長い年月を経てもなおカタチをとどめている建造物が、全国には多くあります。それらには先人の叡智、技術の粋が結集されており、人々の暮らしの中に溶け込みつつも、現代の建造物にはない独特の存在感を放っています。
そんな土木遺産を多くの方々に知ってもらいたい。そして、土木遺産を後世に伝えるために記録として残しておきたい。そんな想いから、フォトギャラリーコンテンツ『土木の遺産から』(本企画)をスタート。
全国にある土木遺産を、フォトグラファーとモデルとともに巡りながら、その建造物の魅力に迫っていきます。第2回は、東京都・新宿区の『聖徳記念絵画館前通り』。
この「聖徳記念絵画館前通り」の車道用アスファルト舗装は、国内最古級の「ワービット舗装であり、平成16年度には公益社団法人土木学会選奨土木遺産にも認定されています。
しかし完成から90年以上が経過して路面性状が良くない(ひび割れが生じている)ことから、土木学会、東京都が協議し、ワービット舗装をインターロッキングブロック舗装(ILB舗装)で覆われることになってしまったのです……。
ですから以前あった、広大な面積のワービット舗装を見ることはできませんが、ILB舗装の下にあるワービット舗装に思いを馳せながら、フォトギャラリーを楽しんでいただければ幸いです。
それでは、土木遺産を巡る小旅行のはじまり、はじまり。
聖徳記念絵画館前通り(東京都・新宿区)
聖徳記念絵画館前通りをふくむ明治神宮外苑の道路舗装は、ワービット工法を採用した国内最初の工事(1926年竣工)だった。ワービット工法とは、下層に粗粒度アスファルトコンクリート(15cm)、上層に富配合のアスファルトモルタル(5cm)を敷いて、上下層を同時に転圧して仕上げる工法のこと。アスファルトは秋田県の国産を、下層のアスファルトコンクリートの主要骨材は相模川で採取した砂利を使用し、当時最新の機械化で施工された。しかし完成から90年以上が経過した現在は、路面性状が良くないことから、ワービット舗装をインターロッキングブロック舗装(ILB舗装)にて覆われており、当時の道路舗装は絵画館前通りの一角でのみ見ることができる。
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