AIを手軽に「学べる・作れる・試せる」クラウド型AIプラットフォーム「AIMINA(アイミナ)」は2022年1月よりフリートライアルプランの提供以降、機能やプランが順次追加され、今年中に時系列解析、画像処理、自然言語処理、音声処理の4分野で計17のAIモデルを搭載する計画だという。また5月より有償プランの提供も開始した。
仕事の最前線で働く“非エンジニア”のために開発されたという「AIMINA」。AIモデルを使って業務改善やサービス向上を目指せるツールとのことだが、建設業界の業務でも役立つのだろうか?インタビュー後編では各種機能や活用事例についてご紹介いただく。
前編に引き続き、SB C&S株式会社 ICT事業本部 システム基盤推進本部 プラットフォーム推進統括部 AIMINA事業推進室 村松 貴耶氏(以下、敬称略)と室長 渡邉 敬介氏(以下、敬称略)に話を伺った。
――「AIを使えば業務改善ができるのではないか?」と思いつつも二の足を踏んでいる企業はまだ多いですが、AIでできること、またAIMINAの良い活用法はあるでしょうか?
村松:2020年のAI市場は513億円といわれており前年比120%ほど成長しています。画像認識や音声認識、音声合成といったさまざまなAIの領域が伸長しており、2025年ごろまで上昇傾向は続くと予測されています。
機械学習プラットフォームの分野は2020年が72億円規模、前年比144%と大きく成長しています。ここでもさまざまな領域が伸びているのがポイントで、一つが突出しているのではなくて幅広いAI領域で必要性や期待感が顕著に出ているのです。
業種別に見ると、全体的に右肩上がりではありますが、建設業が2020年は前年比121%の成長。発電所内でのデータ活用や建設工事に関連する業務効率化といったジャンルでAIやIoTの活用が進んでいるようです。
ただ、建設業界は危険と隣り合わせの現場も珍しくありません。効率化を図るにしても安全第一の観点がともない、簡単に効率化できない部分もあるのではないでしょうか。
一方で、人手不足の課題も抱えているので業務効率化のニーズは多いことは間違いないでしょう。建設業ではAI導入に品質の確保・向上、安全性の確保・向上、効率化、コスト削減といったところが期待されているようです。
――建設業においては業務効率化と安全性が天秤にかけられるため、AI導入率は平均を下回っている状況なのですね。
村松:AIMINAでは、たとえば画像分類というAIモデルを用いて、マスクやヘルメットの未装着を検出することが可能です。安全装備をしているか、していないかを画像を認識して判別します。
また今後、コンクリートのひび割れ、さび、傷などを画像上で正常か異常か分類できる画像セグメンテーションというモデルを搭載する予定もあります。これを使うことで人が目でチェックしていた工数を削減できます。
渡邉:たとえば外壁の劣化のイメージ画像では、ドローンで撮影したひび割れとさび、シミ、汚れなどが全部表示されているようなものもありますが、実際にはAIのモデルはそれぞれ開発する必要があります。
さび、クラック、汚れそれぞれを検出するにAIモデルが必要です。それぞれを特定する機能をシステム上に並べているんですね。それをオリジナルで開発会社に依頼すると、1種類につき何百万円にもなる。総額にするととても高額になり諦めてしまうというケースは少なくないようです。
――なるほど。コンクリート診断や橋りょう点検だけでもイチから開発すると高額になってしまいそう。
渡邉:そうですね。AIMINAでは画像セグメンテーションは2022年5月にリリース済みで、月額10万円からお試しいただけます。
――建設現場や施工現場ですとAIを使って、疲労状況の把握や転倒者の挙動分析といったことができそうですね。こういった調査や分析を自社で行えたら便利でしょうね。
村松:安全管理に関しては、物体検知というモデルの作成を進めています。危険エリアや車と人の識別をディープラーニングの領域において、人間と同じように区別できるようになります。加えて、過去の時系列データを用いて故障履歴、機械の障害履歴、部品情報などを基にメンテナンス時期を予測するといったことも検証できるようになります。
AIMINAでは世の中で活用されている事例をポータルサイトで発信しつつ、モデルの提供を順次進めていきます。合計17モデルのうち2022年3月時点で6モデルをリリース済みで、今夏までにはすべて出揃うでしょう。
