国土交通省は2021年4月、データ活用と新技術習得をサポートする研究・研修施設新設し、国土交通省・研究所・そして各地方整備局が一体となり、インフラ分野のDX化に取組んでいく方針を明らかにした。
同省内にインフラDX総合推進室を、研究施設としてDXデータセンター・建設DX実験フィールドを新設し、活用法や今後の展開にも注目が集まっている。今回は、国土交通省と地域が繋がる窓口となる、各地方整備局に新設されたDX施設を紹介していく。
関東地方整備局は、2021年4月21日(水)に「関東DX・i-Construction人材育成センター」と「関東DXルーム」を開所した。
「関東DXルーム」は建設DX推進のための交流・情報発信の拠点。つまり、事務局としての役割を担う、ハブ施設だ。デジタル技術習得に必用な最新鋭の設備が揃い、おもにCADデータ作成や3次元データ活用、遠隔施行・管理技術などを学ぶことができる。
「関東DX・i-Construction人材育成センター」とも高速通信網でつながれているため、DXルームからもセンターで実施されている研修を受講することも可能だ。また、対面やリモートを活用しながら、産学官が交流できるスペースとして活用することもできる。
現場実証フィールド・研修塔・建設技術展示館の3施設からなる人材育成センターでは、主にデータ活用技術の習得や、実機を使用したICT測量・施行等の実習が行われている。
Web受講やe-ラーニングを活用した研修も開講されているため、場所を選ばずに受講することが可能だ。また、展示館では民間企業や学生を対象としたBIM/CIM体験コンテンツなどを展示。簡易的な研修も実施され、次世代を担う技術者育成の入り口としても活用することができそうだ。
以前から開館していた建設技術展示館が、2年に1度のリニューアルを経て《見て・触れて・知る》体験型施設へと生まれ変わった。展示テーマは、『Society5.0を実現する新技術』、『防災・減災・国土強靱化』、『インフラ長寿命化技術』。技術者向けの講習会や実技講習会なども定期的に開催されている。
中部地方整備局は、2021年3月25日(木)に中部インフラDXソーシャルラボと、中部インフラDXセンターを開所した。
本施設の一番の特徴は、新丸山ダム工事事務所内に設置されたリアルフィールドと、遠隔でリアルフィールドを体感しながら技術を学べるバーチャルフィールドという、実践的な技術習得にむけた2つのフィールドが用意されていることだろう。
リアルフィールドでは、ドローンによる点群の収集や、現場におけるBIM/CIMの活用方法など、実践的な学びを提供。そしてバーチャルフィールドでは、ARウェアラブルカメラやVR技術を用いた遠隔臨場のほか、中部地整BIM/CIM活用検討会のアドバイザーでもある名古屋工業大学大学院 秀島教授監修の人材育成プログラムに則ったデジタル人材育成カリキュラム等が提供されている。
近畿地方整備局は、2021年4月1日(木)に近畿インフラDXセンターを開所した。
設備内には、通信環境・音響設備が整ったWeb会議ルーム、360°プロジェクターなどを備えた技術紹介ブースや、BIM/CIMソフトウェアやモデル運用のための研修ルームのほか、ICT建機の操縦や建設機械シミュレーター、無人化施行などの実習に対応した建機や、建機オペレーションルームなどの設備施設が整っている。
北近畿豊岡自動車道の橋梁のBIM/CIMモデルをバーチャル空間で閲覧できるインフラDX研修ルームでは、データ活用の基本や応用法をより身近に感じられるだろう。
九州地方整備局は、2021年4月1日(木)に「九州インフラDXルーム」と「九州インフラDX人材育成センター」を開所した。
両施設は、ICT技術を駆使することでリモート・非接触による業務の推進と、ICT技術や3次元モデルの作成・運用などを行う技術者育成を目的としている。
デジタル技術を座学で学ぶだけではなく、野外フィールドで実機を操作することで、ICT施行を体感したり、VR技術やドームスクリーンを用いた作業現場の遠隔管理など、さまざまな技術を体感することができる。
2021年春の発表から相次いで開所している各地整のDX施設。最先端技術を学べる施設が同時多発的に誕生したことで、地域のDX化の加速に期待が寄せられている。
また、教育機関や行政の窓口としての活用法を想定した、施設の設計にも注目したい。すでに大学教育機関による技術協力が行われている拠点もあるようだ。さらに今後は、新たに「ICTアドバイザー制度」で認定を受けた技術者による、教育・指導も展開されていくのではないだろうか。
本記事で紹介した施設の充実ぶりを見ると、これから開所予定の東北・北陸・中国・四国エリアには、どのような設備を備えたDX施設が誕生するのか、非常に待ち遠しくなってくる。本メディアでは今後も、全国ですすむDX推進の取組みを随時お伝えしていきたい。
同省内にインフラDX総合推進室を、研究施設としてDXデータセンター・建設DX実験フィールドを新設し、活用法や今後の展開にも注目が集まっている。今回は、国土交通省と地域が繋がる窓口となる、各地方整備局に新設されたDX施設を紹介していく。
