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デジコン編集部 2024.9.18

東京都下水道局、AIを活用した水位予測システムの実証実験を開始

CONTENTS
  1. AI技術で都市の水害リスクに挑む
  2. 実証実験の概要と期待される成果
  3. 下水道DXがもたらす未来
東京都下水道局は、株式会社リベラウェアと共同で、人工知能(AI)を活用した下水道管きょ内の水位予測システムの実証実験を開始した。

この取り組みは、都市型水害の軽減と下水道施設の効率的な運用を目指すものであり、下水道事業のDXを推進する重要な一歩となる。

AI技術で都市の水害リスクに挑む


近年、気候変動の影響により局地的な大雨が増加し、都市部での浸水被害リスクが高まっている。東京都下水道局は、こうした課題に対応するため、最新のAI技術を活用した水位予測システムの開発に乗り出した。

リベラウェアが開発したAIモデルは、過去の降雨データや下水道管内の水位データを学習し、降雨時の下水道管きょ内の水位を高精度で予測する。この技術により、浸水リスクの早期把握や下水道施設の効率的な運用が可能になると期待されている。

実証実験の概要と期待される成果


実証実験は、東京都区部の複数地点で実施される。AIモデルは、気象庁が配信する降水短時間予報データと、下水道管きょ内に設置された水位計のデータを用いて、最大6時間先までの水位を10分間隔で予測する。

この予測システムにより、以下のような効果が期待されている

  1. 浸水リスクの早期把握による被害軽減
  2. 下水道施設の効率的な運用によるコスト削減
  3. 3水再生センターでの雨天時処理の最適化

特に注目すべきは、AIモデルが学習を重ねることで予測精度が向上し、より正確な浸水対策が可能になる点だ。また、降雨パターンの変化にも柔軟に対応できるため、気候変動の影響下でも安定した予測が期待できる。

下水道DXがもたらす未来


本実証実験は、下水道事業におけるDXの一環として位置付けられている。AIやIoT技術の活用により、従来の経験や勘に頼る部分が多かった下水道管理に、データ駆動型の意思決定を導入する試みだ。

東京都下水道局の担当者は、「本実証実験を通じて、AIを活用した水位予測システムの有効性を検証し、将来的には都内全域での活用を目指したい」と述べている。また、リベラウェアの代表取締役CEOである伊藤健太氏は、「当社のAI技術が都市の安全・安心に貢献できることを嬉しく思う。今後も技術の向上に努め、社会課題の解決に取り組んでいく」と意気込みを語った。

本実証実験の成果は、今後の下水道事業の在り方に大きな影響を与える可能性がある。AIによる予測精度の向上は、より効果的な浸水対策や施設運用につながり、都市の防災力向上に寄与すると考えられる。

さらに、この取り組みで得られた知見は、他の自治体や海外の都市にも応用可能だ。日本の下水道技術の海外展開にも一石を投じる可能性を秘めている。

都市インフラのデジタル化が進む中、本実証実験は下水道DXの先駆的な事例として、今後の展開が注目される。



参考・画像元:リベラウェアプレスリリース
WRITTEN by

デジコン編集部

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