――ポータルサイトでさまざまな知識を得ながらAIモデルが17種類も手軽に試せるというのは、とても充実していますね。操作性も気になるところです。
村松:それではAIMINAのサイトの様子をご覧いただきましょう。
村松:ログインすると表示される画面がこちらです(上記、動画参照)。【「学習」AIのモデルを作ってみよう】と【「推論」AIモデルを使ってみよう】という主メニューになっています。どのように活用したいか具体的なイメージが固まっていなくても、「業種/ロールの設定から始める」というところから業種と職種を選択いただくと、それに適した利用シーンが自動的に表示されます。
たとえば、先ほどの「マスクやヘルメットの異常検知をやりたい」という場合、そのように選んでいただけばAIMINAがおすすめのAIの手法を表示します。そうすると「画像分類を使ってみようか」と選択していけるわけです。使いたいAIモデルが決まっている場合は、機能選定から始めてください。カテゴリごとに搭載されているモデル一覧が表示されるのでそこから選択することができます。
AIのつくりたいモデルを選ぶと学習する側が決まります。次にそこに知能を与えていきます。学習するデータを登録するステップに移ります。もし学習させるデータを持っていなくとも、どういうデータを用意して学習させれば検証を行えるかというサンプル画像を用意しています。
また、すでに業務で蓄積したデータをお持ちなら、AIMINAに最初にアップロードしておくか、検証のたびにローカルからアップロードすれば、お持ちのデータに合うモデルを生成することができます。
データの作り方もAIにとっては鍵になります。利用ガイドを参照いただくと、データ条件のコメントの作り方などをガイドページで案内しています。
――きちんと解説があるのですね。
村松:迷わずお使いいただけるようなUIを設計しています。なお、作成したモデルはAI管理というページで保存しておくことが可能です。
――これはクラウド上で操作するのですか?いわゆるSaaSなんですね。
渡邉:はい。プランによって異なりますが、ひとつのアカウントを複数人で利用できます。メンバー間での評価や「こんなモデルで検知できました」というようなやりとりも可能です。現時点ではフリープラン1アカウントにつき5名までご利用いただけます。
作ったモデルは「作成中モデル」というところからご覧いただけます。物体検知であれば、データを投入すると検知の結果がこのように精度の高い画像で表示されます。
また近年、DXという言葉が建設業界でもよく聞かれるようになりましたが、業務効率化という点で文書分類にもご活用いただけます。AIMINAでは6つのアルゴリズムが競い合ってより高い精度の結果を導き出すことが可能です。
データを投入すると精度の高い順にAIモデルがランキング表示され、最も精度の高いモデルだけ保存も可能ですし、6通りのモデルを保存して比較しながら予測や検証を行うという使い方もできます。
――さまざまな観点から推論して、客観性の高いデータを導き出しているわけですか。
村松:AIモデルを学習で作っただけでは業務が改善できるかの検証にはなりません。作成したAIモデルに画像やデータを投入した検証結果をご確認いただくことが大切です。
一例として物体検知を使ってみましょう。作成したモデルにPNG形式の画像をいろいろ取り込んでみると車と人を分類することができます。車と人と2つのクラスを検知していますね。
文書分類のモデルでは、ワード形式のファイルをいくつか投入すると、その文書がどのクラスに分類されたかファイルごとに一覧で表示されます。たとえば文章の中に「修理」や「発注」など分類に関するキーワードが混在している場合、このファイルは「修理」に関する内容の確信度が最も高いという結果を示します。文書の中をしっかりと認識して分類しているわけです。
――ファイル名ではなく、中身を見て推論しているんですね。
村松:そうです。結果はCSVでダウンロードしてファイルごとに一覧で見ることができます。「高い精度ですぐに分類できるんだ」ということがわかればAIを導入した際の業務効率化もイメージしやすくなりますので、社内での予算も付きやすくなるのではないでしょうか?こうして業務でのAI活用が促進されるきっかけになることを期待しています。
――土木・建設業界でAIMINAを利用されている企業はいますか?どのように活用されているかも気になるところです。
