3次元測量を行い収集した点群データはそのままでは使い物にならない。点群データは専用ソフトで処理・加工を行うことではじめて有益なデータとなる。
今回は、点群データ処理ソフトでどのような処理を行うのか、そして、処理工程に関する押さえておきたい重要な用語をまとめて解説していく。
3次元測量の工程は、現地計測→データ解析→成果作成と大きく3つのステップにわけられる。
点群データは3次元座標値(X,Y,Z)と色情報(R,G,B)という2種類の情報から構成されているが、取得しただけの状態では膨大な点の集まりであり、そのままではCADなど編集ソフトには使用できない。
点群データに適切な処理を行うことによって、3D(3次元)データとして有効に活用できるようになるのだ。
データ解析では、不要な情報を排除し、位置情報の計算や有効な位置情報の抽出を行う。
その後、成果作成の工程では位置情報の抽出や内挿処理を行い、成果品の作成に使用しやすい加工を加える。データ解析の工程についてさらに詳しくみていこう。
点群データ処理・変換の基本的な手順
前項のような点群データの処理工程に用いられるキーワードを紹介していこう。
これらは処理ソフトの機能名としても使われている。それぞれの機能を理解しておくと、細かな編集・調整に役立つだろう。
点群データを3Dデータに加工する際に、さまざまな手法が用いられる。
これまでに紹介してきた三角ポリゴンのTINを用いた表現手法は、TIN法と呼ばれる。このほか点群データ処理で用いられている基本的な表現方法には以下のようなものがある。
ランダムな点群からメッシュデータを生成する際に、任意のデータ点を追加することで欠損データを補間したり既知データを平滑化させたりする。
この時、新しいデータ点を加えることを「内挿」と言う。内挿は既知点を利用した予測などにも使われる。
内挿を行う際に用いられる計算式には以下のような手法がある。
点群データを処理し、高さや傾斜量、光源位置を設定するなど行うとともに地形の起伏を陰影や色を使って見やすく表現していく。
表現手法には以下のようなものがある。
前項までに、点群の処理から図形データ作成までのプロセスを解説してきた。ご覧の通り、測量データを3次元データ化するには膨大なデータ量を複雑に処理する必要がある。
点群データの処理ソフトは機能や性能がピンキリ、モノによっては購入価格が数百万円規模のものもある。
また、処理ソフトを導入する場合、操作できる人材の確保や知識・技術の習得にもコストがかかることを忘れてはならない。
とはいえ、中にはそのようなユーザーへの負担に考慮した製品もある。
「OPTiM Geo Scan」は3次元測量を行い、その測量データの取得までをスマホで完結できる3次元測量アプリだ。
測量したデータは、ほぼリアルタイムで現場はもちろん遠隔地でもチェックできる。ドローンやレーザースキャナーを使って3次元測量を外注する場合と比較するとコストは4分の1程度に抑えられるというのも魅力の一つだ。
「OPTiM Geo Scan」は、LiDARと呼ばれるレーザー光を使ったリモートセンシング技術を搭載したiPhone pro/iPad proに対応するスマホ測量アプリで、GNSSレシーバーで取得した位置情報と組み合わせることによって高精度な測量を実現している。
対象をアプリでスキャンするだけで高精度な3次元データが取得でき、その測量データは国土交通省の出来形管理要領に準拠している実力派だ。
起工測量だけでなく、中間出来高測量や出来形測量の工程にも適用が可能なのである。
また、「OPTiM Geo Scan」には無料オプションの図化アプリ「Geo Design」があり、これを使えば点群データを地図上に表示したり、平面・縦断線形、横断形状を作成したりといったことが可能。
CADソフトでデータを活用するための段取りもスムーズに行える。
3次元測量は難しそう……というイメージもあるかもしれないが、「OPTiM Geo Scan」ならばスマホゲームを操作する感覚で3次元測量が行え、データの処理や変換も楽に行える。測量士(補)資格がなくても操作できるほどの手軽さを、一度試してみてはいかがだろうか。
今回は、点群データ処理ソフトでどのような処理を行うのか、そして、処理工程に関する押さえておきたい重要な用語をまとめて解説していく。
点から3次元の立体データに!点群データの処理プロセス
3次元測量の工程は、現地計測→データ解析→成果作成と大きく3つのステップにわけられる。
