コラム・特集
三浦 るり 2022.2.16

世界の建設会社ランキング!!世界市場シェアTOP16の企業とは?

CONTENTS
  1. 建設業界の世界市場シェアTOP16
  2. 中国企業が市場を牽引、日本企業は4社ランクイン
  3. 市場規模は12.7兆ドル!今後も拡大予想
建設会社の中には自国内だけにとどまらず海外のプロジェクトを手掛けるものもある。グローバル市場はどのような状況なのだろうか?そこで、建設分野のグローバル市場について調べてみた。シェア上位を占めるのはどんな企業か、また、日本企業はどのようなポジションにあるかを紹介する。


建設業界の世界市場シェアTOP16


2020年度の売上高から算出したゼネコン・建設会社の世界市場シェアランキングは以下の通り。上位16位までをシェア率の高い順に示している。

  • 1位 中国建築(中国)1.85%
  • 2位 中国中鉄(中国)1.16%
  • 3位 中国鉄建(中国)1.08%
  • 4位 中国交通建設(中国)0.74%
  • 5位 ACSグループ(スペイン)0.33%
  • 6位 ブイグ(フランス)0.25%
  • 7位 ヴァンシ(フランス)0.22%
  • 8位 ベクテル(アメリカ)0.17%
  • 9位 エファージュ(フランス)0.15%
  • 10位 鹿島建設(日本)0.14%
  • 11位 スカンスカ(スウェーデン)0.13%
  • 12位 大成建設(日本)0.13%
  • 13位 清水建設(日本)0.11%
  • 14位 キーウィット(アメリカ)0.10%
  • 15位 竹中工務店(日本)0.09%
  • 16位 ロイヤルバムグループ(オランダ)0.06%

※カッコ内は本拠地、数字はシェア率を示す。※ランキングは2020年度の売上高を基にしている。
※引用元:https://deallab.info/construction/


中国企業が市場を牽引、日本企業は4社ランクイン


ランキングでは上位4位を中国の企業が占めている。日本企業で最もシェア率が高いのは10位の鹿島建設だ。海外市場で存在感を示していても、日本に拠点がない企業は珍しくなく馴染みが薄いものもあるだろう。そこで、各企業の概要や主な実績についてまとめてみた。

1位 中国建築 (中国)
中国建築股份有限公司(China State Construction Engineering Corporation Limited)は、中国の国有企業である中国建築集団有限公司の子会社。国内事業においても業界トップクラスのシェアを占めている。

近年では、カンボジアのプノンペン国際空港ターミナル、シンガポールのMRTサークル線、ガボン共和国のアリバンデン総合学校などを手掛けている。

中国建築股份有限公司:https://www.cscec.com


写真はイメージ/Shutterstockより


2位 中国中鉄(中国)
中国中鉄股份有限公司(China Railway Group Limited)は、100年以上の歴史をもつ総合建設企業である。もともとは中国鉄道省の工学総局および設計総局に位置していたが、組織の改編により2007年に中国中鉄として設立された。現在までに中国の総鉄道走行距離の3分の2以上を占める鉄道の建設に関わっている。

中国中鉄股份有限公司:http://www.crec.cn


画像はイメージ/Shutterstockより


3位 中国鉄建(中国)

中国鉄建股份有限公司(China Railway Construction Corporation Limited)は、国有企業である中国鉄道建築総公司(CRCCG)の子会社。中国鉄道建築グループの前身は人民解放軍鉄道隊で、交通インフラ建設や土地造成といった建設事業を主力としている。このほか鉄道軌道保守重機の開発、鉄道建設向け機械の部品製造なども手掛ける。

中国鉄建股份有限公司:https://www.crcc.cn/


4位 中国交通建設(中国)

中国交通建設股份有限公司(China Communications Construction Company Limited)完全子会社は60社以上、150以上の国と地域に拠点を展開している。近年の実績には、モンバサ港(ケニア)キペビュー石油ターミナルプロジェクト、アルジェリアの東西高速鉄道建設などがある。

中国交通建設股份有限公司: https://www.ccccltd.cn/


画像はイメージ/Shutterstockより


5位 ACSグループ(スペイン)

正式名称は、Actividades de Construcción y Servicios S.A.。インフラ分野の開発や工業系エンジニアリングを主体とする多数のグループ企業から成る。世界30ヶ国以上でプロジェクトを展開し、従業員数は5万7000名を超える。

近年の実績としては、バーミンガム(イギリス)の高速鉄道新駅の建設、ロッテルダム(オランダ)の岸壁アマリア港の建設などがある。



画像はイメージ/Shutterstockより  

6位 ブイグ(フランス)

ブイグ(Bouygues S.A.)は、1952年に設立、世界81の国と地域に拠点を構える。現在は建設業のほかメディア・通信事業も手掛けている。1983年、クウエートのブビヤン島と本土を結ぶブビヤン橋を建設。近年は、ジュネーブ(スイス)での革新的で持続可能な地域開発、シドニー(オーストラリア)の地下鉄クロウズネスト駅の工事を手掛けている。



7位 ヴァンシ(フランス)
ヴァンシ(VINCI S.A.)は、パリ(フランス)に本社を置く建設会社である。現在は、約120の国と地域に拠点を構え、建設業のほかコンセッション事業(公共施設等運営事業)、エネルギー関連事業を手掛ける。工事事業においては、2021年にヴァンシコンストラクションとユーロビアが合併し、1000を超える関連会社を有するVINCI Constructionが誕生した。現在は、デンマークのフェーマルントンネル建設工事などを手掛けている。