渡邉:すでに数社がフリープランをお試しいただいており、中にはゼネコンもあります。建設業界だけに限らず、大手企業などDXに積極的な企業では独自に研究開発に取り組んでいらっしゃいますが、すべての業務がDX化されているというのはまだ珍しい。DX化に特化している分野とそうでないものがある状態です。特化していない部門の日常業務にAIMINAをお使いいただいているケースは多いようです。
また、DXをやりたいけれど予算がネックになっていた、どこに頼めばいいか分からなかったという中小企業も利用いただいています。
――会社規模の大きさにかかわらず日常業務をDX化させるためにまずAIMINAで試してみようという動機が多いんですね。これでうまくいけば予算も付けやすくなりそうですし、DX化できそうな業務を試すのに役立ちそうだと感じました。
渡邉:実際に利用していただくと、固有のニーズが明らかになってきます。「こんなことをやりたい」と考えていたものが、先ほどの外壁点検の例のように実は3つのAIモデルを使っているとわかってくる。
まず大きな課題があり、分解していくとAIで解く問題だけでなくRPA(※1)で解く問題もあることが分かってきます。さらに、AIで解く問題も何を使うかというところまで落とし込んでいく流れができるかと思います。
AIプラットフォームをご利用いただくことでDX化のステップを明確化し、私たちはコンサルのようなかたちでお客様の案件一つひとつを支援していきたいと考えています。同時に、こういった経験をこれから試してみたい方々に事例として発信していくことがAIMINAの目的と言えます。
――現在は(※2)フリートライアルプランでもSB C&Sがコンサルに入って導入に向けた具体的なサポートを行っているんですね。建設業界のユーザーからはどのようなニーズがありますか?
渡邉:先ほどご紹介した点検や装備チェックといった画像系のほか、需要予測のニーズもありますね。施工現場のスタッフでも見やすい発注の期間予測や機械のメンテナンス周期の予測をしたいといった声をうかがっています。
――すでにさまざまなニーズが寄せられているんですね。今後、AIMINAはどんなサービスを目指していかれるんでしょうか?
渡邉:ひとたびAIプラットフォームをお試しいただくと、やりたいこと、やれそうなことが次々と湧き出てくるのではないかと思います。当社でもRPAやAIのプロジェクトをやってみようと推進し始めたところ次々とプロジェクトが立ち上がりました。
AIMINAをテストで1回使って終わるではなく、さまざまなAIプロジェクトを立ち上げるきっかけにご活用いただき、長くご利用いただければうれしいです。また、今後は多様なAI開発会社とコラボレーションしていきたいと考えています。このプラットフォームを通じてAI開発会社のソリューションを展開したり、ユーザーが作ったAIモデルを販売したりということもできればと夢見ています。
――AIMINAオリジナルのサービスが充実していくだけでなく、パートナー企業との連携でできることがどんどん増えていくわけですね。ユーザーが作成したAIモデルを販売できるというのも面白そう。今後の展開がとても楽しみです。本日はありがとうございました。
【編集部 後記】
「AI導入への敷居をできるだけ低く」という思いで開発されたAIMINA。同サービスが搭載を予定している4分野17種類のAIモデルは施工現場から事務業務まで幅広く対応する。一つの業務に使ってみるだけでなく、複数同時に試すことができるというのは社内のDX化を一気に推進させる好機になりそうだ。
SB C&S株式会社
東京都港区海岸1-7-1 東京ポートシティ竹芝オフィスタワー
https://cas.softbank.jp/
「AIMINA(アイミナ)」公式サイト
https://aimina.com/
仕事の最前線で働く“非エンジニア”のために開発されたという「AIMINA」。AIモデルを使って業務改善やサービス向上を目指せるツールとのことだが、建設業界の業務でも役立つのだろうか?インタビュー後編では各種機能や活用事例についてご紹介いただく。
前編に引き続き、SB C&S株式会社 ICT事業本部 システム基盤推進本部 プラットフォーム推進統括部 AIMINA事業推進室 村松 貴耶氏(以下、敬称略)と室長 渡邉 敬介氏(以下、敬称略)に話を伺った。
AIMINAで、AI導入の敷居を低くしたい
――「AIを使えば業務改善ができるのではないか?」と思いつつも二の足を踏んでいる企業はまだ多いですが、AIでできること、またAIMINAの良い活用法はあるでしょうか?