関東地方整備局 「関東DX・i-Construction人材育成センター」&「関東DXルーム
関東地方整備局は、2021年4月21日(水)に「関東DX・i-Construction人材育成センター」と「関東DXルーム」を開所した。
「関東DXルーム」は建設DX推進のための交流・情報発信の拠点。つまり、事務局としての役割を担う、ハブ施設だ。デジタル技術習得に必用な最新鋭の設備が揃い、おもにCADデータ作成や3次元データ活用、遠隔施行・管理技術などを学ぶことができる。
「関東DX・i-Construction人材育成センター」とも高速通信網でつながれているため、DXルームからもセンターで実施されている研修を受講することも可能だ。また、対面やリモートを活用しながら、産学官が交流できるスペースとして活用することもできる。
現場実証フィールド・研修塔・建設技術展示館の3施設からなる人材育成センターでは、主にデータ活用技術の習得や、実機を使用したICT測量・施行等の実習が行われている。
Web受講やe-ラーニングを活用した研修も開講されているため、場所を選ばずに受講することが可能だ。また、展示館では民間企業や学生を対象としたBIM/CIM体験コンテンツなどを展示。簡易的な研修も実施され、次世代を担う技術者育成の入り口としても活用することができそうだ。
以前から開館していた建設技術展示館が、2年に1度のリニューアルを経て《見て・触れて・知る》体験型施設へと生まれ変わった。展示テーマは、『Society5.0を実現する新技術』、『防災・減災・国土強靱化』、『インフラ長寿命化技術』。技術者向けの講習会や実技講習会なども定期的に開催されている。
中部地方整備局 「中部インフラDXソーシャルラボ」&「中部インフラDXセンター」
中部地方整備局は、2021年3月25日(木)に中部インフラDXソーシャルラボと、中部インフラDXセンターを開所した。
本施設の一番の特徴は、新丸山ダム工事事務所内に設置されたリアルフィールドと、遠隔でリアルフィールドを体感しながら技術を学べるバーチャルフィールドという、実践的な技術習得にむけた2つのフィールドが用意されていることだろう。
リアルフィールドでは、ドローンによる点群の収集や、現場におけるBIM/CIMの活用方法など、実践的な学びを提供。そしてバーチャルフィールドでは、ARウェアラブルカメラやVR技術を用いた遠隔臨場のほか、中部地整BIM/CIM活用検討会のアドバイザーでもある名古屋工業大学大学院 秀島教授監修の人材育成プログラムに則ったデジタル人材育成カリキュラム等が提供されている。
近畿地方整備局 「近畿インフラDXセンター」
近畿地方整備局は、2021年4月1日(木)に近畿インフラDXセンターを開所した。
設備内には、通信環境・音響設備が整ったWeb会議ルーム、360°プロジェクターなどを備えた技術紹介ブースや、BIM/CIMソフトウェアやモデル運用のための研修ルームのほか、ICT建機の操縦や建設機械シミュレーター、無人化施行などの実習に対応した建機や、建機オペレーションルームなどの設備施設が整っている。
北近畿豊岡自動車道の橋梁のBIM/CIMモデルをバーチャル空間で閲覧できるインフラDX研修ルームでは、データ活用の基本や応用法をより身近に感じられるだろう。
九州地方整備局 「九州インフラDXルーム」&「九州インフラDX」
九州地方整備局は、2021年4月1日(木)に「九州インフラDXルーム」と「九州インフラDX人材育成センター」を開所した。
両施設は、ICT技術を駆使することでリモート・非接触による業務の推進と、ICT技術や3次元モデルの作成・運用などを行う技術者育成を目的としている。
デジタル技術を座学で学ぶだけではなく、野外フィールドで実機を操作することで、ICT施行を体感したり、VR技術やドームスクリーンを用いた作業現場の遠隔管理など、さまざまな技術を体感することができる。
人材育成だけでなく、産学官連携の新たな窓口にも
2021年春の発表から相次いで開所している各地整のDX施設。最先端技術を学べる施設が同時多発的に誕生したことで、地域のDX化の加速に期待が寄せられている。
また、教育機関や行政の窓口としての活用法を想定した、施設の設計にも注目したい。すでに大学教育機関による技術協力が行われている拠点もあるようだ。さらに今後は、新たに「ICTアドバイザー制度」で認定を受けた技術者による、教育・指導も展開されていくのではないだろうか。
本記事で紹介した施設の充実ぶりを見ると、これから開所予定の東北・北陸・中国・四国エリアには、どのような設備を備えたDX施設が誕生するのか、非常に待ち遠しくなってくる。本メディアでは今後も、全国ですすむDX推進の取組みを随時お伝えしていきたい。
WRITTEN by
高橋 奈那
神奈川県生まれのコピーライター。コピーライター事務所アシスタント、広告制作会社を経て、2020年より独立。企画・構成からコピーライティング・取材執筆など、ライティング業務全般を手がける。学校法人や企業の発行する広報誌やオウンドメディアといった、広告主のメッセージをじっくり伝える媒体を得意とする。