近年、ますます勢いを増すAI(人工知能)開発。このところ特に注目されているのは、テキストや音声で投げかけた質問にAIが自動回答するチャットボットだろう。
去年から今年にかけて一躍その名前が知られるようになったのは、対話型生成AI「ChatGPT」。
アカウントを作成すれば誰でも無料で使用できるため、ビジネスへの活用を考える人から、新しいもの好きの人まで、果たしてどんな答えが返ってくるのだろうと話しかけては、SNSで結果をシェアする姿が目につく。
では、土木・建設業界でChatGPTを活用した場合、どのような変化がもたらされるのか。実際にChatGPTに質問を投げかけてみながら、これからの可能性を探ってみる。
GPT(Generative Pre-trained Transformer)とは、「生成可能な事前学習済み変換器」。つまり、事前に学習させたデータをもとにAIが自動で回答を作成するプログラムだ。
2022年11月に発表を行ったのは、Twitterの買収で話題をさらったイーロン・マスク氏などの協力のもと設立されたOpenAI。
登場以降、Microsoftがチャットボット開発に出資したり、googleも開発を強化中と言われるなど、ChatGPTは大きなインパクトを与えている。
チャットボットと言えば、さまざまなウェブサイトで「よくある質問」などに代わるサポート機能として導入されている。
そうした既存のプログラムに比べてChatGPTが革新的な理由は、非常に高度な処理能力にある。
単に一対一の質問に応えるだけではなく、手紙や企画書をつくったり、プログラミングコードを書いたり、Excel用の関数コードを作成するといった作業ができることが特徴だ。
土木・建設業界での活用を考えると、例えば、
といった活用法が考えられる。
さらに、ChatGPTに「土木・建設業で活用すると、どのような変化が起きる?」と質問してみると、新人教育やリスク管理など、6つの回答が返ってきた。
「働き方改革関連法」が適用開始される2024年4月からは、土木・建設業でも時間外労働時間に罰則付きで上限が設けられ、職人の高齢化と人手不足が課題となっている業界では、工期や受注そのものに支障が出ることが避けられない。
そうした状況の中で、ChatGPTによる作業効率化が図れれば、少数精鋭で、現状よりクオリティの高い業務を行う活路が見えてきそうだ。
普及に向け、土木・建設業界特化型の生成AIも
ChatGPTを現場に導入する上で、壁となるのは回答の真偽。インターネット上の情報や繰り返す会話から常に学習しているとはいえ、答えられた情報が正しいのか、何がリソースになっているのかは明確ではない。
質問の内容は同じでも、問いの書き方次第で回答が違ったり、架空の情報を実在するかのように回答することも確認されているのが現状だ。
例えば、デジコンでも以前紹介したMalmeの「BIM/CIM特化型チャットボット」、mignの建設特化対話AIモデル「chact(チャクト)」、東京大学発スタートアップ燈の「AKARI Construction LLM」。
また、建設DXサービス「SPIDERPLUS」を提供するスパイダープラスは、安全対策の高品質化を目指し、AI支援機能にChatGPTを組み込んだ。
土木・建設業界でDXが進まない要因としては、人手不足や、デジタルに強い人材がいないことも挙げられてきたが、業界に特化したChatGPTを活用することにより、促進にも追い風となりそうだ。
日本は、AIに関する政策の方向性を議論する「AI戦略会議」が開催されるなど、政府の中でも生成AI活用が推し進められている。世界に先駆けて、土木・建設業界でさらにChatGPTが大きな力となることを期待したい。
去年から今年にかけて一躍その名前が知られるようになったのは、対話型生成AI「ChatGPT」。
アカウントを作成すれば誰でも無料で使用できるため、ビジネスへの活用を考える人から、新しいもの好きの人まで、果たしてどんな答えが返ってくるのだろうと話しかけては、SNSで結果をシェアする姿が目につく。
では、土木・建設業界でChatGPTを活用した場合、どのような変化がもたらされるのか。実際にChatGPTに質問を投げかけてみながら、これからの可能性を探ってみる。
