にある。特に、独自の技術で開発した「S-コア」は、優れた寸法安定性と耐久性を持ち、多くの建築現場で採用されている。
近年は、環境への配慮を強化し、FSC認証材を使用した製品ラインナップの拡充や、廃材を活用した新素材の開発にも取り組んでいる。また、デジタル技術を活用した内装シミュレーションサービスの提供など、顧客満足度の向上にも力を入れている。
キッチン設備の大手メーカーであるクリナップは、1949年の創業以来、革新的な製品開発で業界をリードしてきた。
同社の代表的な製品である「クリンレディ」シリーズは、使いやすさと清掃性を追求したデザインで、多くの家庭に採用されている。クリナップの特徴は、徹底した顧客ニーズの分析と、それに基づく製品開発にある。
最近では、IoT技術を活用したスマートキッチンの開発や、抗菌・抗ウイルス機能を備えた製品の展開など、時代の要請に応える製品づくりを進めている。また、環境負荷低減にも積極的で、リサイクル可能な素材の使用や、省エネ設計の採用にも注力している。
1912年に創業したタカラスタンダードは、キッチン、浴室、洗面化粧台などの住宅設備機器を総合的に手がける大手メーカーだ。
同社の強みは、高品質な製品を合理的な価格で提供する「良品廉価」の精神にある。特に、オールステンレス製のキッチンシステム「エマージュ」は、耐久性と美観を両立し、多くの支持を得ている。
タカラスタンダードは、製品の開発から製造、販売までを一貫して行う垂直統合型のビジネスモデルを採用しており、これが高品質かつリーズナブルな製品供給を可能にしている。
近年は、IoT技術を活用したスマートキッチンの開発や、抗菌・抗ウイルス機能を持つ製品の拡充にも注力している。
外装建材の専門メーカーであるケイミューは、2003年にクボタと松下電工(現パナソニック)の建材事業が統合して誕生した企業だ。
屋根材、外壁材、雨とい等を主力製品とし、高い技術力と品質で市場をリードしている。同社の特徴は、伝統的な日本家屋の美しさを現代の技術で再現する「和風建材」の開発力にある。
また、環境配慮型製品の開発にも積極的で、太陽光発電システムと一体化した屋根材「ソーラールーフ」など、革新的な製品を次々と市場に投入している。近年は、AIを活用した外装診断サービスの提供など、アフターサービスの充実にも力を入れている。
衛生設備機器のメーカーとして知られるニッコーは、1908年の創業以来、陶磁器の製造技術を核に事業を展開してきた。
同社の強みは、高度な陶磁器製造技術と、それを活かした機能的な製品開発力にある。特に、独自開発の「セラミックコア技術」を用いた浄化槽システムは、環境負荷の低減と処理能力の向上を両立し、高い評価を得ている。
近年は、IoT技術を活用した水回り製品の開発にも注力しており、スマートトイレや自動水栓など、先進的な製品を次々と市場に投入している。また、海外展開にも積極的で、アジア市場を中心に事業拡大を図っている。
木質建材の専門メーカーであるウッドワンは、1935年の創業以来、「木」にこだわった製品開発で業界に独自の地位を築いてきた。
同社の特徴は、原料となる木材の調達から製品の製造、販売までを一貫して行う垂直統合型のビジネスモデルにある。
特に、ニュージーランドに広大な森林を所有し、持続可能な木材供給体制を確立している点は、他社にない強みだ。
製品面では、無垢材を使用した高品質な内装材「ピノアース」シリーズが好評を博している。近年は、環境への配慮を強化し、FSC認証材の使用拡大や、木質バイオマス発電の導入など、サステナビリティを意識した経営を推進している。
パナソニックグループの住宅設備部門として、多彩な製品ラインナップを誇るパナソニック ハウジングソリューションズ。同社の強みは、グループの総合力を活かした製品開発と、先進的なテクノロジーの導入にある。
特に注目されているのが、IoT技術を活用したスマートホームソリューション「HomeX」だ。