点群データは3次元座標値(X,Y,Z)と色情報(R,G,B)という2種類の情報から構成されているが、取得しただけの状態では膨大な点の集まりであり、そのままではCADなど編集ソフトには使用できない。
点群データに適切な処理を行うことによって、3D(3次元)データとして有効に活用できるようになるのだ。
データ解析では、不要な情報を排除し、位置情報の計算や有効な位置情報の抽出を行う。
その後、成果作成の工程では位置情報の抽出や内挿処理を行い、成果品の作成に使用しやすい加工を加える。データ解析の工程についてさらに詳しくみていこう。
点群データ処理・変換の基本的な手順
1.ノイズ除去
現地計測で取得した点群データから、対象物の周辺にある不要なデータや不要なデータ(ノイズ)を除去する。
2.合成・位置合わせ
点群データはさまざまな角度から撮影した写真データを重ねたような状態であり、データを張り合わせたり、位置を合わせたりすることで精度の高い使い勝手の良いデータとなる。
測量時に「マーカー」と呼ばれる位置合わせの基準ポイントをあらかじめ設けておくことで位置合わせの精度を担保できる。
点群データはさまざまな角度から撮影した写真データを重ねたような状態であり、データを張り合わせたり、位置を合わせたりすることで精度の高い使い勝手の良いデータとなる。
測量時に「マーカー」と呼ばれる位置合わせの基準ポイントをあらかじめ設けておくことで位置合わせの精度を担保できる。
3.メッシュデータ変換
合成・位置合わせを行ったあとは、点と点を結んで三角形を作る。この三角形をTIN(Triangulated Irregular Network)と言い、TINを含む多角形を集合させたものをポリゴンデータと呼ぶ。そして、ポリゴンデータに張った面がメッシュである。
メッシュで3次元の形状を表現したメッシュデータを3DCADソフトなどに使用する際には、STL(Stereolithography)データやSTEP(Standard for the Exchange of Product Data)データといったファイル形式が用いられる。
現地計測で取得した点群データから、対象物の周辺にある不要なデータや不要なデータ(ノイズ)を除去する。
2.合成・位置合わせ
点群データはさまざまな角度から撮影した写真データを重ねたような状態であり、データを張り合わせたり、位置を合わせたりすることで精度の高い使い勝手の良いデータとなる。
測量時に「マーカー」と呼ばれる位置合わせの基準ポイントをあらかじめ設けておくことで位置合わせの精度を担保できる。
点群データはさまざまな角度から撮影した写真データを重ねたような状態であり、データを張り合わせたり、位置を合わせたりすることで精度の高い使い勝手の良いデータとなる。
測量時に「マーカー」と呼ばれる位置合わせの基準ポイントをあらかじめ設けておくことで位置合わせの精度を担保できる。
3.メッシュデータ変換
合成・位置合わせを行ったあとは、点と点を結んで三角形を作る。この三角形をTIN(Triangulated Irregular Network)と言い、TINを含む多角形を集合させたものをポリゴンデータと呼ぶ。そして、ポリゴンデータに張った面がメッシュである。
メッシュで3次元の形状を表現したメッシュデータを3DCADソフトなどに使用する際には、STL(Stereolithography)データやSTEP(Standard for the Exchange of Product Data)データといったファイル形式が用いられる。
点群データ処理工程で押さえておきたい用語集
前項のような点群データの処理工程に用いられるキーワードを紹介していこう。
これらは処理ソフトの機能名としても使われている。それぞれの機能を理解しておくと、細かな編集・調整に役立つだろう。
- スムージング
ノイズの除去工程の中で、角度やエッジの長さ、精度の設定を行い、対象物のデータを滑らかに整えることをスムージングと言う。
あまり手を加えすぎると実物との誤差が大きくなるため、やりすぎには注意したい。
- 穴埋め
3Dスキャナーは対象物の表面の形状をスキャンするという仕組みで、くぼんだ形状ではその奥側を把握することができない。
そのため、取得できなかったデータの穴を埋める作業が必要になる。処理ソフトの中には自動で補正を行えるものもある。
- 橋渡し(ブリッジ)
面データをつなぎ合わせることを橋渡し(ブリッジ)という。
- 面の反転
