高い精度で土地や構造物の3次元(3D)化ができる「点群データ」。
多様な地形に対応でき、シンプルな作業で計測、データ合成ができることから、土木・建設の現場でも近年ますます活躍の幅を広げている。
自然災害の多い日本において、とりわけ活用が期待されるのが防災・減災分野だろう。
今回は、活断層モニタリングによる地震対策、ダムの堆砂量(河川の上流からダム貯水池へ流れ込み、貯水池内に堆積した土砂の量)推定による洪水対策を例に、防災・減災分野での点群データの利用方法を見ていく。
航空機に搭載したレーザーによる点群データの取得は、広範囲を効率的に計測できることがメリットだ。回転翼の機体ならば高低差のある地形にも対応しやすい。
この測量方法が有効な地震対策のひとつが、活断層のモニタリングだ。
地震予知における発生頻度や規模を推定したり、重要な施設を建てる際に地震の影響がどの程度ある土地か、どの程度の耐久性を確保すべきか検討することを目的に行われる。
防災や減災の対策、万が一地震が発生した場合に被災状況を正しく把握するため、災害前後のデータを比較するのが基本の読み解き方になる。
2時期の点群データをもとに解析することで、活断層の変化を高精度で捉えることができることが利点だ。地震発生前から広域にアーカイブデータを整備しておく必要がある。
測量からデータ作成までのおおまかなステップは次の通りだ。
注意点は、災害前後の点群データの点密度を、ある程度の高さを保って同程度に揃えておくことだ。
また、航空レーザー測量で取得した数値地形モデル(標高、勾配、斜面、方位、水系などの地形の特徴を三次元座標でデジタル表現したデータ)は、2時期の点群データを使用する場合、わずかな位置のずれであっても解析に影響が出る可能性がある。
そのため、水平誤差などを正しく補正する必要があることに留意したい。
活断層モニタリングのための測量にあたっては、土砂移動減少やレーザー測量に関する専門知識を持った技術者が作業にあたることが求められるため、航空レーザーによる測量の場合、点群データの活用にはハードルがあるのが実情だ。
洪水などの災害を起こさないダムを設計し、災害に見舞われたときにも被害を最小限に食い止めるためには、高精度の測量を行い、現場の状況を把握しておくことが必要になる。
貯水池土砂管理のための調査・観測では、堆砂形状などさまざまな調査を行うが、これらのうち、レーザー等を使用する堆砂状況調査において点群データが活躍する。
堆砂状況調査は、主に堆砂状況を経年的に把握し、堆砂の状況からどのような詳細調査が必要か判断するためのもの。
堆砂量、堆砂のある箇所、堆砂の進行速度の3つを把握し、ダム機能への影響把握などを確認する。
測量はレーザー機器を搭載した航空機や船などで行うが、まずは作業計画を立てることが工程のスタートとなる。
航空レーザーでは、水に浸かってしまう斜面も含めて計測するために、ダムの水位が低いタイミングを選ぶことが重要。
逆にナローマルチビームの場合は、水位が上がったタイミングで計測することで、低水位では計測できない斜面を含めることができる。
このようにダムなど貯水池で点群データを取得する場合は、2つの測量方法を使用することで、水際にもデータ欠損がないデータを作成することができる。
また、近年では、航空レーザー測深(ALB :Airborne Lidar Bathymetry)が登場し、ナローマルチビームでも計測しきれなかった水深の浅い場所も計測できるようになっている。
河川定期縦横断測量においても導入が進んでおり、任意の位置での断面図作成が可能になったり、陸域と水域の連続した地形データが取得できるなど、河川の氾濫防止や管理にも役立つ。ただし、極力透明度の高い状態で計測することが求められることに注意が必要だ。
防災・減災のために土地や構造物の点群データを取得し、3次元(3D)測量をスピーディーに実行するなら、土木・建設に特化した測量アプリ「OPTiM Geo Scan」がおすすめ。