照明、エアコン、セキュリティなど、住宅内のあらゆる機器をネットワークでつなぎ、快適で効率的な暮らしを実現している。
また、太陽光発電システムや蓄電池など、エネルギーマネジメント関連製品の開発にも注力。環境配慮と快適性を両立した住空間の創造に貢献している。
1953年創業のサンゲツは、壁紙や床材、カーテンなどのインテリア製品を手がける大手メーカーだ。
同社の特徴は、豊富な製品ラインナップと、トレンドを先取りしたデザイン力にある。特に、デジタル技術を活用した「サンゲツ壁紙デザイナー」は、顧客が自宅にいながら壁紙のコーディネートをシミュレーションできるサービスとして好評を博している。
近年は、環境配慮型製品の開発にも力を入れており、再生材を使用した壁紙や、VOC(揮発性有機化合物)の放散量を抑えた製品など、健康的で持続可能な住空間づくりに貢献している。
また、海外展開も積極的に進めており、アジア市場を中心に事業拡大を図っている。
1946年に創業した永大産業は、フローリングや内装ドアなどの木質内装材を主力製品とする老舗メーカーだ。
同社の強みは、長年培ってきた木材加工技術と、環境に配慮した製品開発力にある。特に注目されているのが、国産材を活用した「ビーチ」シリーズだ。
日本の森林資源の有効活用と、高品質な内装材の提供を両立させている。また、近年は健康住宅への関心の高まりを受け、調湿機能や消臭機能を持つ機能性建材の開発にも注力している。
さらに、デジタル技術を活用した「バーチャルショールーム」の開設など、新しい顧客体験の創出にも取り組んでいる。
接着剤や化粧板、建装材などを手がけるアイカ工業は、1936年の創業以来、独自の技術力で業界をリードしてきた。
同社の特徴は、高い機能性と意匠性を兼ね備えた製品開発力にある。特に、耐熱性や耐摩耗性に優れた「アイカメラミン化粧板」は、多くの建築現場で採用されている。
近年は、抗ウイルス・抗菌製品の開発に力を入れており、「アイカウイルテクト」シリーズが注目を集めている。
また、環境配慮型製品の拡充にも取り組んでおり、再生材を使用した製品や、VOC削減製品の開発を進めている。海外展開も積極的で、アジアを中心に生産拠点の拡大を図っている。
1945年創業の大建工業は、内装建材や住宅設備機器を幅広く手がける総合建材メーカーだ。同社の強みは、多彩な製品ラインナップと、顧客ニーズに応じたカスタマイズ能力にある。
特に注目されているのが、高い遮音性能を持つ床材「ダイケンハイブリッド床」だ。集合住宅での生活音問題に対応し、快適な住環境の実現に貢献している。
また、近年は環境配慮型製品の開発にも注力しており、間伐材を活用した内装材や、リサイクル可能な素材を使用した製品など、サステナビリティを意識した製品展開を進めている。
さらに、BIMデータの提供や、VRを活用した製品体験サービスなど、デジタル技術を活用した顧客サポートの強化にも取り組んでいる。
日本の住宅機器・建材業界を牽引する15社を紹介した。
各社とも、高い技術力と品質管理能力を基盤に、時代のニーズに応じた製品開発と事業展開を行っている。
特に近年は、環境配慮型製品の開発やIoT技術の活用、海外展開の強化など、新たな価値創造に向けた取り組みが活発化している。
また、パンデミック後の新しい生活様式に対応した製品開発や、カーボンニュートラルへの対応など、社会の変化に迅速に対応する姿勢も見られる。
さらに、デジタル技術を活用した顧客体験の向上や、サプライチェーン全体でのサステナビリティへの取り組みなど、業界全体で革新的な動きが加速している。
これらの企業の動向は、単に住宅建材業界の未来を占うだけでなく、日本の住環境全体の質的向上と、持続可能な社会の実現に大きく寄与するものと期待される。
少子高齢化による新築住宅需要の減少、環境配慮への要請の高まり、デジタル技術の急速な進展など、様々な要因が業界の構造を変えつつある。
