
北から南へと日本海に広く面し、山地、丘陵地、平地と多様な地形を持つ新潟県。
米の生産に象徴されるように肥沃な土地と水源が暮らしを豊かにし、雪や温泉など観光資源ともなっている一方で、地震、土砂くずれ、洪水、そして積雪といったさまざまな自然災害のリスクをはらんでいることも地域の特徴といえる。
例えば、東から南にかけて連なる飯豊山地や越後山脈、飛騨山脈など標高2000m級の山々に、日本海から流れ込む温かく湿った空気がぶつかることによって、しばしば大雨や大雪が引き起こされる。
そのため新潟県では、気候条件や広い県土を生かしたインフラ整備が古くから重要な産業基盤となってきた。
新潟県内の土木・建設企業は、特に雪害対策や防災インフラ整備の技術が発達している企業が多く、豪雪や地震に対応するため、堅牢な構造物の設計・施工力が企業の強みとなっていたり、日本一の長さを誇る信濃川などの多数の大きな河川を整備するため、治水・河川改修工事にも長けている企業が目立つ。
新潟県の土木部監理課では、県内の建設産業の魅力を発信するポータルサイト「ビルドニイガタ」を運営しており、若い世代に向けて、業界の解説やインタビューを掲載している。
また、現場、バックオフィスの業務を効率化を目指し、DX推進研修プログラム「建設業のための事務効率化セミナー」を開催するなど、建設業へのDXとICTの導入を推進しているところだ。
本記事では、そんな新潟の総合土木・建設業界の最前線にいる15社を紹介する。各社の歴史、特徴的な技術、代表的なプロジェクト、そして最新の取り組みなどを詳しく見ていこう。
1885年の創業から、2025年に140周年を迎えた植木組は、新潟市柏崎市に本社を置き、建築・土木の両分野で地域社会の発展に寄与してきた総合建設会社である。
長岡市にある新潟本店をはじめ、県内に6つの支店や営業所、東京にも本店を置くほか、金金沢や仙台にも拠点を持つ。
(画像元:植木組WEBサイトより)
600名の従業員を抱え、13のグループ会社がある新潟県を代表する総合建設会社だ。令和7年度、工事成績優秀企業、ICT人材育成推進企業にもそれぞれ認定されている。
創業以来、最新技術を取り入れ、新たな事業展開に活かすスタイルを続けており、2016年には本格的なBIM/CIM活用をスタート。
これまでの施工事例としては、関越自動車道魚沼地区での災害復旧工事、柏崎市六識橋の中圧ガス管水管橋改良工事、石巻合同庁舎、新潟県立歴史博物館、県外では足立区内での隅田川左岸の護岸工事など、多様化する建設ニーズに応えながら数多くの工事を手がけている。
1902年創業の福田組は、新潟市中央区に本社を置く大手総合建設会社で、全国的にも高い技術力を誇る。
2025年には、「次の100年に向けた挑戦」を掲げた「長期ビジョン2025」の最終フェーズを迎え、サステナブルな成長への取り組みを続けている。
(画像元:福田組WEBサイトより)
建築・土木の両部門を柱に、公共・民間を問わず幅広い施工実績を重ねている。
2025年に竣工予定の新潟駅南口西地区整備事業、那須メガソーラー、JR新宿駅前のタカシマヤ・タイムズ・スクエア、国外でもバングラデシュ気象レーダー塔など多数の実績がある。
また、新潟県が実施する「多様で柔軟な働き方・女性活躍実践企業(Ni-ful)」のゴールド認定を受けたり、新潟にゆかりのある学生に向けて奨学金を給付する公益財団法人福田育英会を設立しているなど、従業員の働きやすさや若い世代への支援も含めて、地域に大きく貢献している企業だ。
1942年に設立された第一建設工業は、新潟市中央区に本社を構える総合建設会社だ。
土木、建設、線路の3事業を柱としており、特に鉄道工事においてはJR東日本とグループ各社の主要協力企業として、線路の保守・メンテナンスを中心に、これまでの経験と技術力を活かし、安全で安心できる高品質な線路を提供している。
(画像元:第一建設工業WEBサイトより)
東北・新潟・長野エリアを中心に線路整備を担う協力会社と連携して、「いちけん軌道会」を設立しており、若い世代に向けて線路工事の仕事をPRしたり、各社の求人情報を発信している。
近年の実績として、公共事業では阿賀野バイパスJR跨線橋下部工事や柏崎駅南口広場整備工事、建築関連では秋田体育館新築工事や埼玉県の鉄道博物館新館新築・本館改修他工事などがある。
新潟県中央区に本社を構える本間組は、1934年創業の総合建設会社。新潟県内のみならず、海洋土木、陸上土木、建築の3事業で全国のまちづくりを支えている企業だ。
象徴的な実績のひとつとして、新潟県新潟市の中心街古町で長く愛されてきた百貨店跡地に2020年に完成した「古町ルフル」がある。商業施設とオフィス、市役所庁舎、大学のキャンパスが集まる複合施設で、新たなランドマークをつくる大型プロジェクトとして成し遂げた。