村松:2020年のAI市場は513億円といわれており前年比120%ほど成長しています。画像認識や音声認識、音声合成といったさまざまなAIの領域が伸長しており、2025年ごろまで上昇傾向は続くと予測されています。
機械学習プラットフォームの分野は2020年が72億円規模、前年比144%と大きく成長しています。ここでもさまざまな領域が伸びているのがポイントで、一つが突出しているのではなくて幅広いAI領域で必要性や期待感が顕著に出ているのです。
業種別に見ると、全体的に右肩上がりではありますが、建設業が2020年は前年比121%の成長。発電所内でのデータ活用や建設工事に関連する業務効率化といったジャンルでAIやIoTの活用が進んでいるようです。
ただ、建設業界は危険と隣り合わせの現場も珍しくありません。効率化を図るにしても安全第一の観点がともない、簡単に効率化できない部分もあるのではないでしょうか。
一方で、人手不足の課題も抱えているので業務効率化のニーズは多いことは間違いないでしょう。建設業ではAI導入に品質の確保・向上、安全性の確保・向上、効率化、コスト削減といったところが期待されているようです。
――建設業においては業務効率化と安全性が天秤にかけられるため、AI導入率は平均を下回っている状況なのですね。
村松:AIMINAでは、たとえば画像分類というAIモデルを用いて、マスクやヘルメットの未装着を検出することが可能です。安全装備をしているか、していないかを画像を認識して判別します。
また今後、コンクリートのひび割れ、さび、傷などを画像上で正常か異常か分類できる画像セグメンテーションというモデルを搭載する予定もあります。これを使うことで人が目でチェックしていた工数を削減できます。
渡邉:たとえば外壁の劣化のイメージ画像では、ドローンで撮影したひび割れとさび、シミ、汚れなどが全部表示されているようなものもありますが、実際にはAIのモデルはそれぞれ開発する必要があります。
さび、クラック、汚れそれぞれを検出するにAIモデルが必要です。それぞれを特定する機能をシステム上に並べているんですね。それをオリジナルで開発会社に依頼すると、1種類につき何百万円にもなる。総額にするととても高額になり諦めてしまうというケースは少なくないようです。
――なるほど。コンクリート診断や橋りょう点検だけでもイチから開発すると高額になってしまいそう。
渡邉:そうですね。AIMINAでは画像セグメンテーションは2022年5月にリリース済みで、月額10万円からお試しいただけます。
――建設現場や施工現場ですとAIを使って、疲労状況の把握や転倒者の挙動分析といったことができそうですね。こういった調査や分析を自社で行えたら便利でしょうね。
村松:安全管理に関しては、物体検知というモデルの作成を進めています。危険エリアや車と人の識別をディープラーニングの領域において、人間と同じように区別できるようになります。加えて、過去の時系列データを用いて故障履歴、機械の障害履歴、部品情報などを基にメンテナンス時期を予測するといったことも検証できるようになります。
AIMINAでは世の中で活用されている事例をポータルサイトで発信しつつ、モデルの提供を順次進めていきます。合計17モデルのうち2022年3月時点で6モデルをリリース済みで、今夏までにはすべて出揃うでしょう。
AIの活用法を学びながら、手軽に試すことができる
――ポータルサイトでさまざまな知識を得ながらAIモデルが17種類も手軽に試せるというのは、とても充実していますね。操作性も気になるところです。
村松:それではAIMINAのサイトの様子をご覧いただきましょう。
村松:ログインすると表示される画面がこちらです(上記、動画参照)。【「学習」AIのモデルを作ってみよう】と【「推論」AIモデルを使ってみよう】という主メニューになっています。どのように活用したいか具体的なイメージが固まっていなくても、「業種/ロールの設定から始める」というところから業種と職種を選択いただくと、それに適した利用シーンが自動的に表示されます。
