コラム・特集
平田 佳子 2024.6.19

令和6年度 国交省「土木工事・業務の積算基準等の改定」で、土木・建設業界の働きやすさはどう変わる?

CONTENTS
  1. 令和6年度 国交省 土木工事・業務の積算基準等の改定とは?
  2. 1.直轄土木工事等における働き方改革の強力な推進
    1. (1)週休2日の「質の向上」の拡大
    2. (2)工事及び業務における現場環境改善
    3. (3) 受注業者の書類作成業務のさらなる負担軽減
    4. (4)時間外労働規制適用に対応するための現場管理費の見直し
    5. (5)移動時間を踏まえた積算の適正化
  3. 残業の削減・作業効率化に! スマホで高精度な一人測量ができるアプリ「OPTiM Geo Scan」

令和6年度 国交省 土木工事・業務の積算基準等の改定とは?


残業が多く休みにくい。若手が入らず深刻な人手不足。そんな環境を変えていくために、2019年に政府は「働き方改革」を掲げ、労働時間や就労環境の適正化を目指して「改正労働基準法」を施行。

長時間労働が常態化してきた土木・建設業界でも、新法令に対応するための5年の準備期間を経て、いよいよ2024年4月に適用がスタートした。

時間外労働の罰則付き上限規制が適用され、原則として月45時間・年360時間を超える残業が不可になった。

こうして土木・建設業界の働く環境が変わりつつある今、国土交通省が今年2月に「令和6年度の土木工事・業務の積算基準等の改定」を発表。

公共工事において、現場の実態調査に基づき、改正労働基準法を踏まえて作成されたものだ。その中で1番目に挙げられている「直轄土木工事等における働き方改革の強力な推進」のポイントを見てみよう。

1.直轄土木工事等における働き方改革の強力な推進


(1)週休2日の「質の向上」の拡大


  • 令和5年度までに工期全体(通期)の週休2日が標準化され、令和6年度からは月単位の週休2日を推進。月単位の週休2日の補正係数を新設し、完全週休2日(土日)の促進のため、実施した企業には工事成績評定で加点。

  • 市場単価方式による積算および土木工事標準単価による積算についても見直す。


(2)工事及び業務における現場環境改善


  • 全ての工事および業務を対象に現場環境の改善に向けた取り組みを定めた実施要領を策定。

  • 土日・深夜勤務等を改善するため、標準項目として、「依頼日・時間及び期限に関すること」「会議・打合せに関すること」「業務時間外の連絡に関すること」を設置。

(3) 受注業者の書類作成業務のさらなる負担軽減


受注者(特に現場技術者)を対象に工事関係書類の業務削減に向けた以下の5つの支援メニューを実施する。

  • 原則電子化や作成書類の明確化など、「工事書類スリム化のポイント」を盛り込んだガイドライン・リーフレット等を作成し横展開

  • 完成工事における工事検査書類を44種類から10種類に限定する工事を原則実施し、「書類限定検査」として標準化。

  • 各地方整備局のHP等に『2024働き方改革対応相談窓口(仮称)』の設置

  • 書類関係業務の外注に要する経費等を調査した上で、積算の更なる適正化を推進。書類関係業務の積算計上 。

  • 自治体と連携し、会議を通じて地域の実情を配慮した対応が図られるよう情報提供を行い、工事関係書類の標準様式を展開

(4)時間外労働規制適用に対応するための現場管理費の見直し


最新の実態を踏まえ、書類作成の経費などによる現場管理費の増加を反映。



(5)移動時間を踏まえた積算の適正化



  • 舗装版破砕工などの現道・維持関係等の工種で、現場移動等により作業時間が短くなり日当たり施工量が減少する傾向が見られたことから、令和6年度の歩掛改正に反映。

  • 朝礼や準備体操、後片付け等は一日の就業時間に含まれるものであり、標準歩掛に適切に反映。

  • 路上工事等で常設の作業帯が現場に設けられない工事では、資材基地からの移動時間を適切に反映。

このように、さらなる労働時間の削減や業務効率化に向けた取り組みが、今も国土交通省直轄の公共工事で進められているところだ。

残業の削減・作業効率化に! スマホで高精度な一人測量ができるアプリ「OPTiM Geo Scan」


土木・建設業界における労働時間の削減や作業効率化のために注目されているのが、一人でも簡単&高精度な3次元測量ができるアプリ「OPTiM Geo Scan」だ。

国土交通省の出来形管理要領に準拠しており、官公庁や自治体から、スーパーゼネコン、全国の中小企業まで、多くの現場で導入されている。




LiDARセンサー搭載のiPhoneとGNSSレシーバー取得の位置情報を組み合わせて、対象をアプリでスキャンするだけで、高精度な3次元データを取得。

さらに、GNSS測量・杭打ちアプリ「OPTiM Geo Point」が無料で使え、専門的な機器を使わずに杭打ちが可能。

位置出しや座標取得などを一人で行えるのも大きな魅力だ。


実際、時間短縮・作業効率化への効果は、どれほどあるのだろうか。OPTiM Geo Scanを導入した企業では、例えば以下のような効果があったという。

「河床工事での測量で10分かかっていた工程がOPTiM Geo Scanでは2分程度で完了。また、100mのトンネルを30分程度で3D測量することができた(K建設)」

「治山、道路、川などの公共工事で利用し、起工測量、施工中測量がそれぞれ3分の1に短縮。測量・出来形測量に関わるところであれば50%以上削減できた(S建設)」


「農業土木工事では、ドローンで測量した場合と比較して3~4日工程が短縮できる。法面整形後の出来形検査レーザースキャナーでの出来形測量と比較して、工程が20%に短縮できた(A建設会社)」

興味がある方は、OPTiM Geo Scanの実演を交えたウェビナーや、リアルで実際に操作しながら説明を受けられる現場でのデモを申し込んでみるといいだろう。働きやすさを大きく変えたい企業にとっては、OPTiM Geo Scanが一つの起爆剤になるに違いない。




画像:国交省資料より
WRITTEN by

平田 佳子

ライター歴15年。幅広い業界の広告・Webのライティングのほか、建設会社の人材採用関連の取材・ライティングも多く手がける。祖父が土木・建設の仕事をしていたため、小さな頃から憧れあり。

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