そのほかの実績の例としては、北陸新幹線の橋梁・トンネル整備、新潟港の航路泊地浚渫など各種工事、東京国際空港の誘導路他地盤改良工事、千代田区万世橋出張所・区民会館などがある。
公式サイトでは、これまで手がけた実績をプロのカメラマンが撮り下ろした「HONMA GALLERY」のページを設けており、本間組のまちへの思い、そして技術と誠実の積み重ねをユニークな形で記録している。
新潟市中央区に本社を置く加賀田組は、河川氾濫などに苦しむ農民を救いたいという一念で創業した歴史を持つ。
津川麒麟橋建設工事、新潟飛行場建設工事、新潟市庁舎建設工事など、新潟の発展にかかせない道路・橋・公共施設やインフラ整備に尽力しながら、1895年の創業から130周年を迎えたばかりだ。
(画像元:加賀田組WEBサイトより)
土木、建築、舗道、開発を主力4事業とし、総合建設業として、各種工事の企画・設計・施工から地域開発まで幅広く手がけている。
2025年には、国土交通省北陸地方整備局から若手技術者賞の表彰を受けるなど、若い人材の発掘と育成にも力を注ぐ企業だ。
近年の施工実績としては、福島県の富川頭首工改修工事、新潟県の日本ベアリング株式会社新工場建築工事、同じく新潟県の鳥屋野潟公園サブグラウンド舗装改修工事、上条高畑土地区画整理事業などがある。
1954年に創業した中越興業は、長岡市に本社を置く地域密着型の総合建設会社だ。「いい仕事、未来へ」をスローガンに、建設、舗装、解体、処分・リサイクルまで一連の流れをグループ8社で実施している。
(画像元:中越興業WEBサイトより)
アオーレ長岡、長岡南越路スマートチェンジ、ながおか花火館といった県民に親しみ深い仕事を多数手がけており、地域から大きな信頼を受ける技術力が強みだ。
近年の工事実績として、米百俵プレイスミライエ長岡、新野積橋左岸橋台工事、長岡東西道路(仮称)太田・浄土川橋梁床版工工事などがある。
学生に向けてインターンシップの受け入れを行なうなど、採用活動にも力を注いでいる。
1945年創業の小柳建設は三条市に本社を構える建設会社で、「未来の現場を創る」を掲げ、建設DXの先駆者として注目を集めている。
注目すべきは、実体験をもとに建設業界の課題解決ツールとして開発したウェアラブル機器「Holostruction」で、MR(Mixed Reality、複合現実)技術を活用し3次元データを遠隔共有することができるものだ。
建設生産プロセスの全データを3次元データで可視化したり、施工前~施工中~施工後まで指定した時点の3次元データを目の前に投影して情報共有するといった活用方法がある。
(画像元:小柳建設WEBサイトより)
Holostruction事業のほか、土木事業、建設事業、浚渫事業、舗装事業、埋蔵文化財支援事業、建設工事現場などでの警備事業を展開している。
施工事例としては、三条第一調整池敷地造成工事、燕市産業史料館リノベーション整備工事、道の駅たがみ建設(建築本体)工事、皇居外苑千鳥ヶ淵浚渫工事などがある。
創和ジャステック建設は、糸魚川市を拠点とする4社が連携して2001年に会社を設立し、北陸地域では初の建設業による協業組合として歴史をスタートさせた。
糸魚川市に本社、上越市に営業所を置いている。
土木本部では、国土交通省北陸地方整備局、新潟県、糸魚川市などを主要顧客とした公共事業から、JR西日本旅客鉄道株式会社や東北電力株式会社などから受注した民間工事を中心として工事を行なっている。
(画像元:創和ジャステック建設WEBサイトより)
建築本部では、公共施設や医療関係など、地域に密着した工事を多数手がける。また、一般利用者も顧客とした設備本部では、ガス工事・水道工事・排水設備工事・電気工事・リフォームなどのサービスを提供している。
代表的な工事実績として、糸魚川停車場線防安対策(県道電共)歩道舗装工事、糸魚川保健センター耐震補強・改修工事、糸魚川駅北口駅前シェルター設置工事などがある。