高い精度が求められる土木・建設、インフラの測量現場で、多数のゼネコンや中小規模の建設会社が導入している実績あるアプリだ。
(画像:Shutterstock)
iPhone 12 Pro / Pro MAX以降の機種であれば、誰でも簡単に高精度3次元測量ができる本格的なスマホ測量アプリだ。
OPTiM Geo Scanは、LiDARセンサーを搭載したiPhoneと、GNSSレシーバーが取得した位置情報を組み合わせて測量する。
特徴は、対象をアプリでスキャンするだけという手軽な操作方法。測量の資格や経験がない人でも高精度の測量ができ、長時間の研修を受ける必要もない。
その場ですぐに測量ができるため、常にリアルタイムのデータを取得することが可能だ。
国交省の「3次元計測技術を用いた出来形管理要領(案)」に準拠しており、起工測量だけでなく、中間出来高測量、出来形測量など多様な工程で利用できるという。
土木・建設、インフラ業界で、手軽で高精度な3次元測量を取り入れるなら、「OPTiM Geo Scan」から試してみてはいかがだろうか。
多様な地形に対応でき、シンプルな作業で計測、データ合成ができることから、土木・建設の現場でも近年ますます活躍の幅を広げている。
自然災害の多い日本において、とりわけ活用が期待されるのが防災・減災分野だろう。
今回は、活断層モニタリングによる地震対策、ダムの堆砂量(河川の上流からダム貯水池へ流れ込み、貯水池内に堆積した土砂の量)推定による洪水対策を例に、防災・減災分野での点群データの利用方法を見ていく。
航空レーザーで取得した点群データを活断層モニタリングに活用!
航空機に搭載したレーザーによる点群データの取得は、広範囲を効率的に計測できることがメリットだ。回転翼の機体ならば高低差のある地形にも対応しやすい。
この測量方法が有効な地震対策のひとつが、活断層のモニタリングだ。
地震予知における発生頻度や規模を推定したり、重要な施設を建てる際に地震の影響がどの程度ある土地か、どの程度の耐久性を確保すべきか検討することを目的に行われる。
防災や減災の対策、万が一地震が発生した場合に被災状況を正しく把握するため、災害前後のデータを比較するのが基本の読み解き方になる。
2時期の点群データをもとに解析することで、活断層の変化を高精度で捉えることができることが利点だ。地震発生前から広域にアーカイブデータを整備しておく必要がある。
測量からデータ作成までのおおまかなステップは次の通りだ。
<点群データを活用した活断層モニタリングの作業フロー>
- 災害前データ取得
航空レーザー計測を実施する
公益財団法人日本測量調査技術協会の「航空レーザー測量データポータルサイト」で既存データが公開されている場合もあるため、あわせて検索する - 災害後データ取得
航空レーザー計測を実施する - データ調整
災害前後のデータをフィルタリング処理し、相対的に水平・垂直方向を合わせる - 移動ベクトル算出 画像マッチング手法により、水平移動量を求める
- 変位解析結果算出
測量に求められる要件と注意点とは
注意点は、災害前後の点群データの点密度を、ある程度の高さを保って同程度に揃えておくことだ。
また、航空レーザー測量で取得した数値地形モデル(標高、勾配、斜面、方位、水系などの地形の特徴を三次元座標でデジタル表現したデータ)は、2時期の点群データを使用する場合、わずかな位置のずれであっても解析に影響が出る可能性がある。
そのため、水平誤差などを正しく補正する必要があることに留意したい。
活断層モニタリングのための測量にあたっては、土砂移動減少やレーザー測量に関する専門知識を持った技術者が作業にあたることが求められるため、航空レーザーによる測量の場合、点群データの活用にはハードルがあるのが実情だ。
水辺や水中にもレーザー測量が有効!点群データで洪水のリスクを把握するには?