このような状況下で、各企業は独自の戦略を展開している。製品の高付加価値化、海外市場への展開、IoT技術の活用、環境負荷低減への取り組みなど、その方向性は多岐にわたる。
特に注目されているのが、「スマートホーム」関連製品の開発だ。AIやIoTを活用し、より快適で効率的な住空間を実現する製品が次々と市場に投入されている。
また、2020年以降のパンデミックの影響で、「家」の重要性が再認識されたことも業界に大きな影響を与えている。
抗菌・抗ウイルス機能を持つ製品の需要が高まり、在宅勤務に対応した住空間の提案なども活発化している。
さらに、カーボンニュートラルへの世界的な動きを受け、省エネ性能の高い建材や、環境負荷の少ない素材を使用した製品の開発も加速している。
リサイクル可能な素材の使用や、製造過程でのCO2排出削減など、サプライチェーン全体での取り組みが求められている。
本記事では、こうした激動の時代にあって日本の住宅建材業界を牽引する15社を紹介する。売上高や株価、市場シェアなどを考慮して選定し、各社の特徴や強み、最新の取り組みを解説する。
LIXIL(リクシル)
住宅設備機器のトップメーカーとして知られるLIXILは、2011年にトステム、INAX、新日軽、サンウエーブ工業、東洋エクステリアの5社が統合して誕生した巨大企業である。
キッチン、バスルーム、トイレ、サッシなど、住宅のあらゆる場所に製品を提供している。近年は、IoT技術を活用したスマートホーム製品の開発にも注力。
水栓金具「ナビッシュ」や、AI搭載のトイレ「SATIS G」など、革新的な製品を次々と市場に投入している。また、環境負荷低減にも積極的で、再生可能エネルギーの活用や製品のリサイクル率向上にも取り組んでいる。
YKK AP
YKK APは、ファスナーで有名なYKKグループの建材部門として1957年に設立された。窓やドア、外壁材などの外装建材を主力製品とし、高い技術力と品質で業界をリードしている。
同社の特徴は、「窓」に特化した製品開発と技術革新だ。断熱性能に優れた「APW」シリーズは、省エネ住宅の普及に大きく貢献している。
また、ビル用サッシの分野でも高いシェアを誇り、超高層ビルの建設ラッシュを技術面からサポートしている。近年は、デジタル技術を活用した「窓診断」サービスなど、アフターサービスの充実にも力を入れている。
ニチハ
外壁材のトップメーカーであるニチハは、1956年の創業以来、革新的な建材開発で業界を牽引してきた。
同社の代名詞とも言える窯業系サイディング「Fu-ge(フュージェ)」シリーズは、耐久性と意匠性を両立し、多くの住宅で採用されている。ニチハの強みは、豊富な製品ラインナップと高度な製造技術にある。
近年は、環境配慮型製品の開発にも注力しており、再生木材を使用したエクステリア製品「エコプレーゼ」など、サステナビリティを意識した製品展開を進めている。また、デジタル技術を活用した外壁シミュレーションサービスの提供など、顧客サービスの向上にも積極的だ。
TOTO
1917年に創業したTOTOは、日本を代表する衛生陶器メーカーである。同社の名を世界に知らしめたのは、温水洗浄便座「ウォシュレット」だ。この革新的な製品は、日本の住宅設備の水準を一気に引き上げ、今や日本の文化として世界中で認知されている。
TOTOの製品開発の特徴は、徹底した使用者目線にある。水回り製品の機能性と快適性を追求し続け、節水技術や自動洗浄機能など、時代のニーズに合わせた製品を次々と生み出している。
近年は、IoT技術を活用したスマートトイレの開発や、抗菌・抗ウイルス技術の研究にも力を入れており、衛生的で快適な住環境の創造に貢献している。
ノダ
内装建材の専門メーカーとして知られるノダは、1902年の創業以来、木質建材を中心に事業を展開してきた。
同社の強みは、天然木の質感を活かした高品質な建材の製造技術にある。特に、独自の技術で開発した「S-コア」は、優れた寸法安定性と耐久性を持ち、多くの建築現場で採用されている。