1973年に創業したダイエープロビスは、個人経営の建設業からスタートし、大型造成事業まで出かける総合建設業者へと成長したストーリーを持つ。
大規模開発造成事業では、長岡市の山古志 道路災害復旧工事、新潟市の農地地下水位制御システム「FOEAS」施工などを手がけた。
(画像元:ダイエープロビスWEBサイトより)
そのほか、公共施設、教育施設、医療福祉施設、商業施設・店舗、社屋・工場など、公共と民間いずれも多数の実績を持つ。
また、不動産に関する事業にも強みがあることが特徴だ。
グループ関連企業のノウハウをフル活用し、不動産アドバイザー組織になることを目指して企画から施工、運営まで、不動産活用をトータルに請け負っている。
また、注文住宅・建売住宅も手がけており、オリジナルブランド「グリーンスタイル」をはじめとして、本社のある長岡市の気候を熟知した専門家が住宅を提供している。
新潟市東区に本社を置く藤木鉄工は、1927年の創業からまもなく100周年を迎える。国内でも屈指の鉄骨・橋梁メーカーとして成長し、2021年には通信建設業界では国内トップ企業である日本コムシス株式会社の傘下に入っている。
(画像元: 藤木鉄工WEBサイトより)
橋梁や水門の工事やメンテナンスも自社で手がけていることが特徴だ。
主力である鉄構部門では、2016年に新潟県で唯一、全国でも19社のみが認定されている「国土交通大臣認定Sグレード」を取得している。
新潟県内からはじまり、東京や仙台への営業所開設によって、みなとみらい21横浜ランドマークタワー、NEXT21など、県外の大型構造物の施工に携わる機会も増加してきた。
近年では、2020年東京オリンピックのメインスタジアムとなる新国立競技場のスタンド鉄骨をメインで施工している。
新潟市中央区に本社を置く丸運建設は、日本全国で物流網を展開する新潟運輸の建設部門として1952年に創業した企業だ。
企画から施工、アフターサービスまで一貫したトータルシステムをモットーとして、建築、土木、塗装、不動産の4事業を営んでいる。
(画像元:丸運建設WEBサイトより)
象徴的な施工事例として、新潟市こども創造センター、新潟市立中央図書館ほんぽーとがあり、いずれも優良工事賞を受けている。
老朽化にともない外壁改修・展示エリア改修・水槽防水改修を行なった新潟市水族館マリンピア日本海の工事では、ロングライフビル推進協会が実施するBELCA賞にてリフォーム部門の受賞を果たした。
また、多様な道路側溝などに対応した連結・固定用の金具「グレーチングストッパー」や住宅ブランド「Niigataユニークホーム」の提供も行なっている。
1888年に創業した小野組は、新潟県胎内市に本社を置き、土木、建築各工事の設計・施工を行なう企業だ。
土木・建築の公共事業、一般住宅や店舗・社屋などを幅広く手がけており、とりわけ日本郵便の建設・修繕関連では数多くの実績を積み重ねている。
(画像元:小野組WEBサイトより)
地域に根付いた企業として、主要道路から山間集落の路地まで万全の連絡態勢を敷いた除雪を実施しているほか、有事に備え、社員全員が防災士・移動式クレーン運転士の資格を取得することを目指している。
また、小野組一級建築士事務所である「オノデザインオフィス」では、最先端のBIM技術を駆使して設計サービスを提供している。
関連企業での活動も特徴的で、閉鎖型植物工場の開発、運営ノウハウを基にしたコンサルティング業務を行なう「いちごカンパニー」を設立したり、建設総合技術力向上を目指して地域建設業が手を組んで立ち上げた「一般社団法人和合館工学舎」では代表理事・会長を務めている。
13. 廣瀬
「地に足をつけたしごと」をキャッチフレーズとする廣瀬は、新潟市西区に本社を置く総合建設会社だ。
不動産事業、測量業、太陽光発電事業も行なうほか、HIROSEグループの他社では福祉事業のほか、ジムやサウナの運営なども行なっている。
(画像元:廣瀬WEBサイトより)
建築事業部では、マンション・住宅・店舗・公的施設など、大規模なビルから一軒家まで、幅広いジャンルの建物を手がけている。土木事業部では、ダムや橋、河川、道路など、公共工事を中心に請け負っている。