メッシュデータには裏表があり、処理ソフト上で反転させることができる。
- 要素の抽出 / 境界の編集
「穴埋め」のように個別で要素を抽出したり、形状の境界を編集したりすることができる。
- 修復(自動クリーニング)
処理ソフトによっては自動修復機能が搭載されているものもある。自動で理想的なデータに改善できるというよりは、全体的にバランスを整える程度のものであると捉えておこう。
さまざまな地形の表現方法
点群データを3Dデータに加工する際に、さまざまな手法が用いられる。
これまでに紹介してきた三角ポリゴンのTINを用いた表現手法は、TIN法と呼ばれる。このほか点群データ処理で用いられている基本的な表現方法には以下のようなものがある。
メッシュ法
あらかじめ格子状に設定した水平位置の標高データを計測する手法。ひとつの格子を正方メッシュという。正方メッシュのデータは、点群データの画像化が容易であり、数値地形量の計算や差分解析などに用いやすい。
ブレークライン法
ブレークラインとはTINの辺によって急な勾配を表す線のこと。法肩や法尻など、地形の傾斜が急激に変化する傾斜変換点を三次元ラインとして計測する手法をブレークライン法という。ブレークライン法を用いることで、地形の変化点を明瞭に表現することができる。
等高線
等高線は標高が等しい点を結んだ線のこと。等高線で標高値を表現することにより、等高線同士の間隔の大小から地形の傾斜を直感的に読み解くことが可能となる。5m、10m、50mなど、一定の標高の間隔で作成する。TIN法や内挿法で表現される。
あらかじめ格子状に設定した水平位置の標高データを計測する手法。ひとつの格子を正方メッシュという。正方メッシュのデータは、点群データの画像化が容易であり、数値地形量の計算や差分解析などに用いやすい。
ブレークライン法
ブレークラインとはTINの辺によって急な勾配を表す線のこと。法肩や法尻など、地形の傾斜が急激に変化する傾斜変換点を三次元ラインとして計測する手法をブレークライン法という。ブレークライン法を用いることで、地形の変化点を明瞭に表現することができる。
等高線
等高線は標高が等しい点を結んだ線のこと。等高線で標高値を表現することにより、等高線同士の間隔の大小から地形の傾斜を直感的に読み解くことが可能となる。5m、10m、50mなど、一定の標高の間隔で作成する。TIN法や内挿法で表現される。
地形表現を滑らかにするため用いられる「内挿補間」
ランダムな点群からメッシュデータを生成する際に、任意のデータ点を追加することで欠損データを補間したり既知データを平滑化させたりする。
この時、新しいデータ点を加えることを「内挿」と言う。内挿は既知点を利用した予測などにも使われる。
内挿を行う際に用いられる計算式には以下のような手法がある。
最近隣内挿法(Nearest Neighbor)
内挿の対象位置から最も近い距離にある既知点の値を用いる方法である。アルゴリズム(計算手法)が単純であるため、処理が高速で行える。
バイリニア(Bilinear)
周囲にある既知点4点からの距離を利用して補正計算を行う手法。主に、正方メッシュで既存のメッシュデータから異なるサイズのメッシュデータに変換する際に用いられる。
逆距離加重平均(IDW:Inverse Distance Weighted)
近接するいくつかの既知点の重み付き平均により計算を行う。距離の逆数を重みとし、近い点ほど影響が大きくなる。
クリギング
近接する複数の既知点による重み付き計算法。逆距離加重平均(IDW)と似ているが、IDWが距離のみを使用するのに対し、クリギングは距離と空間的配置を用いる。
スプライン法
スプラインとは区分多項式で表される関数のことで、折れ線やグラフを曲線化したものをスプライン関数と呼ぶ。このスプライン関数を用いてメッシュ中心点の標高を算出する。
内挿の対象位置から最も近い距離にある既知点の値を用いる方法である。アルゴリズム(計算手法)が単純であるため、処理が高速で行える。
バイリニア(Bilinear)
周囲にある既知点4点からの距離を利用して補正計算を行う手法。主に、正方メッシュで既存のメッシュデータから異なるサイズのメッシュデータに変換する際に用いられる。
逆距離加重平均(IDW:Inverse Distance Weighted)
近接するいくつかの既知点の重み付き平均により計算を行う。距離の逆数を重みとし、近い点ほど影響が大きくなる。
クリギング