近年は、環境への配慮を強化し、FSC認証材を使用した製品ラインナップの拡充や、廃材を活用した新素材の開発にも取り組んでいる。また、デジタル技術を活用した内装シミュレーションサービスの提供など、顧客満足度の向上にも力を入れている。
クリナップ
キッチン設備の大手メーカーであるクリナップは、1949年の創業以来、革新的な製品開発で業界をリードしてきた。
同社の代表的な製品である「クリンレディ」シリーズは、使いやすさと清掃性を追求したデザインで、多くの家庭に採用されている。クリナップの特徴は、徹底した顧客ニーズの分析と、それに基づく製品開発にある。
最近では、IoT技術を活用したスマートキッチンの開発や、抗菌・抗ウイルス機能を備えた製品の展開など、時代の要請に応える製品づくりを進めている。また、環境負荷低減にも積極的で、リサイクル可能な素材の使用や、省エネ設計の採用にも注力している。
タカラスタンダード
1912年に創業したタカラスタンダードは、キッチン、浴室、洗面化粧台などの住宅設備機器を総合的に手がける大手メーカーだ。
同社の強みは、高品質な製品を合理的な価格で提供する「良品廉価」の精神にある。特に、オールステンレス製のキッチンシステム「エマージュ」は、耐久性と美観を両立し、多くの支持を得ている。
タカラスタンダードは、製品の開発から製造、販売までを一貫して行う垂直統合型のビジネスモデルを採用しており、これが高品質かつリーズナブルな製品供給を可能にしている。
近年は、IoT技術を活用したスマートキッチンの開発や、抗菌・抗ウイルス機能を持つ製品の拡充にも注力している。
ケイミュー
外装建材の専門メーカーであるケイミューは、2003年にクボタと松下電工(現パナソニック)の建材事業が統合して誕生した企業だ。
屋根材、外壁材、雨とい等を主力製品とし、高い技術力と品質で市場をリードしている。同社の特徴は、伝統的な日本家屋の美しさを現代の技術で再現する「和風建材」の開発力にある。
また、環境配慮型製品の開発にも積極的で、太陽光発電システムと一体化した屋根材「ソーラールーフ」など、革新的な製品を次々と市場に投入している。近年は、AIを活用した外装診断サービスの提供など、アフターサービスの充実にも力を入れている。
ニッコー
衛生設備機器のメーカーとして知られるニッコーは、1908年の創業以来、陶磁器の製造技術を核に事業を展開してきた。
同社の強みは、高度な陶磁器製造技術と、それを活かした機能的な製品開発力にある。特に、独自開発の「セラミックコア技術」を用いた浄化槽システムは、環境負荷の低減と処理能力の向上を両立し、高い評価を得ている。
近年は、IoT技術を活用した水回り製品の開発にも注力しており、スマートトイレや自動水栓など、先進的な製品を次々と市場に投入している。また、海外展開にも積極的で、アジア市場を中心に事業拡大を図っている。
ウッドワン
木質建材の専門メーカーであるウッドワンは、1935年の創業以来、「木」にこだわった製品開発で業界に独自の地位を築いてきた。
同社の特徴は、原料となる木材の調達から製品の製造、販売までを一貫して行う垂直統合型のビジネスモデルにある。
特に、ニュージーランドに広大な森林を所有し、持続可能な木材供給体制を確立している点は、他社にない強みだ。
製品面では、無垢材を使用した高品質な内装材「ピノアース」シリーズが好評を博している。近年は、環境への配慮を強化し、FSC認証材の使用拡大や、木質バイオマス発電の導入など、サステナビリティを意識した経営を推進している。
パナソニック ハウジングソリューションズ
パナソニックグループの住宅設備部門として、多彩な製品ラインナップを誇るパナソニック ハウジングソリューションズ。同社の強みは、グループの総合力を活かした製品開発と、先進的なテクノロジーの導入にある。
特に注目されているのが、IoT技術を活用したスマートホームソリューション「HomeX」だ。
