明治時代に始まった近代測量の歴史は約150年になる。西洋から導入された三角測量・水準測量に始まり、多角測量(トラバース測量)が世界的に広まると1985年には国産のトータルステーションも誕生した。そして近年では衛星測位技術を活用したGNSS測量が普及している。
測量に用いられる機材はさまざまあるが、測量行政を司る国土地理院では基本測量に用いる機器に性能基準を設け、等級付けも行っている。
国土交通省お墨付きの機器にはどのようなものがあるか?今回は登録機種一覧からトータルステーションを中心に紹介する。また、それらを手掛けるメーカーについても調べてみた。
代表製品名
起源は顕微鏡製造を手掛けるオプティシェス・インスティテュート。その後、経営者が交代しエルンスト・ライツ・オプティッシェ・ヴェルケと社名を変更、1910年頃からカメラ製造を開始し、「ライカ」のブランド名で一躍有名となる。
その後、スイスのウイルドグループと合併するも運営状況が不安定になり事業部ごとに分裂。現在、ライカブランドは測量機器メーカーのライカジオシステムズ(本拠地:スイス、日本本社:東京都港区)、顕微鏡製造を手掛けるライカマイクロシステムズ、そしてカメラメーカーのライカカメラに分社している。
ロボティック・トータルステーションの最新機種のひとつ「TM60」は、堅固で正確、耐久性に優れている。自動視準では世界最長レベルの距離測定が可能。高性能でありながらタッチスクリーンで操作性が高いのも魅力だ。
ニコンの子会社で測量機の開発・販売を手掛けていたニコンジオテックスとトリンブル(Trimble Inc.、本社:アメリカ)が合併し、2003年に設立されたニコン・トリンブル(NIKON-TRIMBLE CO.,LTD)。
本社を東京都大田区に構え、現在は、GNSS受信機や測量機器の販売、3D計測ソリューションを手掛けている。
ニコン・トリンブルでは調査向け、建設・土木向け、建築・設備向けの各種トータルステーションをラインナップしている。
「SPS930」は最速サーボ機構を搭載したユニバーサルトータルステーションだ。3Hzスキャン機能を装備し、深い切度土や岩盤、仮置き場など近づきにくい場所でも迅速にスキャンを行なえる。小規模な現場、橋や排水渠といった構造物に適している。
TIアサヒ(本社:埼玉県さいたま市)の設立は2009(平成21)年だが、その前身はHOYAグループのペンタックスインダストリアルインスツルメンツの測量機事業であり、同社は測量機製造の富士製作所と旭光学工業(のちのペンタックス)の系譜を引いている。
そのためTIアサヒが製造・販売を手掛ける測量関連製品にも「PENTAX(ペンタックス)」のブランド名が冠されている。
トータルステーションの現行モデルには、カメラ機能とAndroid端末をダブル搭載した「X-100 D」シリーズ、新型EDM機構を搭載し高性能かつ応用測定機能を豊富に備えた「R-500」シリーズ、スタンダードモデルながら多様な現場に対応する「V-500」シリーズが揃う。また近年はUASドローンの開発・販売にも力を入れている。
ソキアは1920(大正9)年に創業。当初は測機舎という社名で、1980年代にはオーストラリア、オランダ、アメリカにも現地法人を構えるまでに拡大した。
1990年、ブランド名を「SOKKIA(ソキア)」に変更。2008年にトプコンの完全子会社となり、ソキアブランドは2011年に設立されたトプコンソキアポジショニングジャパンが販売を担っている。
ソキアブランドではトータルステーションのほかGNSS受信機、3次元測定システムなどを扱う。最上位機種のintelligence X-ellence Station iX-1200/600シリーズは超音波モーター制御技術を備え、スムーズな動作が魅力。本体の小ささ・軽さはいずれも世界最高クラスで持ち運びしやすい。
トプコンは1932(昭和7)年、測量機の国産化を目指し設立された。現在は、本社を東京都板橋区に構える。「医(ヘルスケア)・食(農業)・住(建設)」に関する社会的課題をDXで解決するグローバル・ソリューションプロバイダーとして、連結子会社64社、関連会社10社を有する。
トータルステーションの現行シリーズには、トータルステーション測量とレーザースキャナー計測が1台で賄えるGTLシリーズ、高性能と利便性を追求した自動追尾トータルステーションGTシリーズをラインナップしている。また、最近ではトータルステーションとGNSS受信機の双方で観測作業が行えるデータコレクタ用アプリの開発も手掛けている。