資料参照からマーケティングまで幅広く
GPT(Generative Pre-trained Transformer)とは、「生成可能な事前学習済み変換器」。つまり、事前に学習させたデータをもとにAIが自動で回答を作成するプログラムだ。
2022年11月に発表を行ったのは、Twitterの買収で話題をさらったイーロン・マスク氏などの協力のもと設立されたOpenAI。
登場以降、Microsoftがチャットボット開発に出資したり、googleも開発を強化中と言われるなど、ChatGPTは大きなインパクトを与えている。
チャットボットと言えば、さまざまなウェブサイトで「よくある質問」などに代わるサポート機能として導入されている。
そうした既存のプログラムに比べてChatGPTが革新的な理由は、非常に高度な処理能力にある。
単に一対一の質問に応えるだけではなく、手紙や企画書をつくったり、プログラミングコードを書いたり、Excel用の関数コードを作成するといった作業ができることが特徴だ。
土木・建設業界での活用を考えると、例えば、
- 資料参照
建築標準仕様書など、膨大な参考資料や確認すべき法律の中から、必要な情報を瞬時に回答
- アイデア提案
競合他社の情報、自社の強み、顧客データなどをもとに、どのようなマーケティング手法があるか提案や施工計画での効率的なプランの提案
- 書類、メール作成
盛り込みたい内容や宛先などを問いに含めることにより、最適な文面を作成
といった活用法が考えられる。
さらに、ChatGPTに「土木・建設業で活用すると、どのような変化が起きる?」と質問してみると、新人教育やリスク管理など、6つの回答が返ってきた。
「働き方改革関連法」が適用開始される2024年4月からは、土木・建設業でも時間外労働時間に罰則付きで上限が設けられ、職人の高齢化と人手不足が課題となっている業界では、工期や受注そのものに支障が出ることが避けられない。
そうした状況の中で、ChatGPTによる作業効率化が図れれば、少数精鋭で、現状よりクオリティの高い業務を行う活路が見えてきそうだ。
普及に向け、土木・建設業界特化型の生成AIも
ChatGPTを現場に導入する上で、壁となるのは回答の真偽。インターネット上の情報や繰り返す会話から常に学習しているとはいえ、答えられた情報が正しいのか、何がリソースになっているのかは明確ではない。質問の内容は同じでも、問いの書き方次第で回答が違ったり、架空の情報を実在するかのように回答することも確認されているのが現状だ。
明るい兆しが見えているのは、ChatGPTのプログラムをベースに、土木・建設業界で使用することを前提につくられたチャットボット。ChatGPTが機能拡張のためのAPI(Application Programming Interface)を開放したことにより、さまざまな開発が進んでいる。
例えば、デジコンでも以前紹介したMalmeの「BIM/CIM特化型チャットボット」、mignの建設特化対話AIモデル「chact(チャクト)」、東京大学発スタートアップ燈の「AKARI Construction LLM」。
また、建設DXサービス「SPIDERPLUS」を提供するスパイダープラスは、安全対策の高品質化を目指し、AI支援機能にChatGPTを組み込んだ。
土木・建設業界でDXが進まない要因としては、人手不足や、デジタルに強い人材がいないことも挙げられてきたが、業界に特化したChatGPTを活用することにより、促進にも追い風となりそうだ。
日本は、AIに関する政策の方向性を議論する「AI戦略会議」が開催されるなど、政府の中でも生成AI活用が推し進められている。世界に先駆けて、土木・建設業界でさらにChatGPTが大きな力となることを期待したい。
WRITTEN by
國廣 愛佳
創業支援や地域活性を行う都内のまちづくり会社に勤務後、2019年よりフリーランス。紙面やwebサイトの編集、インタビューやコピーライティングなどの執筆を中心に、ジャンルを問わず活動。四国にある築100年の実家をどう生かすかが長年の悩み。