直近の施工事例として、新潟県内の介護施設や共同住宅、倉庫事務所などがあり、土木分野では燕市の松橋地区区画整理第2次工事、大河津分水路渡部地区低水路掘削及び護岸その7工事などがある。
公式サイトでは、現在進行中の工事現場の状況をマップから閲覧できるようになっており、空撮画像とともに工事詳細を知ることができる。
1920年に創業し、1965年に法人化を行なった内山組は、新潟県村上市にある企業だ。創業から100年を超え、土木と建築を通して郷土のインフラ形成と人にやさしいまちづくりに一貫して関わり続けている。
土木工事は、道路、橋梁、河川・海岸改修、さらに防災などに必要なさまざまな構造体を、 高い技術力と低コストで実現することが強みだ。
(画像元:内山組WEBサイトより)
建築工事では、戸建て住宅、集合住宅、商業施設、医療・福祉施設、官公庁などを幅広く手がけており、品質やコスト、工程、安全の管理をトータルに行える高い技術力を誇る施工者が在籍している。
代表的な施工事例として、村上市スケートパーク建設工事、岩船広域教育情報センター、新潟県優良工事証・優秀技術者証を受けた芦谷地区陥没対策工事などがある。
長岡市に本社を置く中元組は、明治時代に大阪で創業し、鉄道敷設の技術が評価されて従業員とともに新潟に招かれたという歴史を持つ。
その後、長岡鉄道敷設をはじめ、寺泊港の岸壁工事や埋め立てなど大型工事に関わりながら、1953年に中元組としての設立を迎えた。
(画像元:中元組WEBサイトより)
道路や橋梁、トンネルといった交通インフラ、下水道や用水などの構造物の建設や改良を手がける土木事業、市庁舎や特別養護老人ホームなど公共施設を中心に手がける建築事業に加え、湾岸事業を行なっていることに特色がある。
湾岸事業では、防波堤や防砂堤の築造、岸壁の改修、浚渫、消波ブロックの設置などを行なっており、起重機船、バージ船、揚錨船などを多数保有している。
これまでの施工実績として、新潟県内での中永トンネル工事、荒浜地区海岸海岸侵食対策(防安・通常)人工リーフ工事、長岡市立劇場大規模改修建築工事などがある。
米の生産に象徴されるように肥沃な土地と水源が暮らしを豊かにし、雪や温泉など観光資源ともなっている一方で、地震、土砂くずれ、洪水、そして積雪といったさまざまな自然災害のリスクをはらんでいることも地域の特徴といえる。
例えば、東から南にかけて連なる飯豊山地や越後山脈、飛騨山脈など標高2000m級の山々に、日本海から流れ込む温かく湿った空気がぶつかることによって、しばしば大雨や大雪が引き起こされる。
そのため新潟県では、気候条件や広い県土を生かしたインフラ整備が古くから重要な産業基盤となってきた。
新潟県内の土木・建設企業は、特に雪害対策や防災インフラ整備の技術が発達している企業が多く、豪雪や地震に対応するため、堅牢な構造物の設計・施工力が企業の強みとなっていたり、日本一の長さを誇る信濃川などの多数の大きな河川を整備するため、治水・河川改修工事にも長けている企業が目立つ。
新潟県の土木部監理課では、県内の建設産業の魅力を発信するポータルサイト「ビルドニイガタ」を運営しており、若い世代に向けて、業界の解説やインタビューを掲載している。
また、現場、バックオフィスの業務を効率化を目指し、DX推進研修プログラム「建設業のための事務効率化セミナー」を開催するなど、建設業へのDXとICTの導入を推進しているところだ。
本記事では、そんな新潟の総合土木・建設業界の最前線にいる15社を紹介する。各社の歴史、特徴的な技術、代表的なプロジェクト、そして最新の取り組みなどを詳しく見ていこう。
1. 植木組
1885年の創業から、2025年に140周年を迎えた植木組は、新潟市柏崎市に本社を置き、建築・土木の両分野で地域社会の発展に寄与してきた総合建設会社である。
長岡市にある新潟本店をはじめ、県内に6つの支店や営業所、東京にも本店を置くほか、金金沢や仙台にも拠点を持つ。