ジオトロニクスAB(Geotronics AB)はスウェーデンに本社を構え、追尾測量機の先駆者とも言われる企業であった。その後1979年にスウェーデンのAGAグループに経営が引き継がれた。
のちにジオジメーター事業はスペクトラ・プレシジョン(Spectra Precision)に買収され、同社はトリンブル(Trimble Inc.、本社:アメリカ)に買収されている。
ジオジメーターはgeodetic distance meterの略で、日本では当初「測地計」と呼ばれていた。初めて商品化されたのは1953年で、日本では1960年頃に導入された。現在は生産終了している。
ウイルド(WILD)は1921年創業、ドイツに拠点を構え、光学測量機器および写真測量機、実験室や顕微鏡の開発・販売を手掛けた。
1986年にはエルンスト・ライツ・ウェッツラー社(ライカの前身)と合併しウイルド・ライツグループが誕生。しかしその後、1990年にライカホールディングスが設立したのに伴い、測量機器の「ウイルド」ブランドは消失した。
ウイルドのセオドライトT2は世界初のポータブル光学機械経緯儀で、現代の測量機器の祖先とも言える存在。南極観測でも使用された。T3は1955(昭和30)年頃からGNSS測量が始まった1990年代まで国内の一等三角測量などで活躍した。
新しい技術を取り入れた測量関連製品は毎年のようにリリースされている。新しい技術を理解したり、性能を見極めたりするのは容易ではない。
一方で、測量作業は測量法に基づいて行われ、特に公共測量では作業規定に見合う機材を使用する必要がある。機材の選定の前に測量法で定められた性能基準もきちんと把握しておきたい。
測量に用いられる機材はさまざまあるが、測量行政を司る国土地理院では基本測量に用いる機器に性能基準を設け、等級付けも行っている。
国土交通省お墨付きの機器にはどのようなものがあるか?今回は登録機種一覧からトータルステーションを中心に紹介する。また、それらを手掛けるメーカーについても調べてみた。
1.ライカジオシステムズ
代表製品名
- TC1700、TC1800
- TM60、TM60I
会社概要
起源は顕微鏡製造を手掛けるオプティシェス・インスティテュート。その後、経営者が交代しエルンスト・ライツ・オプティッシェ・ヴェルケと社名を変更、1910年頃からカメラ製造を開始し、「ライカ」のブランド名で一躍有名となる。
その後、スイスのウイルドグループと合併するも運営状況が不安定になり事業部ごとに分裂。現在、ライカブランドは測量機器メーカーのライカジオシステムズ(本拠地:スイス、日本本社:東京都港区)、顕微鏡製造を手掛けるライカマイクロシステムズ、そしてカメラメーカーのライカカメラに分社している。
ロボティック・トータルステーションの最新機種のひとつ「TM60」は、堅固で正確、耐久性に優れている。自動視準では世界最長レベルの距離測定が可能。高性能でありながらタッチスクリーンで操作性が高いのも魅力だ。
2.ニコン・トリンブル
代表製品名
- GF-1
- SPS930 1"/1" DR Plus
会社概要
ニコンの子会社で測量機の開発・販売を手掛けていたニコンジオテックスとトリンブル(Trimble Inc.、本社:アメリカ)が合併し、2003年に設立されたニコン・トリンブル(NIKON-TRIMBLE CO.,LTD)。
本社を東京都大田区に構え、現在は、GNSS受信機や測量機器の販売、3D計測ソリューションを手掛けている。
ニコン・トリンブルでは調査向け、建設・土木向け、建築・設備向けの各種トータルステーションをラインナップしている。
「SPS930」は最速サーボ機構を搭載したユニバーサルトータルステーションだ。3Hzスキャン機能を装備し、深い切度土や岩盤、仮置き場など近づきにくい場所でも迅速にスキャンを行なえる。小規模な現場、橋や排水渠といった構造物に適している。
3.PENTAX(TIアサヒ)
代表製品名
- ITS-011
会社概要
TIアサヒ(本社:埼玉県さいたま市)の設立は2009(平成21)年だが、その前身はHOYAグループのペンタックスインダストリアルインスツルメンツの測量機事業であり、同社は測量機製造の富士製作所と旭光学工業(のちのペンタックス)の系譜を引いている。