洪水などの災害を起こさないダムを設計し、災害に見舞われたときにも被害を最小限に食い止めるためには、高精度の測量を行い、現場の状況を把握しておくことが必要になる。
貯水池土砂管理のための調査・観測では、堆砂形状などさまざまな調査を行うが、これらのうち、レーザー等を使用する堆砂状況調査において点群データが活躍する。
堆砂状況調査は、主に堆砂状況を経年的に把握し、堆砂の状況からどのような詳細調査が必要か判断するためのもの。
堆砂量、堆砂のある箇所、堆砂の進行速度の3つを把握し、ダム機能への影響把握などを確認する。
測量はレーザー機器を搭載した航空機や船などで行うが、まずは作業計画を立てることが工程のスタートとなる。
<点群データを活用したダムの堆砂推定の作業フロー>
- 作業計画
現地の図面などから状況を把握し、測量を行うエリアを検討して実施計画書を作成する - 航空レーザー、ナローマルチビーム(NMB:Narrow Multi Beam)測深
陸域の地形測量は航空レーザーで、水域の高精度深浅測量は船などに搭載したナローマルチビームによって行う - データ合成
取得したデータを合成する - 前年度の成果との差分算出
差分算出によって新たに流入した土砂量を割り出し、堆砂状況を把握する - 成果品作成
陸域は近赤外線レーザー、水域はグリーンレーザーによってフィルタリング処理し、データを合成する
航空レーザー測深(ALB)の登場で点群データの活用がさらに加速!
航空レーザーでは、水に浸かってしまう斜面も含めて計測するために、ダムの水位が低いタイミングを選ぶことが重要。
逆にナローマルチビームの場合は、水位が上がったタイミングで計測することで、低水位では計測できない斜面を含めることができる。
このようにダムなど貯水池で点群データを取得する場合は、2つの測量方法を使用することで、水際にもデータ欠損がないデータを作成することができる。
また、近年では、航空レーザー測深(ALB :Airborne Lidar Bathymetry)が登場し、ナローマルチビームでも計測しきれなかった水深の浅い場所も計測できるようになっている。
河川定期縦横断測量においても導入が進んでおり、任意の位置での断面図作成が可能になったり、陸域と水域の連続した地形データが取得できるなど、河川の氾濫防止や管理にも役立つ。ただし、極力透明度の高い状態で計測することが求められることに注意が必要だ。
導入コストを抑えて高精度&手軽な測量をするなら、iPhoneアプリ「OPTiM Geo Scan」がオススメ!!
防災・減災のために土地や構造物の点群データを取得し、3次元(3D)測量をスピーディーに実行するなら、土木・建設に特化した測量アプリ「OPTiM Geo Scan」がおすすめ。
高い精度が求められる土木・建設、インフラの測量現場で、多数のゼネコンや中小規模の建設会社が導入している実績あるアプリだ。
(画像:Shutterstock)
iPhone 12 Pro / Pro MAX以降の機種であれば、誰でも簡単に高精度3次元測量ができる本格的なスマホ測量アプリだ。
OPTiM Geo Scanは、LiDARセンサーを搭載したiPhoneと、GNSSレシーバーが取得した位置情報を組み合わせて測量する。
特徴は、対象をアプリでスキャンするだけという手軽な操作方法。測量の資格や経験がない人でも高精度の測量ができ、長時間の研修を受ける必要もない。
その場ですぐに測量ができるため、常にリアルタイムのデータを取得することが可能だ。
国交省の「3次元計測技術を用いた出来形管理要領(案)」に準拠しており、起工測量だけでなく、中間出来高測量、出来形測量など多様な工程で利用できるという。
土木・建設、インフラ業界で、手軽で高精度な3次元測量を取り入れるなら、「OPTiM Geo Scan」から試してみてはいかがだろうか。
WRITTEN by
國廣 愛佳
創業支援や地域活性を行う都内のまちづくり会社に勤務後、2019年よりフリーランス。紙面やwebサイトの編集、インタビューやコピーライティングなどの執筆を中心に、ジャンルを問わず活動。四国にある築100年の実家をどう生かすかが長年の悩み。