たとえば、先ほどの「マスクやヘルメットの異常検知をやりたい」という場合、そのように選んでいただけばAIMINAがおすすめのAIの手法を表示します。そうすると「画像分類を使ってみようか」と選択していけるわけです。使いたいAIモデルが決まっている場合は、機能選定から始めてください。カテゴリごとに搭載されているモデル一覧が表示されるのでそこから選択することができます。
AIのつくりたいモデルを選ぶと学習する側が決まります。次にそこに知能を与えていきます。学習するデータを登録するステップに移ります。もし学習させるデータを持っていなくとも、どういうデータを用意して学習させれば検証を行えるかというサンプル画像を用意しています。
また、すでに業務で蓄積したデータをお持ちなら、AIMINAに最初にアップロードしておくか、検証のたびにローカルからアップロードすれば、お持ちのデータに合うモデルを生成することができます。
データの作り方もAIにとっては鍵になります。利用ガイドを参照いただくと、データ条件のコメントの作り方などをガイドページで案内しています。
――きちんと解説があるのですね。
村松:迷わずお使いいただけるようなUIを設計しています。なお、作成したモデルはAI管理というページで保存しておくことが可能です。
――これはクラウド上で操作するのですか?いわゆるSaaSなんですね。
渡邉:はい。プランによって異なりますが、ひとつのアカウントを複数人で利用できます。メンバー間での評価や「こんなモデルで検知できました」というようなやりとりも可能です。現時点ではフリープラン1アカウントにつき5名までご利用いただけます。
作ったモデルは「作成中モデル」というところからご覧いただけます。物体検知であれば、データを投入すると検知の結果がこのように精度の高い画像で表示されます。
また近年、DXという言葉が建設業界でもよく聞かれるようになりましたが、業務効率化という点で文書分類にもご活用いただけます。AIMINAでは6つのアルゴリズムが競い合ってより高い精度の結果を導き出すことが可能です。
データを投入すると精度の高い順にAIモデルがランキング表示され、最も精度の高いモデルだけ保存も可能ですし、6通りのモデルを保存して比較しながら予測や検証を行うという使い方もできます。
――さまざまな観点から推論して、客観性の高いデータを導き出しているわけですか。
村松:AIモデルを学習で作っただけでは業務が改善できるかの検証にはなりません。作成したAIモデルに画像やデータを投入した検証結果をご確認いただくことが大切です。
一例として物体検知を使ってみましょう。作成したモデルにPNG形式の画像をいろいろ取り込んでみると車と人を分類することができます。車と人と2つのクラスを検知していますね。
文書分類のモデルでは、ワード形式のファイルをいくつか投入すると、その文書がどのクラスに分類されたかファイルごとに一覧で表示されます。たとえば文章の中に「修理」や「発注」など分類に関するキーワードが混在している場合、このファイルは「修理」に関する内容の確信度が最も高いという結果を示します。文書の中をしっかりと認識して分類しているわけです。
――ファイル名ではなく、中身を見て推論しているんですね。
村松:そうです。結果はCSVでダウンロードしてファイルごとに一覧で見ることができます。「高い精度ですぐに分類できるんだ」ということがわかればAIを導入した際の業務効率化もイメージしやすくなりますので、社内での予算も付きやすくなるのではないでしょうか?こうして業務でのAI活用が促進されるきっかけになることを期待しています。
日常業務でのAI活用に幅広く対応
――土木・建設業界でAIMINAを利用されている企業はいますか?どのように活用されているかも気になるところです。