600名の従業員を抱え、13のグループ会社がある新潟県を代表する総合建設会社だ。令和7年度、工事成績優秀企業、ICT人材育成推進企業にもそれぞれ認定されている。
創業以来、最新技術を取り入れ、新たな事業展開に活かすスタイルを続けており、2016年には本格的なBIM/CIM活用をスタート。
これまでの施工事例としては、関越自動車道魚沼地区での災害復旧工事、柏崎市六識橋の中圧ガス管水管橋改良工事、石巻合同庁舎、新潟県立歴史博物館、県外では足立区内での隅田川左岸の護岸工事など、多様化する建設ニーズに応えながら数多くの工事を手がけている。
2. 福田組
1902年創業の福田組は、新潟市中央区に本社を置く大手総合建設会社で、全国的にも高い技術力を誇る。
2025年には、「次の100年に向けた挑戦」を掲げた「長期ビジョン2025」の最終フェーズを迎え、サステナブルな成長への取り組みを続けている。

建築・土木の両部門を柱に、公共・民間を問わず幅広い施工実績を重ねている。
2025年に竣工予定の新潟駅南口西地区整備事業、那須メガソーラー、JR新宿駅前のタカシマヤ・タイムズ・スクエア、国外でもバングラデシュ気象レーダー塔など多数の実績がある。
また、新潟県が実施する「多様で柔軟な働き方・女性活躍実践企業(Ni-ful)」のゴールド認定を受けたり、新潟にゆかりのある学生に向けて奨学金を給付する公益財団法人福田育英会を設立しているなど、従業員の働きやすさや若い世代への支援も含めて、地域に大きく貢献している企業だ。
3. 第一建設工業
1942年に設立された第一建設工業は、新潟市中央区に本社を構える総合建設会社だ。
土木、建設、線路の3事業を柱としており、特に鉄道工事においてはJR東日本とグループ各社の主要協力企業として、線路の保守・メンテナンスを中心に、これまでの経験と技術力を活かし、安全で安心できる高品質な線路を提供している。