8位 ベクテル(アメリカ)

ベクテル(Bechtel Corporation)はカリフォルニア州サンフランシスコ(アメリカ)に本拠を置く、建設業を主体とする多国籍企業。これまでに7大陸にわたる160ヶ国で2万5000以上のプロジェクトに携わってきた。

近年は、ベトナムでエネルギープラントのフロントエンドエンジニアリングデザイン(FEED)、ポーランドの原子力発電所プロジェクトの推進などを手掛けている。


 
9位 エファージュ(フランス)
エファージュ(Eiffage S.A.)はパリ(フランス)の南西部に本社を置く、建設会社。1844年設立のフジュロル(Fougerolle)と1924年設立のSAEが合併し、1993年に設立された。これまでにドイツ最大級の鋼製高架橋ハイモーゼル橋(Hochmoselbrücke)、西アフリカで最初の有料高速道路などの建設に携わった。



画像はイメージ/Shutterstockより


10位 鹿島建設(日本)

鹿島建設株式会社は1840年設立の総合建設会社。中国、台湾、シンガポール、インドネシア、ベトナム、ミャンマー、バングラデシュに営業所を構え、北米、ヨーロッパなどに6つの現地法人を持つ。

海外事業は、1960年代にロサンゼルス(アメリカ)のリトル・トーキョーの再開発から始まった。近年の実績には、シンガポール「ウッドレイ住宅・商業複合開発」などがある。



11位 スカンスカ(スウェーデン)

スカンスカ(Skanska AB)は、スウェーデンを本拠地とする多国籍企業。プロジェクト開発と建設事業を手掛ける。近年は、チェコ共和国のニュープラハ鉄道相互接続プロジェクト、ラハティ(フィンランド)のVt12環状線建設などを手掛けている。2023年までにデジタルコンストラクションへの完全移行を目指していることでも注目されている。



12位 大成建設(日本)

大成建設株式会社(TAISEI CORPORATION)は1873年創業。アジアや中東(ドーハ)、北アフリカ(エジプト)など8つの海外拠点を構える。近年の実績には、マレーシア日本通運シャーアラムロジスティクセンター設計・施工、パキスタンの国道70号線東西道路改修工事、ミャンマー気象観測レーダー塔建設などがある。



13位 清水建設(日本)

清水建設株式会社(SHIMIZU CORPORATION)は1804年創業。建設業のほか不動産開発、エンジニアリング、LCV(ライフサイクル・バリュエーション)、フロンティアといった分野でも事業展開している。海外事業は1970年代から開始しており、これまでに約60ヶ国でプロジェクトに携わっている。



14位 キーウィット(アメリカ)

キーウィット(Kiewit Corporation)は、ネブラスカ州オマハ(アメリカ)に本拠地を構える総合建設会社。カナダとメキシコにも拠点を持つ。

1884年の設立当初は自営業の石積み請負会社だったが、1900年より建設業を開始した。1951年にはグリーンランドにチューレ空軍基地を建設。近年は、カラタキ川(カナダ)の橋梁改修プロジェクト、トリチョ地方(ワティ第一国)の道路建設などを手掛けている。

Kiewit Corporation:https://www.kiewit.com/


画像はイメージ/Shutterstockより    


15位 竹中工務店(日本)
株式会社竹中工務店は大阪市中央区に本社を置く建設会社。アジア、ヨーロッパ、北米地域に11の営業所と9つのグループ会社を持つ。

近年の実績には、シンガポールのチャンギ国際空港第4ターミナル建設、ジャカルタ(インドネシア)の中心地区SCBDのハイグレード超高層オフィスビル「パシフィックセンチュリープレースジャカルタ」建設など。

竹中工務店:https://www.takenaka.co.jp


16位 ロイヤルバムグループ(オランダ)

ロイヤルバムグループ(オランダ語:Koninklijke BAM Groep NV、Royal BAM Group NV)は、1869年創業のオランダの建設会社。イギリス、ベルギー、アイルランドなどにも拠点を持つ。

海外事業としては、1874年にロンドン(イギリス)のセントポール大聖堂聖歌隊学校の建設に始まり、近年ではパプアニューギニアのモレスビー港LNG突堤建設などを手掛けている。

Royal BAM Group:https://www.bam.com


画像はイメージ/Shutterstockより


市場規模は12.7兆ドル!今後も拡大予想


このシェア率ランキングでは、各企業の売上高からグローバル市場の規模は12.7兆ドルになるとしている。国土交通省の試算によると、アジア地域だけでも2016~2030年で約23兆ドル(年間1.5兆ドル)のインフラ需要が存在するという。

建設会社が技術やノウハウを活かして、発展途上国のインフラ整備をはじめ諸外国の技術支援を行う動きは今後も続きそうだ。加えて、コロナで一時は勢いが抑えられていた日本企業の海外進出もまた拡大していく見込み。海外オフィス・工場の建設需要の増加も期待できるだろう。



参考サイト:
https://deallab.info/construction/
https://www.mlit.go.jp/common/001187356.pdf https://www.jetro.go.jp/news/releases/2021/7a141addc32f92a3.html
WRITTEN by

三浦 るり

2006年よりライターのキャリアをスタートし、2012年よりフリーに。人材業界でさまざまな業界・分野に触れてきた経験を活かし、幅広くライティングを手掛ける。現在は特に建築や不動産、さらにはDX分野を探究中。

会員登録

会員登録していただくと、最新記事を案内するメールマガジンが購読できるほか、会員限定コンテンツの閲覧が可能です。是非ご登録ください。