渡邉:すでに数社がフリープランをお試しいただいており、中にはゼネコンもあります。建設業界だけに限らず、大手企業などDXに積極的な企業では独自に研究開発に取り組んでいらっしゃいますが、すべての業務がDX化されているというのはまだ珍しい。DX化に特化している分野とそうでないものがある状態です。特化していない部門の日常業務にAIMINAをお使いいただいているケースは多いようです。
また、DXをやりたいけれど予算がネックになっていた、どこに頼めばいいか分からなかったという中小企業も利用いただいています。
――会社規模の大きさにかかわらず日常業務をDX化させるためにまずAIMINAで試してみようという動機が多いんですね。これでうまくいけば予算も付けやすくなりそうですし、DX化できそうな業務を試すのに役立ちそうだと感じました。
渡邉:実際に利用していただくと、固有のニーズが明らかになってきます。「こんなことをやりたい」と考えていたものが、先ほどの外壁点検の例のように実は3つのAIモデルを使っているとわかってくる。
まず大きな課題があり、分解していくとAIで解く問題だけでなくRPA(※1)で解く問題もあることが分かってきます。さらに、AIで解く問題も何を使うかというところまで落とし込んでいく流れができるかと思います。
AIプラットフォームをご利用いただくことでDX化のステップを明確化し、私たちはコンサルのようなかたちでお客様の案件一つひとつを支援していきたいと考えています。同時に、こういった経験をこれから試してみたい方々に事例として発信していくことがAIMINAの目的と言えます。
――現在は(※2)フリートライアルプランでもSB C&Sがコンサルに入って導入に向けた具体的なサポートを行っているんですね。建設業界のユーザーからはどのようなニーズがありますか?
渡邉:先ほどご紹介した点検や装備チェックといった画像系のほか、需要予測のニーズもありますね。施工現場のスタッフでも見やすい発注の期間予測や機械のメンテナンス周期の予測をしたいといった声をうかがっています。
――すでにさまざまなニーズが寄せられているんですね。今後、AIMINAはどんなサービスを目指していかれるんでしょうか?
渡邉:ひとたびAIプラットフォームをお試しいただくと、やりたいこと、やれそうなことが次々と湧き出てくるのではないかと思います。当社でもRPAやAIのプロジェクトをやってみようと推進し始めたところ次々とプロジェクトが立ち上がりました。
AIMINAをテストで1回使って終わるではなく、さまざまなAIプロジェクトを立ち上げるきっかけにご活用いただき、長くご利用いただければうれしいです。また、今後は多様なAI開発会社とコラボレーションしていきたいと考えています。このプラットフォームを通じてAI開発会社のソリューションを展開したり、ユーザーが作ったAIモデルを販売したりということもできればと夢見ています。
――AIMINAオリジナルのサービスが充実していくだけでなく、パートナー企業との連携でできることがどんどん増えていくわけですね。ユーザーが作成したAIモデルを販売できるというのも面白そう。今後の展開がとても楽しみです。本日はありがとうございました。
【編集部 後記】
「AI導入への敷居をできるだけ低く」という思いで開発されたAIMINA。同サービスが搭載を予定している4分野17種類のAIモデルは施工現場から事務業務まで幅広く対応する。一つの業務に使ってみるだけでなく、複数同時に試すことができるというのは社内のDX化を一気に推進させる好機になりそうだ。
SB C&S株式会社
東京都港区海岸1-7-1 東京ポートシティ竹芝オフィスタワー
https://cas.softbank.jp/
「AIMINA(アイミナ)」公式サイト
https://aimina.com/
WRITTEN by
三浦 るり
2006年よりライターのキャリアをスタートし、2012年よりフリーに。人材業界でさまざまな業界・分野に触れてきた経験を活かし、幅広くライティングを手掛ける。現在は特に建築や不動産、さらにはDX分野を探究中。