東北・新潟・長野エリアを中心に線路整備を担う協力会社と連携して、「いちけん軌道会」を設立しており、若い世代に向けて線路工事の仕事をPRしたり、各社の求人情報を発信している。
近年の実績として、公共事業では阿賀野バイパスJR跨線橋下部工事や柏崎駅南口広場整備工事、建築関連では秋田体育館新築工事や埼玉県の鉄道博物館新館新築・本館改修他工事などがある。
4. 本間組
新潟県中央区に本社を構える本間組は、1934年創業の総合建設会社。新潟県内のみならず、海洋土木、陸上土木、建築の3事業で全国のまちづくりを支えている企業だ。
象徴的な実績のひとつとして、新潟県新潟市の中心街古町で長く愛されてきた百貨店跡地に2020年に完成した「古町ルフル」がある。商業施設とオフィス、市役所庁舎、大学のキャンパスが集まる複合施設で、新たなランドマークをつくる大型プロジェクトとして成し遂げた。

(画像元:本間組WEBサイトより)
そのほかの実績の例としては、北陸新幹線の橋梁・トンネル整備、新潟港の航路泊地浚渫など各種工事、東京国際空港の誘導路他地盤改良工事、千代田区万世橋出張所・区民会館などがある。
公式サイトでは、これまで手がけた実績をプロのカメラマンが撮り下ろした「HONMA GALLERY」のページを設けており、本間組のまちへの思い、そして技術と誠実の積み重ねをユニークな形で記録している。
5. 加賀田組
新潟市中央区に本社を置く加賀田組は、河川氾濫などに苦しむ農民を救いたいという一念で創業した歴史を持つ。
津川麒麟橋建設工事、新潟飛行場建設工事、新潟市庁舎建設工事など、新潟の発展にかかせない道路・橋・公共施設やインフラ整備に尽力しながら、1895年の創業から130周年を迎えたばかりだ。

土木、建築、舗道、開発を主力4事業とし、総合建設業として、各種工事の企画・設計・施工から地域開発まで幅広く手がけている。
2025年には、国土交通省北陸地方整備局から若手技術者賞の表彰を受けるなど、若い人材の発掘と育成にも力を注ぐ企業だ。
近年の施工実績としては、福島県の富川頭首工改修工事、新潟県の日本ベアリング株式会社新工場建築工事、同じく新潟県の鳥屋野潟公園サブグラウンド舗装改修工事、上条高畑土地区画整理事業などがある。
6. 中越興業
1954年に創業した中越興業は、長岡市に本社を置く地域密着型の総合建設会社だ。「いい仕事、未来へ」をスローガンに、建設、舗装、解体、処分・リサイクルまで一連の流れをグループ8社で実施している。

アオーレ長岡、長岡南越路スマートチェンジ、ながおか花火館といった県民に親しみ深い仕事を多数手がけており、地域から大きな信頼を受ける技術力が強みだ。
近年の工事実績として、米百俵プレイスミライエ長岡、新野積橋左岸橋台工事、長岡東西道路(仮称)太田・浄土川橋梁床版工工事などがある。
学生に向けてインターンシップの受け入れを行なうなど、採用活動にも力を注いでいる。
7. 小柳建設
1945年創業の小柳建設は三条市に本社を構える建設会社で、「未来の現場を創る」を掲げ、建設DXの先駆者として注目を集めている。
注目すべきは、実体験をもとに建設業界の課題解決ツールとして開発したウェアラブル機器「Holostruction」で、MR(Mixed Reality、複合現実)技術を活用し3次元データを遠隔共有することができるものだ。
建設生産プロセスの全データを3次元データで可視化したり、施工前~施工中~施工後まで指定した時点の3次元データを目の前に投影して情報共有するといった活用方法がある。