そのためTIアサヒが製造・販売を手掛ける測量関連製品にも「PENTAX(ペンタックス)」のブランド名が冠されている。
トータルステーションの現行モデルには、カメラ機能とAndroid端末をダブル搭載した「X-100 D」シリーズ、新型EDM機構を搭載し高性能かつ応用測定機能を豊富に備えた「R-500」シリーズ、スタンダードモデルながら多様な現場に対応する「V-500」シリーズが揃う。また近年はUASドローンの開発・販売にも力を入れている。
4.ソキア
代表製品名
- SET1030R
- iX-1001
会社概要
ソキアは1920(大正9)年に創業。当初は測機舎という社名で、1980年代にはオーストラリア、オランダ、アメリカにも現地法人を構えるまでに拡大した。
1990年、ブランド名を「SOKKIA(ソキア)」に変更。2008年にトプコンの完全子会社となり、ソキアブランドは2011年に設立されたトプコンソキアポジショニングジャパンが販売を担っている。
ソキアブランドではトータルステーションのほかGNSS受信機、3次元測定システムなどを扱う。最上位機種のintelligence X-ellence Station iX-1200/600シリーズは超音波モーター制御技術を備え、スムーズな動作が魅力。本体の小ささ・軽さはいずれも世界最高クラスで持ち運びしやすい。
5.トプコン
代表製品名
- GTS-700
- iX-1201
- GT-1201
会社概要
トプコンは1932(昭和7)年、測量機の国産化を目指し設立された。現在は、本社を東京都板橋区に構える。「医(ヘルスケア)・食(農業)・住(建設)」に関する社会的課題をDXで解決するグローバル・ソリューションプロバイダーとして、連結子会社64社、関連会社10社を有する。
トータルステーションの現行シリーズには、トータルステーション測量とレーザースキャナー計測が1台で賄えるGTLシリーズ、高性能と利便性を追求した自動追尾トータルステーションGTシリーズをラインナップしている。また、最近ではトータルステーションとGNSS受信機の双方で観測作業が行えるデータコレクタ用アプリの開発も手掛けている。
6.ジオトロニクスAB
代表製品名
- ジオジメーター 540SN、540SA、540N、540A、640
会社概要
ジオトロニクスAB(Geotronics AB)はスウェーデンに本社を構え、追尾測量機の先駆者とも言われる企業であった。その後1979年にスウェーデンのAGAグループに経営が引き継がれた。
のちにジオジメーター事業はスペクトラ・プレシジョン(Spectra Precision)に買収され、同社はトリンブル(Trimble Inc.、本社:アメリカ)に買収されている。
ジオジメーターはgeodetic distance meterの略で、日本では当初「測地計」と呼ばれていた。初めて商品化されたのは1953年で、日本では1960年頃に導入された。現在は生産終了している。
7.ウイルド
代表製品名
- 経緯儀(セオドライト) T2・T3
- 測距儀 DI3000
- 精密水準標尺
会社概要
ウイルド(WILD)は1921年創業、ドイツに拠点を構え、光学測量機器および写真測量機、実験室や顕微鏡の開発・販売を手掛けた。
1986年にはエルンスト・ライツ・ウェッツラー社(ライカの前身)と合併しウイルド・ライツグループが誕生。しかしその後、1990年にライカホールディングスが設立したのに伴い、測量機器の「ウイルド」ブランドは消失した。
ウイルドのセオドライトT2は世界初のポータブル光学機械経緯儀で、現代の測量機器の祖先とも言える存在。南極観測でも使用された。T3は1955(昭和30)年頃からGNSS測量が始まった1990年代まで国内の一等三角測量などで活躍した。
新しい技術を取り入れた測量関連製品は毎年のようにリリースされている。新しい技術を理解したり、性能を見極めたりするのは容易ではない。
一方で、測量作業は測量法に基づいて行われ、特に公共測量では作業規定に見合う機材を使用する必要がある。機材の選定の前に測量法で定められた性能基準もきちんと把握しておきたい。
WRITTEN by
三浦 るり
2006年よりライターのキャリアをスタートし、2012年よりフリーに。人材業界でさまざまな業界・分野に触れてきた経験を活かし、幅広くライティングを手掛ける。現在は特に建築や不動産、さらにはDX分野を探究中。