近接する複数の既知点による重み付き計算法。逆距離加重平均(IDW)と似ているが、IDWが距離のみを使用するのに対し、クリギングは距離と空間的配置を用いる。
スプライン法
スプラインとは区分多項式で表される関数のことで、折れ線やグラフを曲線化したものをスプライン関数と呼ぶ。このスプライン関数を用いてメッシュ中心点の標高を算出する。
3Dの表現方法もさまざま!微地形表現図
点群データを処理し、高さや傾斜量、光源位置を設定するなど行うとともに地形の起伏を陰影や色を使って見やすく表現していく。
表現手法には以下のようなものがある。
陰影起伏図
北西の方向から地表面に向けて光を当てたような表現で、凹凸のある地表面の北西側は白く、南東側は黒くなる。尾根線、谷宣の判別や断層が見やすい。
赤色立体地図
斜度と尾根谷度を用いた表現図で、急傾斜ほどより赤く、尾根ほどより明るく、谷ほどより暗く表している。立体感があり大地形と微地形を同時に表現することができる。
カラー標高傾斜図(ELSAMAP:Elevation and Slope Angle Map)
色相に傾斜量を割り当て、透過合成した微地形表現手法がカラー標高傾斜図である。地形量の表示には色相と無彩色の明暗によるコントラストが使われておりそれぞれの地形情報を独立して認識しやすい。
北西の方向から地表面に向けて光を当てたような表現で、凹凸のある地表面の北西側は白く、南東側は黒くなる。尾根線、谷宣の判別や断層が見やすい。
赤色立体地図
斜度と尾根谷度を用いた表現図で、急傾斜ほどより赤く、尾根ほどより明るく、谷ほどより暗く表している。立体感があり大地形と微地形を同時に表現することができる。
カラー標高傾斜図(ELSAMAP:Elevation and Slope Angle Map)
色相に傾斜量を割り当て、透過合成した微地形表現手法がカラー標高傾斜図である。地形量の表示には色相と無彩色の明暗によるコントラストが使われておりそれぞれの地形情報を独立して認識しやすい。
スマホひとつで、3次元測量から図化までワンストップ「OPTiM Geo Scan」
前項までに、点群の処理から図形データ作成までのプロセスを解説してきた。ご覧の通り、測量データを3次元データ化するには膨大なデータ量を複雑に処理する必要がある。
点群データの処理ソフトは機能や性能がピンキリ、モノによっては購入価格が数百万円規模のものもある。
また、処理ソフトを導入する場合、操作できる人材の確保や知識・技術の習得にもコストがかかることを忘れてはならない。
とはいえ、中にはそのようなユーザーへの負担に考慮した製品もある。
「OPTiM Geo Scan」は3次元測量を行い、その測量データの取得までをスマホで完結できる3次元測量アプリだ。
測量したデータは、ほぼリアルタイムで現場はもちろん遠隔地でもチェックできる。ドローンやレーザースキャナーを使って3次元測量を外注する場合と比較するとコストは4分の1程度に抑えられるというのも魅力の一つだ。
「OPTiM Geo Scan」なら出来形管理要領準拠の書類作成もラクラク
「OPTiM Geo Scan」は、LiDARと呼ばれるレーザー光を使ったリモートセンシング技術を搭載したiPhone pro/iPad proに対応するスマホ測量アプリで、GNSSレシーバーで取得した位置情報と組み合わせることによって高精度な測量を実現している。
対象をアプリでスキャンするだけで高精度な3次元データが取得でき、その測量データは国土交通省の出来形管理要領に準拠している実力派だ。
起工測量だけでなく、中間出来高測量や出来形測量の工程にも適用が可能なのである。
また、「OPTiM Geo Scan」には無料オプションの図化アプリ「Geo Design」があり、これを使えば点群データを地図上に表示したり、平面・縦断線形、横断形状を作成したりといったことが可能。
CADソフトでデータを活用するための段取りもスムーズに行える。
3次元測量は難しそう……というイメージもあるかもしれないが、「OPTiM Geo Scan」ならばスマホゲームを操作する感覚で3次元測量が行え、データの処理や変換も楽に行える。測量士(補)資格がなくても操作できるほどの手軽さを、一度試してみてはいかがだろうか。
WRITTEN by
三浦 るり
2006年よりライターのキャリアをスタートし、2012年よりフリーに。人材業界でさまざまな業界・分野に触れてきた経験を活かし、幅広くライティングを手掛ける。現在は特に建築や不動産、さらにはDX分野を探究中。