Holostruction事業のほか、土木事業、建設事業、浚渫事業、舗装事業、埋蔵文化財支援事業、建設工事現場などでの警備事業を展開している。
施工事例としては、三条第一調整池敷地造成工事、燕市産業史料館リノベーション整備工事、道の駅たがみ建設(建築本体)工事、皇居外苑千鳥ヶ淵浚渫工事などがある。
8. 創和ジャステック建設
創和ジャステック建設は、糸魚川市を拠点とする4社が連携して2001年に会社を設立し、北陸地域では初の建設業による協業組合として歴史をスタートさせた。
糸魚川市に本社、上越市に営業所を置いている。
土木本部では、国土交通省北陸地方整備局、新潟県、糸魚川市などを主要顧客とした公共事業から、JR西日本旅客鉄道株式会社や東北電力株式会社などから受注した民間工事を中心として工事を行なっている。

建築本部では、公共施設や医療関係など、地域に密着した工事を多数手がける。また、一般利用者も顧客とした設備本部では、ガス工事・水道工事・排水設備工事・電気工事・リフォームなどのサービスを提供している。
代表的な工事実績として、糸魚川停車場線防安対策(県道電共)歩道舗装工事、糸魚川保健センター耐震補強・改修工事、糸魚川駅北口駅前シェルター設置工事などがある。
9. ダイエープロビス
1973年に創業したダイエープロビスは、個人経営の建設業からスタートし、大型造成事業まで出かける総合建設業者へと成長したストーリーを持つ。
大規模開発造成事業では、長岡市の山古志 道路災害復旧工事、新潟市の農地地下水位制御システム「FOEAS」施工などを手がけた。

そのほか、公共施設、教育施設、医療福祉施設、商業施設・店舗、社屋・工場など、公共と民間いずれも多数の実績を持つ。
また、不動産に関する事業にも強みがあることが特徴だ。
グループ関連企業のノウハウをフル活用し、不動産アドバイザー組織になることを目指して企画から施工、運営まで、不動産活用をトータルに請け負っている。
また、注文住宅・建売住宅も手がけており、オリジナルブランド「グリーンスタイル」をはじめとして、本社のある長岡市の気候を熟知した専門家が住宅を提供している。
10. 藤木鉄工
新潟市東区に本社を置く藤木鉄工は、1927年の創業からまもなく100周年を迎える。国内でも屈指の鉄骨・橋梁メーカーとして成長し、2021年には通信建設業界では国内トップ企業である日本コムシス株式会社の傘下に入っている。

橋梁や水門の工事やメンテナンスも自社で手がけていることが特徴だ。
主力である鉄構部門では、2016年に新潟県で唯一、全国でも19社のみが認定されている「国土交通大臣認定Sグレード」を取得している。
新潟県内からはじまり、東京や仙台への営業所開設によって、みなとみらい21横浜ランドマークタワー、NEXT21など、県外の大型構造物の施工に携わる機会も増加してきた。
近年では、2020年東京オリンピックのメインスタジアムとなる新国立競技場のスタンド鉄骨をメインで施工している。
11. 丸運建設
新潟市中央区に本社を置く丸運建設は、日本全国で物流網を展開する新潟運輸の建設部門として1952年に創業した企業だ。
企画から施工、アフターサービスまで一貫したトータルシステムをモットーとして、建築、土木、塗装、不動産の4事業を営んでいる。

象徴的な施工事例として、新潟市こども創造センター、新潟市立中央図書館ほんぽーとがあり、いずれも優良工事賞を受けている。
老朽化にともない外壁改修・展示エリア改修・水槽防水改修を行なった新潟市水族館マリンピア日本海の工事では、ロングライフビル推進協会が実施するBELCA賞にてリフォーム部門の受賞を果たした。
また、多様な道路側溝などに対応した連結・固定用の金具「グレーチングストッパー」や住宅ブランド「Niigataユニークホーム」の提供も行なっている。
12. 小野組
1888年に創業した小野組は、新潟県胎内市に本社を置き、土木、建築各工事の設計・施工を行なう企業だ。
土木・建築の公共事業、一般住宅や店舗・社屋などを幅広く手がけており、とりわけ日本郵便の建設・修繕関連では数多くの実績を積み重ねている。