照明、エアコン、セキュリティなど、住宅内のあらゆる機器をネットワークでつなぎ、快適で効率的な暮らしを実現している。
また、太陽光発電システムや蓄電池など、エネルギーマネジメント関連製品の開発にも注力。環境配慮と快適性を両立した住空間の創造に貢献している。
サンゲツ
1953年創業のサンゲツは、壁紙や床材、カーテンなどのインテリア製品を手がける大手メーカーだ。
同社の特徴は、豊富な製品ラインナップと、トレンドを先取りしたデザイン力にある。特に、デジタル技術を活用した「サンゲツ壁紙デザイナー」は、顧客が自宅にいながら壁紙のコーディネートをシミュレーションできるサービスとして好評を博している。
近年は、環境配慮型製品の開発にも力を入れており、再生材を使用した壁紙や、VOC(揮発性有機化合物)の放散量を抑えた製品など、健康的で持続可能な住空間づくりに貢献している。
また、海外展開も積極的に進めており、アジア市場を中心に事業拡大を図っている。
永大産業(EIDAI)
1946年に創業した永大産業は、フローリングや内装ドアなどの木質内装材を主力製品とする老舗メーカーだ。
同社の強みは、長年培ってきた木材加工技術と、環境に配慮した製品開発力にある。特に注目されているのが、国産材を活用した「ビーチ」シリーズだ。
日本の森林資源の有効活用と、高品質な内装材の提供を両立させている。また、近年は健康住宅への関心の高まりを受け、調湿機能や消臭機能を持つ機能性建材の開発にも注力している。
さらに、デジタル技術を活用した「バーチャルショールーム」の開設など、新しい顧客体験の創出にも取り組んでいる。
アイカ工業
接着剤や化粧板、建装材などを手がけるアイカ工業は、1936年の創業以来、独自の技術力で業界をリードしてきた。
同社の特徴は、高い機能性と意匠性を兼ね備えた製品開発力にある。特に、耐熱性や耐摩耗性に優れた「アイカメラミン化粧板」は、多くの建築現場で採用されている。
近年は、抗ウイルス・抗菌製品の開発に力を入れており、「アイカウイルテクト」シリーズが注目を集めている。
また、環境配慮型製品の拡充にも取り組んでおり、再生材を使用した製品や、VOC削減製品の開発を進めている。海外展開も積極的で、アジアを中心に生産拠点の拡大を図っている。
大建工業(ダイケン)
1945年創業の大建工業は、内装建材や住宅設備機器を幅広く手がける総合建材メーカーだ。同社の強みは、多彩な製品ラインナップと、顧客ニーズに応じたカスタマイズ能力にある。
特に注目されているのが、高い遮音性能を持つ床材「ダイケンハイブリッド床」だ。集合住宅での生活音問題に対応し、快適な住環境の実現に貢献している。
また、近年は環境配慮型製品の開発にも注力しており、間伐材を活用した内装材や、リサイクル可能な素材を使用した製品など、サステナビリティを意識した製品展開を進めている。
さらに、BIMデータの提供や、VRを活用した製品体験サービスなど、デジタル技術を活用した顧客サポートの強化にも取り組んでいる。
まとめ
日本の住宅機器・建材業界を牽引する15社を紹介した。
各社とも、高い技術力と品質管理能力を基盤に、時代のニーズに応じた製品開発と事業展開を行っている。
特に近年は、環境配慮型製品の開発やIoT技術の活用、海外展開の強化など、新たな価値創造に向けた取り組みが活発化している。
また、パンデミック後の新しい生活様式に対応した製品開発や、カーボンニュートラルへの対応など、社会の変化に迅速に対応する姿勢も見られる。
さらに、デジタル技術を活用した顧客体験の向上や、サプライチェーン全体でのサステナビリティへの取り組みなど、業界全体で革新的な動きが加速している。
これらの企業の動向は、単に住宅建材業界の未来を占うだけでなく、日本の住環境全体の質的向上と、持続可能な社会の実現に大きく寄与するものと期待される。
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