地域に根付いた企業として、主要道路から山間集落の路地まで万全の連絡態勢を敷いた除雪を実施しているほか、有事に備え、社員全員が防災士・移動式クレーン運転士の資格を取得することを目指している。
また、小野組一級建築士事務所である「オノデザインオフィス」では、最先端のBIM技術を駆使して設計サービスを提供している。
関連企業での活動も特徴的で、閉鎖型植物工場の開発、運営ノウハウを基にしたコンサルティング業務を行なう「いちごカンパニー」を設立したり、建設総合技術力向上を目指して地域建設業が手を組んで立ち上げた「一般社団法人和合館工学舎」では代表理事・会長を務めている。
13. 廣瀬
「地に足をつけたしごと」をキャッチフレーズとする廣瀬は、新潟市西区に本社を置く総合建設会社だ。不動産事業、測量業、太陽光発電事業も行なうほか、HIROSEグループの他社では福祉事業のほか、ジムやサウナの運営なども行なっている。

建築事業部では、マンション・住宅・店舗・公的施設など、大規模なビルから一軒家まで、幅広いジャンルの建物を手がけている。土木事業部では、ダムや橋、河川、道路など、公共工事を中心に請け負っている。
直近の施工事例として、新潟県内の介護施設や共同住宅、倉庫事務所などがあり、土木分野では燕市の松橋地区区画整理第2次工事、大河津分水路渡部地区低水路掘削及び護岸その7工事などがある。
公式サイトでは、現在進行中の工事現場の状況をマップから閲覧できるようになっており、空撮画像とともに工事詳細を知ることができる。
14. 内山組
1920年に創業し、1965年に法人化を行なった内山組は、新潟県村上市にある企業だ。創業から100年を超え、土木と建築を通して郷土のインフラ形成と人にやさしいまちづくりに一貫して関わり続けている。
土木工事は、道路、橋梁、河川・海岸改修、さらに防災などに必要なさまざまな構造体を、 高い技術力と低コストで実現することが強みだ。

建築工事では、戸建て住宅、集合住宅、商業施設、医療・福祉施設、官公庁などを幅広く手がけており、品質やコスト、工程、安全の管理をトータルに行える高い技術力を誇る施工者が在籍している。
代表的な施工事例として、村上市スケートパーク建設工事、岩船広域教育情報センター、新潟県優良工事証・優秀技術者証を受けた芦谷地区陥没対策工事などがある。
15. 中元組
長岡市に本社を置く中元組は、明治時代に大阪で創業し、鉄道敷設の技術が評価されて従業員とともに新潟に招かれたという歴史を持つ。
その後、長岡鉄道敷設をはじめ、寺泊港の岸壁工事や埋め立てなど大型工事に関わりながら、1953年に中元組としての設立を迎えた。

道路や橋梁、トンネルといった交通インフラ、下水道や用水などの構造物の建設や改良を手がける土木事業、市庁舎や特別養護老人ホームなど公共施設を中心に手がける建築事業に加え、湾岸事業を行なっていることに特色がある。
湾岸事業では、防波堤や防砂堤の築造、岸壁の改修、浚渫、消波ブロックの設置などを行なっており、起重機船、バージ船、揚錨船などを多数保有している。
これまでの施工実績として、新潟県内での中永トンネル工事、荒浜地区海岸海岸侵食対策(防安・通常)人工リーフ工事、長岡市立劇場大規模改修建築工事などがある。
WRITTEN by

國廣 愛佳
創業支援や地域活性を行う都内のまちづくり会社に勤務後、2019年よりフリーランス。紙面やwebサイトの編集、インタビューやコピーライティングなどの執筆を中心に、ジャンルを問わず活動。四国にある築100年の実家をどう生かすかが長年の悩み。